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【映画】「地球の危機(1961)」 ~TVシリーズ『原子力潜水艦シービュー号』の元ネタ~

 

おすすめ度 ★★

題名 地球の危機(原題: Voyage to The Bottom of The Sea
監督 アーウィン・アレン
制作 アーウィン・アレン
脚本 アーウィン・アレン
出演 ウォルター・ピジョン、ジョーン・フォンテーン、ピーター・ローレ、フランキー・アヴァロン
上映時間 105分
制作年 1961年
制作・配給会社 20世紀フォックス
制作国 アメリカ
ジャンル SF、海洋、災害、空想科学



このタイミングで巨大タコ登場 (; ・`д・´) はオドロキ。そして意外な真犯人。そうきましたかあ。科学的なのかなんなのか良く分からないところも多々ありながらも、娯楽作としては楽しめる。

「今日の無謀な夢も明日の現実」 

  ハリマン・ネルソン提督のセリフより

 
お話:自らが設計した人類初の原子力潜水艦「シービュー号」で、北極海を航行していると、突然ヴァン・アレン帯が燃え始めて地球の温度が急激に上がり、人類滅亡の危機にさらされる。ヴァン・アレン帯の消滅には核ミサイルを打ち込むしかないと判断したネルソン提督は、周囲の反対を押し切って潜水艦「シービュー号」を発進させ、行動を起こすが・・・。



主人公のネルソン提督は強引、頑固で聞く耳を持たない、いかにも典型的な科学者で(マッドではない)、シービュー号の一番偉い提督だから誰も逆らえない。最初から最後まで提督派なのはエメリー准将と秘書のキャシーくらいで、シービュー号艦長とはかなり早い段階から対立してしまうし、お客的に乗っていた精神分析医のスーザン・ヒラー博士ともそりが合わない。徐々に対立が深まって信頼関係がみるみる崩れていくが、ネルソン提督は全く動じることが無い。


しかるべき時にしかるべき角度で核ミサイルをヴァン・アレン帯に打ち込めば、全人類は助かるという確信を持っているのだ。


👇 ヴァン・アレン帯

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First uploaded to en.wikipedia.org (log) and commons.wikimedia.org (log). Retrieved from http://image.gsfc.nasa.gov/poetry/tour/teachers2.html, Picture 4., パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4058866による

 


実際どのように人類が危機的状況にさらされているかと言えば、ヴァン・アレン帯が燃え始めて50時間で、地球の気温は57度にまで上昇し、南極や北極の氷も解け始める。地上は炎と水害、疫病、濃霧などに襲われ大混乱。このままいけば気温は70度を超えて、人類は滅亡するだろう、という壊滅的状況。

この映画では、このように人類全体が危機的状況に襲われているというのに、国連での対策会議に参加した世界中の学者たちの結論は「静観して、ヴァン・アレン帯が自然に鎮静するのを待つ」という「何もしない」という結論。

その中で、積極的に動いて人類を救おうと、具体的な対策を打ち出せている人物はネルソン提督ただひとりという四面楚歌。でも提督は「自分の理論を確信」しているし、おまけにその方法である「核ミサイル」も持っているし、それを発射できる「原子力潜水艦」も持っている。

つまり「誰の助けがなくても、自前で実行できてしまう」というお強い立場。

頭脳も肉体もある状況だから、理解されなくても「正しい」という確信があればやるしかない。いけ!ネルソン提督!

 

👆 映画版シービュー号のプラモデル



ところがネルソン提督がちょっと強引過ぎて、シービュー号の乗組員は一枚岩になれずに様々なトラブルを抱えてしまう。

まず、シービュー号の艦長が、とても全人類を救うとかいう器もスケールもない「善人かつ常識人」でネルソン提督と意見が合わない。

最初、北極の氷上で男をひとり救出するが、どうやら他にも仲間がいるらしいと知った艦長は「人命第一」とばかりに捜索隊を出そうとする。それを止めるネルソン提督。目先のひとりふたりを救っていたら、全人類を救う時間が無くなる、というわけで、生きているかも分からない仲間など見捨てて国連会議が行われるNYへ向かう決断をする。で、艦長ご立腹。婚約者がなだめる始末。

他にも発電機が壊れた際、修理に10時間かかると知った艦長は、ソナーが使えないと危険だから潜水艦を止めて修理をするべきだと主張するが、ネルソン提督は進みながら修理するように命令する。そして機雷原につかまり仲間を二人失ったあげく、責任を感じたクルーの一人が自殺してしまったりする。

こういった意見の食い違いが度重なり、艦長はネルソン提督の精神状態がまともではないのではないかと疑い始める。


またそういった艦長をたきつけるかのように、遊びに来ていただけの精神分析医スーザン・ヒラー博士が、「ネルソン提督はおかしい」とか言って艦長をあおる。

余計なことを・・・私、精神分析とか心理学、キライ。


さらに頭が痛いのが、くだんの氷上で拾った男。こいつが犬なんか抱えて、神がかっちゃって、「滅亡は神のおぼしめしである」「家族は皆、天に召されたかもしれない。でもこれが神の意志なのであれば従おう。家族とは天国で会おう」とかなんとか言い出して、クルーの士気がだだ下がり。

こういうキャラはアメリカ映画とかだと時々出てくるけど(『ミスト(2007)』とか)、やだね、こういう人。なんの解決にもならないことを言い出して、前向きに現実的に解決しようとする人の邪魔をするの。キライ。


他にもネルソン提督への脅迫とか、放火、乗組員の叛乱、ネルソン提督の計画を阻止しようと国連が派遣した潜水艦の追跡など、つぎつぎと問題が起こって、ネルソン提督は厳しい状況に追い詰められていく。


こんなに色々なことがあって、それらを乗り越えたうえで人類が救われたというのに、映画のラストは実にあっさりとしたハッピー・エンド。「あ、終わり?」って感じで好きです。

 

👆 右下に、巨大イカがいます。本作には巨大タコもでます。


海洋SF娯楽作としてはお約束の「ダイオウイカ」に襲われるシーンあり。最後は「巨大タコ」にも襲われる。タコの方は、私的にはまさかのタイミングで、「おや、ここできましたか」と感心した。それにしても欧米ではタコとイカは常に悪役。

そして意外な真犯人。ははあ、あなたでしたか。「真犯人は一体!」という作品ではないので、「誰が提督を殺そうとしたんだろう」とかそういう目線で見ていなかったので軽く意外だった。

 


ところで、フィクション界の潜水艦映画として『海底2万マイル(1954)』のノーチラス号と比較されることも多いシービュー号。ロマンあふれるノーチラス号と、現実的なシービュー号。どちらがお好みか、比べてみるのもオススメ。


👆 『海底2万マイル(1954)』のノーチラス号はこんなイメージ

 



そしてもうひとつ『海底2万マイル』との共通点は、『海底2万マイル』でコンセイユ役を演じたピーター・ローレが、今作ではネルソン提督の右腕エメリー准将役で出ていること。目がギョロッとしていて、個性的でいい。

👇 ピーター・ローレさん

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By Yousuf Karsh - This image is available from Library and Archives Canada under the reproduction reference number PA-212505 and under the MIKAN ID number 3198633This tag does not indicate the copyright status of the attached work. A normal copyright tag is still required. See Commons:Licensing for more information.Library and Archives Canada does not allow free use of its copyrighted works. See Category:Images from Library and Archives Canada., Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=451815

 


今度はそのピーター・ローレのデビュー作『M(1931)』をレビューしようと思っています。

またねー。


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