エムログ

古い映画を中心に、本、仕事・・・etc. 驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「2300年未来への旅(1976)」~ファラ・フォーセットがチョイ役で出ている管理社会SF~

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「2001年宇宙の旅」にあやかりすぎな、全然未来にはいかないという、邦題に偽りありな作品(コレドーナノ)。

私の好きな近未来&管理社会もの。この手の映画が好きになるきっかけになった、個人的には記念碑的な作品。別に管理されたい訳じゃなくて、そこからの脱出のカタルシスが好きなんだと思う。

とはいえ今作は、その解放のカタルシスはほとんど感じられないのでした (*´з`)ザンネン


****** あらすじ ******
23世紀。戦争、人口過剰、汚染などで地上に住めなくなった人類はドーム状の建物 ”シティ” に住み、外の世界を忘れていた。コンピューターに管理され、飢えや恐怖とは無縁に快楽を追求する人類の唯一の制約は、30歳までしか生きられないこと。シティからの逃亡者を粛正する役目の未来警察サンドマンのひとりローガン5は、ある日外の世界にある ”サンクチュアリ(聖域)” の調査と破壊をコンピューターに命じられる。ローガン5はデート回路で出会った女ジェシカ6と共に外の世界へ向かう。
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いかにも60~70年代ぽいヒラヒラの衣装と、大阪万博のパビリオンみたいなセットがちゃっちくて、今見るとかなりB級テイストを感じる。

この映画の翌年の1977年には「スターウォーズ」と「未知との遭遇」が公開され、SF特撮の次のステージに入って行くから、今作はその時代の変わり目に古い感覚で作られてしまった感は否めない(とはいえ今作以降も割とこのセンスで作られたSF映画はあるけれども)。

1968年には「2001年宇宙の旅」「猿の惑星」が、1972年にはソ連の「惑星ソラリス」が制作されているし、他にも「時計じかけのオレンジ」とか「ソイレント・グリーン」とか名作SFをたくさん経ているのに、あんまりそこから学ぶこと無く作られちゃった感じ、ある。センスが古い(スタンリー・キューブリックと比較するのは酷だと思うけど)。

監督のマイケル・アンダーソンは、今回調べてみるとこの映画より前に「八十日間世界一周」とか「1984」とか「さらばベルリンの灯」などを監督してきた人で、意外と私は見ているのだった。

良い映画いっぱい撮っているんだなあ。だけど今作がターニング・ポイントだったかもしれない。今作以降の作品は未見ながらやや作品のランクが、がくっと落ちているような気がする。50~60年代がピークだったか。

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セットとか衣装以外でも、設定と脚本がイマイチ甘い。

まず「シティのコンピューターを誰が制御しているのか分からない問題」がある。コンピューターを使って人々を洗脳して支配することで得をするような存在が、全然見当たらないのね。「外は怖いよ~、だから出ちゃダメだよ」って言っている人がいない。

これに関しては、

① 最初は戦争とか汚染などで地上に住めなくなった人類が、自然環境と隔離するドームを作ってその中で生活するようになった。
② その頃は外に出るのは極めて危険だから誰も出ない。
③ しかし世代を重ねるうちに、ドームに住む元々の理由や、外の環境が住めるように復活したら外へ出ていくといった目的も忘れられていく。
④ その頃にはシステムの維持がコンピューターに任されていて、システムを維持することが目的になってしまう。
⑤ コンピューターは改善をしないし、疑問も持たないから、なにも考えずに淡々とシステムを維持し続ける。
⑥ 人々も洗脳されて思考を停止しているから、従順にシステムに乗っている。

という具合で私の中では理解されているので問題ない。「維持だけが目的」になっちゃってるんだろうな、みたいな。



むしろ私にとっての問題は、そのコンピューターがなぜローガン5を外に行かせたのかがよく分からないところ。

確かにシステムに従順なものばかりではなくて、シティのはずれにある寺院には不良少年たちが住みついているし、「30歳以上生きたい!」と思う者が反抗者となって外に出て行こうとしたりはしている。

しているけど、そんなに切羽詰まった状況でもなさそうに見えるんだけど・・・自分で事を荒立ててしまっているような。自分で寝た子を起こしちゃった感があるのだが。

「2001年宇宙の旅」のHAL9000みたいに、自己保存本能ってことなのかなあ。

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結局、外は人も残っていなくて荒廃していて聖域なんてどこにもなかったし、動物もほとんど生息していない様子だったから、脱走組なんて放っておけばよかったのに。ローガン5を行かせたことで彼に疑問を与えてしまった。


