エムログ

古い映画を中心に、本、仕事・・・etc. 驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「オペラ座の怪人(1943)」 ファントム、クリスティーンの父になる ~クロード・レインズ版~

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なんとファントム/エリックが、クリスティーンのおとうさんになっていた
( ゚Д゚) ガストン・ルルーもびっくりの大幅脚色。

そしてエリックは、シャンデリアを落とす時、糸のこでギコギコ切っていた。「おや?」と思ったね。わりと地味なことをするな。

他の作品ではいきなりシャンデリアが落ちて、ただ「ファントムの魔術! うわー!」って感じで、「どうやって落としたか」などという現実的な方法論は気にもとめなかったので、今回根気よくギコギコしてるのを見て、「地味! そしてリアル!」って思ってすごく斬新だった。脱獄経験がないのでわからないが、鉄の鎖ってあんな糸のこのようなもので短時間に切れるものなのだろうか。オペラだから一曲が長かったのかな。

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映画は期待していなかったとはいえ、かなり面白くて夢中でみた。2回見ちゃった (ついでに言えばラウルは貴族ではなく警部になっていた。あくまでもついでに言えば)

あ、そうそう、マスクはわりと「しゅっ」としていて安心の出来でした。いたって普通で笑えはしないやつ。

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理由は分からないけど生き別れになっていた父娘が、かたや初老のしがないヴァイオリニスト、かたや新人オペラ歌手として同じオペラ座で舞台にかかわっていて、なぜか娘に名乗り出ることをしない父親(エリック)が、娘(クリスティーン)をスターにするためにそこまでするか的に自分自身と他人の命を犠牲にしまくるという、すごい展開。

娘の事しか目に入らないエリックは、音楽出版の社長を殺したことをきっかけに突如殺人鬼と化し、娘をスターにするためにライバル歌手のビアンカロリ(他作品でいうところのカルロッタ)とその付き人、舞台俳優を次々と殺し、あげくは思い通りにならない腹いせにシャンデリアを舞台の上に落とすという暴挙ぶり。

そして最後、クリスティーンに恐怖の告白。「地下で一緒に暮らしましょう」って、受け入れてもらうのは絶対無理 (´Д⊂ヽ 

・・・エリックう・・・やりすぎでしたな。クリスティーン、さぞかし怖かったろう。


音楽出版の社長は、まあ、まあいい。自分のスープ代もケチってクリスティーンのレッスン代にまわしてきたのに、楽団をクビになってレッスン代が払えなくなるわ、そのせいでクリスティーンのレッスン自体がなくなりそうだわ、最後の砦の自作の協奏曲を買ってもらおうとしたら、こっちは切羽詰まってるのに、社長は女といちゃついてるし、その上、曲を盗まれたと勘違いして逆上してしまったわけだから、激情にかられた犯行という事で分からなくはない。許そう!

だけど、それ以外は完全に計画的。あまりにも猪突猛進すぎて、途中からついていけなくなったよ。もう少し論理的にクリスティーンの幸せを考えてあげてー。

考えてみたら、曲を盗まれた!とか言ってたのも、そうとう早とちりがすぎたような。そして首を絞めるという、即断即決。別に曲が聞こえてきただけじゃん。社長はちゃらちゃら女といちゃついていたけども。

最後まで娘には自分が父親だとは気がついてもらえなかったエリックは、崩壊したオペラ座の地下で(おそらく)息絶えるといった、かなり重めのストーリーに対して、娘のクリスティーンの方はといえば二人の男に熱烈に言い寄られ、でも「私は歌に生きるわ!」的に袖にして、未来と夢に向かってきらきらと青春を謳歌してしまうという、エリックにとってはかなり悲しい結末に。

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でもやっぱり映画を見終わったときの後味が悪くないのは、クリスティーンを取り合う警部ラウルとバリトン歌手アナトールの絶妙かつ軽快なやりとりがあったからでしょう。

まるで双子みたい。そしてかわいい。二人ともほんとうにクリスティーンが好きで、結婚したいと思ってる。クリスティーンの危機には命も投げ出しそうな、騎士的な雰囲気もある。

だけどクリスティーンの方は二人を「いいお友達」くらいにしか考えてなさそうだし、若くてまだまだ夢を追いかけていたい感じで、結婚を考えるには時間がかかりそう。

時が来ても、クリスティーンは選べるかなあ。結構、二人ともチャーミングで魅力的。個人的には(おもに目つきの関係で)バリトン歌手のアナトールの方が好みだったけど。

あまり期待していなかったせいもあるかもしれないけど、見てよかった。

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注)余談だが、エリックが「楽譜を盗まれた!」と感じた、くだんの協奏曲をピアノで弾いていた、すさまじく真っ白な白髪の男。かれはフランツ・リストの設定だった。1回目は気づかなかったけど、気づいてみれば納得の髪型ww (*´з`)

近日、「オペラ座の怪人」1962年版に続く予定。


題名 オペラ座の怪人
監督 アーサー・ルービン
原作 ガストン・ルルー「オペラ座の怪人」1909年
出演 クロード・レインズ(エリック)、スザンナ・フォスター(クリスティーン)、エドガー・バリア(ラウル)、ネルソン・エディ(アナトール)、ジェーン・ファーラー(ビアンカロリ)
上映時間 92分
制作年 1943年
制作会社 ユニバーサル・ピクチャーズ
制作国 アメリカ
ジャンル ミュージカル、スリラー、ロマンス