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古い映画感想ブログです。驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「第三の男(1949)」 ~光と影~苦くて渋い、大人の映画

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題名 第三の男
監督 キャロル・リード
制作 キャロル・リード
脚本 グレアム・グリーン
出演 ジョゼフ・コットン、オーソン・ウェルズ、アリダ・ヴァリ
音楽 アントン・カラス
上映時間 105分
制作年 1949年
制作国 イギリス
ジャンル フィルム・ノワール、サスペンス、モノクロ

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****** あらすじ ******
米英仏ソが分割統治する第二次世界大戦後のウィーン。瓦礫と闇市の時代。

主人公のホリー・マーチンスは、しがない文無しの三流小説家。親友のハリー・ライムに「一緒に仕事をしよう」と言われてウィーンにやってきた。ところがハリーのアパートを訪ねると、ハリーはすでに死んでいた。自宅の前で車に引かれ、ホリーが到着するほんの10分前に棺が出て行ったばかりだという。埋葬に立ち会ったホリーは、同じく参列していた男に誘われ飲みに行く。ところが彼はホリーが嫌いな警察官で、しかも親友ハリーを極悪人呼ばわり。酔いも手伝い、ホリーは警察官を殴ってしまう。さらに売り言葉に買い言葉で、自分が書く三文小説のように自分が探偵となって犯人を捜すと口走る。

ホリーは早速、聞き込みを開始。ハリーのアパートの門番に話を聞くと、門番はその時ちょうど窓を拭いていて、事故そのものは見ていないが三人の男がハリーを運ぶのを見たという。「現場にいた男は二人」と聞いていたホリーは、証言の食い違いに疑問を持つ。その後ハリーの恋人アンナに会って話を聞き、ハリーの事故が通りすがりの人物などの第三者が全く関わることなく、全員がハリーの知り合いばかりであることを知り、強い疑問を持つ。ハリーの死は本当に事故なのか。真相は別にあるのではないか。「第三の男」は誰なのか。ホリーは事故の真相に迫るうち、苦い深みにはまっていく。
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アントン・カラスのツィター演奏が「これでもかー、これでもかー」とうるさい映画。

そして、きわめて評価の高い「光と影の映像美」、抑制の取れた演出、人生や運命の苦さが光るストーリーで、「評判にたがわぬ渋い映画だなあ」と感心。昭和時代、名作映画ランキングのような企画では必ずと言っていいほど上位にランキングされ続けたほど名高い映画。最近の映画ランキングでもかなり上位に食い込むあたりはさすがとしか言いようがない。完全大人向け。

正直昔観た初見時はイマイチ良さが分からなくって、戦後ウィーンの瓦礫の街並みとモノクロ映像の美しさくらいしか記憶に残らなかった。しかし「こんなに名作の誉れ高いのに、どうして私には分からないんだろう・・・ばかなのかなあ(さみしい)」と思って時間を置いて何回か見るうちに、じわじわと良さがしみ込んでくるような、私にとってはそんな映画。大人になったのかな。

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主演は二人。ジョゼフ・コットンとオーソン・ウェルズ。

ジョゼフ・コットンはオーソン・ウェルズの相棒なのかな。コンビみたいに出てる。あとはこのブログでも取り上げた「ソイレント・グリーン(1973)」のサイモンソン役の人。他の有名作にも出てるけど、他に私が観てるのは「市民ケーン(1941)」「ガス燈(1944)」「ナイアガラ(1953)」「トラトラトラ(1970)」「天国の門(1981)」とか。結構観てるな。

でもそんなに印象には残っていない。魅力的だと思うけど、私はクマさんみたい、って思う。誰かに似てると思うんだけど・・・思い出せない。ティム・ロビンスかなあ(顔の下半分が)。ちょっと軽めで出てきて、かなり苦い経験してるのに、やっぱり最後までちょっと軽めで、そこが良かった。

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オーソン・ウェルズは、私の世代だと「イングリッシュ・アドベンチャー」の人。80年代当時、ウェルズが怪物俳優なのは知識では知っていたので、「すごい人なのに落ちた人」みたいな、やや落ちぶれ感として記憶したのが最初。そして「赤ちゃんおじさん」っていうイメージ。童顔なんだよね。すごく背が大きいオジサンなのに、体の一番上に赤ちゃんが乗ってるの。へんなの。

私にはウェルズがどんだけすごい俳優なのか、どんだけすごい監督なのか、実感としては正直よくは分からない。ウェルズ伝説で私が一番「これは!好き!」と思うのは、H・G・ウェルズの「宇宙戦争」ラジオ・ドラマを臨時ニュース形式で演出し、聴取者が「本当に火星人が攻めてきた」と思ってパニックになったというやつ。これはいいよねー。私好み。聞いてみたいなー。なんとかならんかね。ま、実際はそうパニックでもなかったらしいけどww、そういう「盛った感じ」も好きで。そのうち映画の「宇宙戦争」も取り上げたいと思ってる(もちろん本も)。

とにかくハリウッドが生んだ怪物と言われるような「生きた伝説」の人だったから、そういう伝説な情報が先にきちゃって、きちんと評価できない感じ。実際ずっと大人になって、ようやくウェルズの映画が見られるくらいに便利になって、でも観る時脳裏に「あの天才ウェルズの!」とか「あの怪優ウェルズの!」といった冠がついてからの「視聴!」「拝見!」ということになってしまって、やっぱり先入観で観てしまう。知りすぎているのも良くないな。まっさらで観たかった。

だから映画を観る時はできるだけ先入観なく、もし持ってしまっていてもなるべくリセットして楽しむように心がけてる。

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ところで映画に戻るけど、最後、ホリー撃ったかなあ。たぶん撃ったよね。でも撃てるかなー、あそこで。「撃てよ」みたいな顔してるけど、撃てるもんかなあ。うーん。自分で撃ったかなあ。でもそうじゃないような気が、私にはするんだなあ。撃ったんだろうなあ、あそこで。

でもそうするとラストでなー、物欲しそうに、捨てられた子犬が拾って欲しそうに、アンナの前で「声かけてくんないかなあ」みたいに立ってるけど、撃ってたらあんなことできるかなあ。相手の女ですからねえ。やっぱ自分で撃ったかなあー。わからんなあ。うまくできてるなあー。

おっとそういえば、ホリー、あなた、無一文なんですよ! 「拾ってくんないかなあ」みたいなことしてますけども。

それにしても女の「一瞥もしない」「一顧だしない」という素通り感がすごい。まるでそこになにもないかのよう。まるで私が駅前の広告配りや議員を無視するかのような。氷のように冷たくって、そして笑える、好きなシーンです。


しかしアントンがなあ。映画音楽の代表的な名曲だし、もちろんめちゃくちゃ聴いてましたよ。10代の頃。ほんと名曲ですよ。だけど、別々に楽しみたい。音楽は音楽でちゃんと買って聴くからさあ、映画は違う音楽にしてくんないかなあ。もうちょっと映画を邪魔しないようなやつー。 ( ̄ー ̄)/オネガイシマスヨホント

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