だいたいローガン5の手のひらのタイマーの時間を4年ほど進めてしまったのがよくありませんでしたな。

この世界では、生まれると手のひらに白いクリスタルが埋め込まれていて、これが確か16歳になると緑に、26歳になると赤に、そして30歳が近づくと点滅し、それが黒くなる30歳で「生まれ変わりの火の儀式」を受けて消滅、新しい命に転生して生まれ変わる、というスケジュールになっている。

そのタイマーが点滅すると「もっと生きたい」思う者がでてきて、それが脱走者となるという経緯がある。

そこでコンピューターはローガン5に外の世界を調査させる際、脱走者らしくみせるために、このローガン5のタイマーを赤から点滅状態へすすめてしまう。これがきっかけで急に死が身近になって、ローガン5は本当に脱走をもくろむようになってしまうのだ。

それまではモラトリアム的に呑気にサンドマンとして脱走者狩りをスポーツのように楽しんでいたローガン5だったのに・・・コンピューターさん、判断ミスでしたな。

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他にも、シティから外界へ出る途中で出会う銀色の人型ロボット(ボックスだったかな?)の存在がなんなのかイマイチよく分からないとか、食事のシーンが皆無なので何を食べているのかよく分からなかったりもする(飲み物を飲んでいるシーンが多いから、あれで栄養をとっているのかな?)。

最期コンピューターが自己崩壊するあたりも、なんでかよく分からなかった。



でも、個人的にもっとも「ああもったいない」と思ったのは、外の世界で出会う「老人(Old Man)」の取り扱い。

出てきた時は「は! ソイレント・グリーンのブックマンぽい役割かな!」と思って身を乗り出したのだが、まったく180度違う人物設定だった (´Д⊂ヽトホホー。

リンカーン記念館に住んでるのかな? 図書館みたいに本がいっぱいあるのに、まったく何にも知らない役立たずぶり。あれもこれもどれもそれも、何にも知らないの。それに本がいっぱいあるのに、誰もそのことにひと言も触れないのー ヒャー。


ここは「タイムマシン(1960)」みたいに、失われた知識を嘆くとか、読みたいんだけど風化しちゃってどんどん読めなくなっちゃってさーとか、なんかひと工夫欲しい。ありがちな展開って、安心感があっていいじゃない?

 

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あるいはやっぱり「ソイレント・グリーン(1973)」のブックマンみたいに超絶物知りとして登場してさ、知恵も知識も失った人類の一縷の望み的な立場を与えてさ、未来はこの一人の老人と大勢の無知な若者に託されました、みたいな展開でいいじゃない。

 

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それを・・・すべてドブに捨てる展開に・・・(; ・`д・´)ドユコトー。爺さん、ただの雰囲気づくり。賢者風のたたずまいで、たたずまいが賢者なだけ。

無知な老人と数千人の無知な若者の集団って、このメンツでは人類の未来は暗いじゃないですかー。滅亡だな。

ラスト、洗脳から解き放たれた人類って感じでハッピーエンドみたくなってたけど、確実に滅亡だな。ローガン5、とんでもないことをやらかしましたな。



・・・いろいろ悪く書いちゃったけど、10代の頃にTVで見て、題名を忘れちゃって、「近未来で管理社会もので、そこから脱出する映画」「手のひらにガラス玉がはまっている映画」「氷河期みたいなシーンがあった」程度の情報で、足でDVDを探し当てたという、私にとってはあるあるの愛すべき思い出の作品なのは変わらないのでした。

なんか最近ハリウッドでリメイクの話もあるみたいだし、改善されることを期待してます。できれば私好みに(デキネーヨ)。


ところで、ファラ・フォーセットなんか出てたんだね。それもちょい役で。チャーリーズ・エンジェルで大ブレイクする、ほんのちょっと前なのかな。美容整形外科医の助手かなんかの役で、頭が悪そうで、すぐに死んでいた。そして英語で何を喋っているのか皆目わからない私でも分かるほどの、みごとな大根女優ぶりでした。


それから気になったのは、ローガン5の友人フランシス7。ゲイなのかなー。ローガン5を追い詰めていく執拗さは尋常じゃあない。ローガン5と一緒に行動を共にするジェシカ6を「こんな女!」って言ってたし、風呂に誘ってたし。

この社会では同性愛は普通のこととして受け入れられてるふしがあったから、普通なのかもね(ローガン5がデート回路でセックス相手を探していて、ジェシカ6が引っかかるんだけど、その時拒否るジェシカ6に「女が良かった?」ってローガン5は言っている)。

好きだったんだね。

じゃね! 

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題名 2300年未来への旅
監督 マイケル・アンダーソン
出演 マイケル・ヨーク、リチャード・ジョーダン、ジェニー・アガター、ピーター・ユスティノフ、ファラ・フォーセット
上映時間 118分
制作年 1976年
制作会社 MGM
制作国 アメリカ
ジャンル SF、70's、ディストピア