エムログ

古い映画を中心に、本、仕事・・・etc. 驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「オペラ座の怪人(1925)」~ロン・チェイニー版~

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おや? (゜-゜)

エリックってこんなだったんだ。っていうか、いいの?エリック、これで。もうちょっと似合うのなかった?

オペラ座の怪人の「1925年版を見よう」なんていう人は、絶対にアンドリュー・ロイド・ウェーバー版のミュージカル(1986)か、その映画化版のオペラ座の怪人(2004)を見てると思うんだけど、だとしたら絶対に「あれ?」ってなると思う。ある意味おすすめ。オペラ座の怪人ファンならば、絶対に抑えておきたい作品。「エエエッリックウウウ、どしたああ? もうちょっといいのなかったあああ?」ってなる。絶対。


私の持論で、「恐怖と笑いは紙一重」というのがあるんだが、そう思ったきっかけは「エクソシスト」であった。

私は怖い映画が大嫌いなので絶対見ないのだが、さすがにこの超絶有名作、ホラー映画の金字塔である「エクソシスト」に関してはやはり見ていない。見てないが、この映画はあまりにも有名なので、予告編とか「あの場面」とか、そういう断片的な映像っていうのは、やっぱり目に入っちゃうんだよね。

で思う。「これはギャグなのかな?」って。(゜-゜)

だってブリッジしながら階段を上る(か下るかどっちか)んですよ! 

超怖いメイクした女の子が、ブリッジをしながら階段を上る(か下る)のー!!(強調の繰り返し)。

よく思いついたな、って思った。だって作り手目線で考えれば、とにかく「ものすごく怖がらせよう」と思っているに決まってるのに、「ブリッジしながら階段を上ったり下りたりするのどうすか」って言われたら、ちょっと、笑っちゃうと思うんだよね。「それは面白くなってしまうのでは?」って。

でも、実際に出来上がったらすごく怖い。メイクとかもあると思うけど、やはりストーリーとか前後の流れがあってからの「ブリッジ階段上り下り」だから怖いんだろう(見ていないので)。予告とかスポットだけでも十分怖いんだけど。

今回の1925年版オペラ座の怪人は、そのバージョン違い的なやつかな?。でもちょっと失敗した的な(チガウカナ?)。

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今作は、ガストン・ルルー原作「オペラ座の怪人」の二度目の映画化作品。たぶん私たちが今見られるものではこれが一番古いんじゃないかな。1916年版というのがあるらしいが、私には見つけられない。ルルーの「オペラ座の怪人」は、この後も何度も映画化されたり、舞台化されたりしていろいろな版があるので、見比べるのも楽しい。


今回、怪奇俳優ロン・チェイニーが演じたエリック(ファントム)は、「生まれつきドクロのような、鼻のない醜悪な容貌」という役どころ。しばらくは影や手くらいしか出てこないが、中盤以降にようやく姿を現す。
 
「ファントム! よっ!エリック! 待ってました! 満を持して登場!!」 ジャジャーン!!!ってなって、「おやあ?(゜o゜)」ってなる。
 
これは一体。(*´Д`) おめめがキレイだなー。

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あら? (゜-゜)

で、クライマックスのひとつ、クリスティーヌがエリックの仮面を剥ぐシーンが、「ぎゃー(笑)」って感じでこれまたやってくれる。かっぱハゲでバーコードなんだよー! リアルだなー。そこまでするなんて非情。

こうなってくると、才能と金はあるけどめちゃくちゃ不細工な50歳のひきこもり音楽オタクの童貞男が、若い美人アイドルに身分違いの恋をしちゃって、でも女の子にとって自分が魅力的な王子様じゃないことは分かってるから、どうやってお近づきになればいいか分かんなくって、権力をかさに「俺がスターにしてやる!」って枕を強要して、そしたらお似合いの恋人が出てきちゃって、完全ストーカー化していくという、なんか超
ありそうな現実的な話に見える。

うーん、意訳したら全然19世紀の怪奇ロマンじゃなくなった(笑)。ウェーバー版のエリックにはある「神秘性」がまるでなくなっちゃうな。


とはいえこの映画は、いたってシリアスな、悲哀に満ちた、よくできた怪奇映画だと思う。(DVDについている解説で、淀川長治も「こわいこわい」って言ってた。途中で切れてましたけどw) ごく前半の裏方たちのシーンなどは、多少コミカルに見せようとしているシーンもあるけど、作ってる人達はエリックで笑わせようとは、たぶん思ってないと思う。原作に流れるエリックの運命のドラマを、相当忠実に映画化しようとしていると思う。エリックのラストなんか、かなり・・・平凡かつ善良な市民って、おぞましい。

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1986年からブロードウェイで延々上演されているウェーバー版と比較すると(といっても2011年のラミン版だけど)、

今作1925年版は、
① エリックは生来醜くて、実際ほんとうに醜い。サイレント映画だから歌わない。 
② ラウルはちゃんとした大人の貴族で、ちゃんと社会人している感じで頼りがいがありそう。
③ 誰に感情移入するかというと、クリスティーヌ(およびラウルのカップル)に感情移入できるように作られている。エリック、無理―、みたいな。

ウェーバー版(ラミン版)は、
① エリックは生来醜い設定で同じだが、俳優は若いし実際は男前で、しかも美声(音楽はハズレのないウェーバー作曲だし)
② ラウルは貴族のボンボンっていう感じで、王子様的にロマンティックかもしれないが、実利的ではない(恋は得意だが、財産を使い果たしそうなおばかちゃんぽい)
③ 誰に感情移入するかというと、エリック(ファントム)に感情移入できるように作られている
という感じで、かなりロマンティックに脚色されていている。

ウェーバーは自分をエリックに投影したのかな。エリックに感情移入できるように、あえてラウルを中身空っぽみたいに描いているからこそ、続編の「ラヴ・ネヴァー・ダイズ(2010年ウェスト・エンド初演)」がつくられていると、私は考える。

どちらもそう大きくは原作をはみ出ていないけど、大分アプローチが違う。


でも演出的に抑えるべきところはきちんと押さえているので、ウェーバー版のファンも比較して楽しめると思う。

シャンデリアもちゃんと落ちるし、吊り橋もある。鏡の間もある。地下には湖もあってゴンドラで行くし、仮面をはぎ取るシーンも、仮面舞踏会で赤マントのドクロ・ファントムも出てくる。屋上でラウルとクリスティーヌが愛を語らうところをエリックが覗いて嫉妬しているところもちゃんとあります(大ショックなエリックが見られます)。仮面舞踏会のシーンでは二色法カラーが使用されているので、モノクロ映画なのにいきなりカラーになって、ちゃんと赤マントなのが分かる。

この1925年版は画像は荒いけどYoutubeでもあがってる。中間字幕は英語だけど、どうせサイレントだから話の流れを知っていれば、だいたい理解できると思う。


以上、「オペラ座の怪人」1943年版につづきます(近日予定)。

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題名 オペラ座の怪人
監督 ルパート・ジュリアン
原作 ガストン・ルルー 「オペラ座の怪人」1909年
出演 ロン・チェイニー、メアリー・フィルビン、ノーマン・ケリー
上映時間 107分
制作年 1925年
制作会社 ユニバーサル・ピクチャーズ
制作国 アメリカ
ジャンル 怪奇ロマン、ラブストーリー、サイレント、モノクロ、二色カラー法

 
アンドリュー・ロイド・ウェーバー版はAmazon Video ですぐ見られる。