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【映画】「キング・ソロモン(1950)」~アフリカの大地、動物、民族の美が炸裂するサファリ・ムービー~

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全編、財宝目指して歩いているだけと侮るなかれ、野生動物たちの躍動感あふれる映像は圧巻! そしてラストの原住民のダンスが超絶美しい。

キング・ソロモンの秘宝とやらが出てくるが、それを探す冒険映画というよりもエリザベスの旦那を探すことが目的で、宝に目もくれないあたりがよくある冒険映画とはひと味違う。そして「息もつかせぬハラハラドキドキ!」といったアトラクション・ムービーでもなく、宝探し人探しでアフリカの秘境へ行く割には、紀行映画みたいなリアリティ重視なところがあって、地に足が着いた「大人っぽい娯楽作」という印象。


****** あらすじ ******
1897年、アフリカ。金持ちの白人相手にガイド業を営むアランは、客を喜ばせるために動物を撃ち殺すのにも飽き飽きして、息子の待つ英国に帰るか思案中。そこへ、行方不明になった夫を探しに英国から兄妹がやってくる。妹エリザベスの夫カーティスは1年半前、「キング・ソロモンの秘宝」を求めてアランの元へやってきたが、アランが協力を拒んだ後、そのまま行方不明になったらしい。彼が向かった先はカロワナと呼ばれる場所のさらに奥地で、現地の者すらも入らない人類未踏の地だ。

危険を冒す価値を感じないアランは全く気が進まない。しかし兄のジョンに説得され、エリザベスからは一生かかっても稼げないような大金を積まれ、アランはカーティス探しのガイドを引き受ける。アランは、死んだ可能性の高い夫を、しかも自らの命も失う危険をおかしてまでなぜ探すのかを詮索し、エリザベスはアランの深層心理を暴いて応酬。二人の間は緊張したスタートを切る。

こうして、勝ち気な上流階級の若き夫人と、物わかりの良い優しい兄、野性味あふれる現場の男のサバンナを行く旅がはじまる。
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前回の「M(1931)」に引き続き、「BGMがない系」の映画。

音楽はある。アフリカが舞台だから、そこで流れる民族音楽のような土地の音楽は流れるけれども、ありがちな取ってつけたようなBGMはない。「泣かせよう」とか「笑わせよう」とか「怖がらせよう」とか、登場人物の感情をドラマチックに演出して観客に押し付けたり、ハラハラドキドキさせようと音楽が強引に盛り上げて観客をごまかしたり、そういう目的の音楽は一切ない。ただただアフリカの生活の音楽がある、という感じ。

だからエリザベスとアランの関係も、変に音楽でゴリゴリ説明してこないから、ふたりの感情の変化を静かに見守ることが出来て、〇。音楽がない映画もやはりいい。

 

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物語的には、エリザベスが命をかけてまで夫を探しに来た理由ですが・・・すごく軽くスルーして描かれていたように思う。

ま、たぶん「人間の深層心理を深く描く」とかいう作品ではないからだろうと思うけど。

最初、アランは、エリザベスが命がけで夫の生死を確かめようとするのは、夫の死亡が確認できないと財産を相続出来ないからではないかと勘繰っていたが、エリザベスはカーティスと結婚したから金持ちになったのではなく、財産はもともと自分の物なのだと言っていた。するとアランからすると尚の事エリザベスの冒険の意味がますます分からないわけで、エリザベスは「夫を愛しているから」と言うが、アランはそれも理解できない。

で、実際はエリザベスは夫をちっとも愛していなくて、良い妻ではなかったらしいことがエリザベスとお兄ちゃんとの会話から分かってくる。どうやらカーティスは妻にないがしろにされていて、それでいっちょ一山あてて妻を見返してやろうと「キング・ソロモンの財宝」を見つけようと冒険してしまったようで、エリザベスはその罪悪感から悪夢を見てうなされるようになったらしい。

というわけで、命がけで夫を探す理由は「罪悪感」「罪滅ぼし」ということだった。

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映画を観ながら、「エリザベスが命がけで夫を探す真相はいつ語られるんだろう」と思っていた私にとっては、やや肩透かし感があった。もっとドラマチックな展開かと思ったもんで。

でも、旅をしながら徐々に自分に対して素直になっていくエリザベスが、最初は「夫を追い詰めてしまった罪悪感」で悪夢を、そしてアランに惹かれている今は「もし夫が生きていたらどうしよう」という別の悪夢をみるようになるという、そのへんは「でしょうねー。わかるわかる」と思った。

自分が夫を愛していなかったことが原因でこういう事態になったことを素直に認められるようになって、「悪い妻だったわ」って思えるようになって、でも今は目の前に逞しく頼りがいのある魅力的なアランがいて、お互い恋も芽生えているし、この状況で夫に「生きてました」と出てこられても困るというもの。

