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【映画】「私を野球につれてって(1949)」 エスター・ウィリアムズ おまけ ~私野球をエスター作品として見てみたよ~

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そういえば、かの有名なミュージカル「私を野球につれてって」でもエスターはプールで泳いでいたなあ、と思い出した。この作品はジーン・ケリー&フランク・シナトラ主演映画なのですが、これほどの大スターたちと共演するのが初めてのエスターはちゃんとやれてるのかしら(シンパイダナー)。

というわけで、まるで新人アイドルを見守るドルヲタの心境で見なおしてみたよ。「二期生がんばれ!」みたいな。

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この映画は、元々野球大好きヤンキーたちの間で愛されていた曲「私を野球につれてって」を使用して作られたミュージカル映画。戦後間もなかった日本では公開されていないらしい。

この映画でエスターは、ジーン・ケリーやフランク・シナトラが所属するプロ野球チーム「ウルブズ」の女オーナーとして登場。

「女のオーナーなんて」と思う(でも女の子大好き)ジーン・ケリーとは最初こそ反発しあって軽口をたたき合うが、実際はお互い惹かれあっている。

そこへエスターに一目惚れした生真面目なシナトラと、そんなシナトラに一目惚れしたベティ・ギャレットが絡み合い、四人の恋のさや当てが繰り広げられます。

エスターは最初、選手たちにからかわれたりして、ただの女オーナーとしてしか見てもらえない。だけどキャンプが始まると、ややエンジンの掛かっていないジーン・ケリーにバッティング指導なんかして、しかもそれが的を得ていたり、グラウンドから立ち去ろうとしたエスターめがけて打球が飛んでいくと、それを見事にさばいてみせたりして、「女だてらになかなかやるな」式にすっかり男たちに感心される。ただのお飾りではない、ちゃんと野球の分かる女に昇格したというわけ(しかも美人)。

実際、バッティング・フォームも様になっていたし、たいしたゴロじゃなかったとはいえキャッチングからスローイングのフォームとか、プールサイドでシナトラと「きゃっきゃきゃっきゃ」と野球ごっこをしている様子からも、野球・・・やったことがあるのかも。

泳ぐシーンはほとんどなくて、あってもホテルのプールで泳ぐくらいなので、別の作品でみられるような「大掛かりな水中ショー」とはいかないけど、でもちゃんとヒロイン役をこなしてた(と思う)。

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ところでこの映画でのジーン・ケリーとエスター・ウィリアムスは上手くいっていなかったらしい。キャスティングも最初はジュディ・ガーランドだったけど、彼女の薬物乱用が問題になって、それでエスター・ウィリアムスになったんだとか。

これはキビシイ (+_+) ぽっと出の(は言い過ぎか)エスターが、「稀代のミュージカル・スター」ジーン・ケリーと、コンサートで女の子を気絶させるほどの「超スーパー・スター」フランク・シナトラと共演するだけでもレベルが違うのに、「稀代のミュージカル・スター」ジュディ・ガーランドの「代役」というのはますますハードルが高い。

凡人にはとてもムリ (*_*; オソレオオクテ (エスターは凡人ではないが)

それだけじゃなくて、ジュールス・マンシンとベティ・ギャレットという、叩き上げの職人みたいな芸人にも囲まれちゃって、やっぱりポッと出の(は言い過ぎか)エスターにとっては敷居が高かったのではないかなあと推測される。

やはり、わだすのような凡人には無理。(エスターは私ではないのだが)

極めつけは、主演するだけでなく、当然のように脚本にも参加し、振り付けをし、おそらくは監督にも相当口を出しているであろう、実質「王様」のジーン・ケリーに気に入られていない、となれば、これは心中察して余りある・・・

今まで出てきた映画とは打って変わってグレードの違う作品にでることになっちゃって、相当気合い入れて現場に行ったんだろうなあ。

そういった事情をかんがみれば、エスターはよくやってた。ラストのダンス・シーンなんて、エスターが出てきた途端、ほとんど誰も踊ってないもん。歩いてるだけ。ああ屈辱。やっぱりエスターに合わせたのかなー(でも「踊ってない」と気づかせないのはジーン・ケリーのおかげ)。

ジュディ・ガーランドだったら、もっとちゃんと踊る場面になっていたのかもしれないと思うと、ジーン・ケリーのイラ立ちも分からなくはない。

分からなくはないが、この記事はあくまでもエスターのためにあるからね!
「そう思われてるんだろうなあ、くっそー」という重圧と、持ち味の水泳シーンもほとんどない中、ちゃんとキラキラとヒロインしてたもん。よくやったと思うよ!エスター、最後の方なんて笑顔が「やけくそ」に見えたもん(←気のせいかも)。

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映画の方は、四角関係的な恋のさや当ては実に円満に解決し(ハリウッド・ミュージカルですからね)、ウルブズも優勝まっしぐら。ところが賭け野球でウルブズの負けに賭けていたベティ・ギャレットの父ちゃんが、ウルブズが負けるように画策。ジーン・ケリーに上手いこと言って、昼は野球、夜はショーの稽古(女の子付き)に借り出し、すっかり激務と化したジーン・ケリーはみるみる調子を落としていき、当然チームも勝ち星が減っていく。そしてすったもんだしたあげくに、「やっぱり野球とチームが一番大事」と気づいたジーン・ケリーが戻ってきてホームランを打ってチームは優勝。オフにはみんなでショーに出演するのでした、というハッピーエンド。

とにかく初めから最後まで、100%陽性のジーン・ケリーの独壇場。ジーン・ケリーを見ているだけで楽しい気持ちになる、彼らしい作品。ジーン・ケリーって、見てるだけで楽しくなる。

いたって明るい、日本人には絶対に作れないであろう、超楽天的な、終始楽しい映画となっています(明るい気持ちになりたいときにオススメ)。

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ところで、相変わらずの伸び伸びとしたシーン・ケリーに一生懸命くらいついている感じのフランク・シナトラをどう評価するか。

ちょっと「頑張ってる」感が否めないんですよ・・・ダンスでジーン・ケリーに並べるわけないんだから仕方ないことなんだけど、やや・・・。

トリオの一角ジュールス・マンシン(『イースター・パレード』の玉ねぎの人)はさすがの芸達者ぶりで、ジーン・ケリーに勝るとも劣らない存在感なので、ますますシナトラの普通っぷりが際立っちゃって・・・。

しかも「可愛い男キャラ」がハマりすぎててイマイチな感もあるし・・・。

こうしてみると、どんなにスーパー・スターでも、やはり「その人にあった『庭』」というものはあるのだなあと思わされる。

シナトラは基本「歌手」で、ロックンロールの時代が訪れるまでは、そりゃあもうスーパー・アイドルなわけです(そのあともずっとスターだけど)。コンサートで女の子が失神するほど(昔はそういうことがちょくちょくあったとはいえ)。

だけど映画スターじゃあ、やっぱりなかった。

ジーン・ケリーは90分間ずーっと見続けることができる「華」があるけど、シナトラを90分間もの間、見続けることができるかといえば・・・できない(`^´) キッパリ

でも私は「歌手」シナトラが好きです。


Frank Sinatra Fly Me To The Moon

 

これでエスター・シリーズは本当におしまい。


題名 私を野球につれてって
監督 バスビー・バークレー
制作 アーサー・フリード
出演 ジーン・ケリー、フランク・シナトラ、エスター・ウィリアムズ、ジュールス・マンシン、ベティ・ギャレット
音楽 アドルフ・ドイチュ
上映時間 93分
制作年 1949年
制作会社 MGM
制作国 アメリカ
ジャンル ミュージカル、40's