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【映画】「オペラの怪人(1943)」 ファントム、クリスティーンの父になる ~クロード・レインズ版~


おすすめ度 ★★★★

題名 オペラの怪人
監督 アーサー・ルービン
原作 ガストン・ルルー「オペラ座の怪人」1909年
出演 クロード・レインズ(エリック)、スザンナ・フォスター(クリスティーン)、エドガー・バリア(ラウル)、ネルソン・エディ(アナトール)、ジェーン・ファーラー(ビアンカロリ)
上映時間 92分
制作年 1943年
制作会社 ユニバーサル・ピクチャーズ
制作国 アメリカ
ジャンル ミュージカル、スリラー、ロマンス
 
 

 

初見時の直感的感想

これがかなり面白くて夢中でみた上に、連続2回見るほど楽しめた。

「オペラ座」関連の作品はどれを見てもそれぞれ個性的で楽しめるのだけど、今作もすごい怪作。

あ、そうそう、マスクはわりと「しゅっ」としていて安心の出来でした。いたって普通で、笑えはしないやつ。


でも特筆すべきはマスクではなく、なんとファントム/エリックが、クリスティーンのおとうさんになっていた事。

( ゚Д゚)ガビーン ガストン・ルルーもびっくりの大幅脚色。



そしてエリックは、シャンデリアを落とす時、糸のこでギコギコ切っていた。「おや?」と思ったね。わりと地味なことをするな。

他のバージョンではいきなりシャンデリアが落ちて、ただ「ファントムの魔術! うわー!」って感じで、「どうやって落としたか」などという現実的な方法論は気にもとめなかった。

だから今回、エリックが根気よくギコギコしてるのを見て「地味! そしてリアル!」って思ってすごく斬新だった。

脱獄経験がないのでわからないが、鉄の鎖ってあんな糸のこのようなもので短時間に切れるものなのだろうか。オペラだから一曲が長かったのかな。


👇 ギコギコと。

By Universal Studios - https://www.filmposter.net/en/phantom-of-the-opera-re-release-us-lobby-card/, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=74938717

 

 

映画の概要

今回のストーリーは、理由は分からないけど生き別れになっていた父娘が、かたや初老のしがないヴァイオリニスト、かたや新人オペラ歌手として同じオペラ座で舞台にかかわっていて、なぜか娘に名乗り出ることをしない父親(エリック)が、娘(クリスティーン)をスターにするためにそこまでするか的に、自分自身と他人の命を犠牲にしまくるというすごい展開。

娘の事しか目に入らないエリックは、音楽出版の社長を殺したことをきっかけに突如殺人鬼と化し、娘をスターにするためにライバル歌手のビアンカロリ(他作品でいうところのカルロッタ)とその付き人、舞台俳優を次々と殺し、あげくは思い通りにならない腹いせにシャンデリアを舞台の上に落とすという暴挙ぶり。


そして最後、クリスティーンに恐怖の告白。「地下で一緒に暮らしましょう」・・・って、受け入れてもらうのは絶対無理ムリなのでは (´Д⊂ヽ 


・・・エリックうぅぅ・・・やりすぎでしたな。クリスティーン、さぞかし怖かったろう。

ちなみに仮面をつけるきっかけになったのは、音楽出版の社長を殺そうとした時に、社長の助手から硫酸を浴びせられたから。その後、楽屋にあった仮面をつけ始めたという設定。
 
 

エリックの早とちり、殺し、そのあげくの悲劇について

音楽出版の社長を殺したのは、まあ・・・まあいい。

貧しい音楽家のエリックは、自分のスープ代もケチってクリスティーンのレッスン代にまわしてきたのに、楽団をクビになってレッスン代が払えなくなり、そのせいでクリスティーンのレッスン自体がなくなりそうになって、彼にはもう後がない。

なので最後の砦の自作の協奏曲を音楽出版の社長に買ってもらおうとしたら、こっちは切羽詰まってるってのに社長は女といちゃついてるし、その上、その社長に曲を盗まれたと勘違いしてしまったわけだから、激情にかられた犯行という事で分からなくはない。許そう!


だけど、それ以外は完全に計画的殺害。殺し過ぎなのよ。原作とか、ウェーバー版ってそんなに殺してましたっけ? あまりにも利己的かつ猪突猛進すぎて、途中からついていけなくなったじゃん。もう少し冷静に、論理的にクリスティーンの幸せを考えてあげて。


考えてみれば「曲を盗まれた!」とか言ってたのも、早とちりもいいところ。ただフランツ・リストがエリックの曲弾いてただけだったよ。しかも誉めてくれてたんだよ。それなのに「盗んだ!」って逆上していきなり首を絞めるという即断即決。いくら社長はちゃらちゃら女といちゃついていたと言ってもなー。

人の話は最後まで聞きましょう。


そのあげく、最後まで娘には自分が父親だとは気がついてもらえなかったエリックは、崩壊したオペラ座の地下で(おそらく)息絶えるといった、かなり悲惨な結末に。

対して娘のクリスティーンの方はといえば、二人の男に熱烈に言い寄られ、でも「私は歌に生きるわ!」とか言って袖にして、希望に満ち満ちてきらきらと青春を謳歌してましたw

ギャップが笑

でも私にとっては微笑ましく、心温まる結末。いいエンディングだったと思う。
 
 

軽めのクリスティーンの恋模様が楽しい

夢いっぱいの希望に胸を膨らませるクリスティーンとは打って変わって、エリックの方は悲壮感満載の結末。

でも映画を見終わったときの後味が悪くないのは、クリスティーンを取り合う警部ラウルとバリトン歌手アナトールの軽快かつ絶妙なやりとりがあったからこそ。


この二人がまるで双子みたい。そしてかわいい。

二人とも本当にクリスティーンが好きで、結婚したいと思ってる。いっつも二人でわちゃわちゃとクリスティーンを取り合っていて、それなのにこの二人、仲が良さそう。

そして二人ともクリスティーンの危機には命も投げ出しそうな、騎士的な雰囲気もある。どっちかが選ばれる時が来ても、選ばれなかった方もクリスティーンの幸せのために尽力してくれそうな気もするほど二人とも素敵。

だけどクリスティーンの方は二人を「いいお友達」くらいにしか考えてなさそうだし、若くてまだまだ夢を追いかけていたい感じで、結婚を考えるには時間がかかりそう。
 
二人ともチャーミングで魅力的だから、時が来てもクリスティーンは選べるかなあ。個人的には(おもに目つきの関係で)バリトン歌手のアナトールの方が好みだったけど。目つき悪い方が好きなので。
 
いやー見てよかった。私はかなり気に入りました。
 
 
近日、「オペラ座の怪人」1962年版に続く予定。
 
 
 
👇 Blue‐Ray でてた。

 

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