まあ身勝手な話ではあるが、リアルだなあ、と思った。アフリカでの冒険はないだけで、こういうケースはままあることだろうと思うので、エリザベスが悪い女とも別に思わない。アランと、できればアフリカで、冒険しながらキラキラと生きて欲しいなあと思ったよ。

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とはいえ、この映画はストーリーがどうのと言うよりも、とにかくアフリカの大地と動物たちの、迫力と美しさに目が惹かれる。

まず野生動物の一連の映像が見ごたえある。特に山火事で野生動物の群れが一団となって逃げ惑うシーンは迫力満点。こればかりは言葉では表現できません(語彙がないからだけど)。

一体どうやって撮影しているんだろう・・・と思いきや、後にあの「ベン・ハー(1959)」の、あの戦車シーンを監督したアンドリュー・マートンがメガホンを取っているのだった。さすが納得。アンドリュー・マートン恐るべし。彼だけでひとジャンル築いてもいい才能である。

 

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そしてアフリカの「なんとか族」とか「かんとか族」とか、映画では名称は分からないがアフリカに多数存在する民族がたくさんでてくるのだが、彼らのファッションやメイク、佇まいが格好いいし美しい。

旅の途中で出会った部族の若き長らしい男(下記画像参照)のこの頭飾り! どこかのパンクロッカーなんかが被りたがりそう。パンクだよねー。サイバーパンクとも良く合いそう。格好良くないですか? 彼。

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またエリザベスにお肉を手渡すところが可愛くて萌えるw 淡々と表情もなく、巨大な肉の塊をすーっと渡すんだよね。それを苦笑いで受け取って、隣のお兄ちゃんにそのまま渡そうとすると、手だけがにゅっと出てきてそれを阻止したりしてw お兄ちゃんとパンク兄ちゃんの両方に「いやいや、お前食べなよ」みたいに阻止されて、自分の顔くらいの大きさの肉を食らうエリザベスも可愛い。

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特筆すべきは最後に訪れた、エリザベスの夫カーティスの最期の地(あとで触れるサンボカの生まれ故郷)で見る、原住民の躍動美あふれるダンス。「生命の喜び」とか「大地の息吹」というか、ちょっと日本人では決して真似できない、地面から湧き上がってくる音楽とダンス。アフリカだなあ。

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登場人物では、白人3人よりも従者のキバと途中でついてくるサンボカがすごく好き。

キバ、ちょっと出っ歯ですきっ歯で可愛い。彼、左耳の耳たぶにすごーーーーく巨大な穴をあけていて、そこにちいちゃな樽みたいなのを差しているのだが、これ、ソーイング・セットなのー ww

この入れ物から針と糸を出して繕い物するシーンがあって、かわいい。

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そしてサンボカ。彼は登場した瞬間から、ミステリアスで誇り高そうな、過酷な大地をすいすいと簡単に生き抜いていきそうな、悟りを開いた仙人みたい。

それもそのはず、彼はある民族の王なのだった! 従兄妹に王位を奪われて国を追われていたが、今、王位を取り戻しに国へ戻ろうとアランたちの一行に加わっていたのだった。

ははあ、確かにその風格がある。最初アランに「お高くとまっている」と悪く言われていたが、お高くとまっているのではなく、生まれながらにお高いのだった。

たとえ100人200人程度のどんなに小さな国であっても、一国の王の家系として生まれたからには「崇高な威厳」みたいなのは身につくだろうし、身についていてもらいたい。 

「かわいい」と身近に感じるキバとは全然違う風格があるのです。いいキャスティング。

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最後に白人の登場人物について。

エリザベス役のデボラ・カーはかなり魅力的。赤毛が美してくて、ちょっとユマ・サーマン似で、勝ち気で鼻っ柱が強く、プライドが高くて頑固なんだけれども、可愛い、という・・・。

上流社会の奥様なんだけど、旅を続けるにしたがってどんどん逞しくなって、「女の命」とかつては言われた長く美しい髪の毛を、「邪魔だから」と自らハサミでじょっきり切ってしまう格好良さ。

そして大自然の中で、シャンプーのCMかと思う程、髪を泡立てて洗っていたよ。しばらく風呂入ってないと思うのに、あんなに気持ちよく泡立つもんだろうか。

そしてしまいには、足元にいる(なにかわからないけど)生き物を見て「食べられるかしら」とかなんとか言っていた。

英国に帰らずに、アフリカでアランと上手くやっていけそう。アフリカで幸せにね!

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題名 キング・ソロモン
監督 コンプトン・ベネット、アンドリュー・マートン
脚本 ヘレン・ドイチュ
原作 ヘンリー・ライダー・ハガード 「ソロモン王の洞窟」 (1885年)
出演 デボラ・カー、スチュアート・グレンジャー、リチャード・カールソン
上映時間 103分
制作年 1950年
制作会社 MGM
制作国 アメリカ
ジャンル スペクタクル、冒険、50's、アンドリュー・マートン