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【映画】「夢のチョコレート工場(1971)」 ~2005年「チャーリーとチョコレート工場」の元映画~あらすじつき

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主人公チャーリーの健気な優しさが心に響く、コメディタッチでミュージカル仕立てのファンタジー。良くも悪くもいかにも70年代的セットで、けばけばしくも摩訶不思議な世界を表現しています。

原作は児童文学『チョコレート工場の秘密』、本作をリメイクした映画が、2005年に大ヒットしたティム・バートン監督 ジョニー・デップ主演の『チャーリーとチョコレート工場(2005)』です。

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****** おはなし ******
ひどく貧しい、そして心優しい少年チャーリーが主人公。学校帰り、ほかの子たちは駄菓子屋で無邪気にお菓子を選んでいても、チャーリーはお金がないから窓の外から店の中を眺めている。新聞配達をしながら家に帰るけど、待っているのはママと4人の寝たきりのおじいちゃん、おばあちゃんだ。

近所には、誰も入ったことがないウォンカのチョコレート工場がある。誰も入っていかないから、だれが働いているのかすら誰も知らない、不思議な謎のチョコレート工場。だけどこの工場で作られるお菓子は世界中で大人気だ。

ある日そのチョコレート工場が、世界中でたった5人だけに工場内を見せてくれると発表した。工場が作っているチョコレート「ウォンカ・バー」に、黄金の当たり券が入っていれば工場に行ける。それで世界中が大騒ぎ。子供だけでなく、大人たちも一緒になっての大騒動になる。

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地の果て日本でもバカ売れのウォンカ・バー

チャーリーも行きたいけど、自分にはチョコレートを買うお金がない。年にたった一回だけチョコレートをもらえる誕生日。だけどもらったチョコレートに黄金の当たり券は入っていなかったし、おじいちゃんが買ってくれたチョコレートにも入っていなかった。次々と当選していく子供たちをTVが放送してる。とうとう最後の1枚も見つかってしまった。

ところがチャーリーが、拾ったお金でチョコレートを買うと、なんと中には黄金色に輝くチケットが! 実は最後の5枚目は偽物だったのだ。するとどこからともなく怪しい男が現れる。彼はウォンカのライバル会社の社長で、ウォンカは最近「永遠に溶けないキャンディー」を発明したらしく、見学に行った時その秘密を探って自分に教えてほしいと、チャーリーにスパイになるよう持ちかけてくる。お礼にお金をたくさんくれるというのだ。

チョコレート工場へ行けるのは明日。チャーリーは寝たきりのおじいちゃんのひとり、ジョーおじいちゃんに「一緒に行って」とお願いする。するとおじいちゃんは使命感と喜びで「すっく」と立ち上がり、歩けるようになれた!

いよいよウォンカの工場見学の日。当選者である5人の子供たちと保護者たちは、「中で何があってもウォンカは責任をとりません」という書類にサインして、いざ、工場内へ入っていくのだった。
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4人のおじいちゃんとおばあちゃんが、「4人そろって寝たきり」は笑った。しかも大きなひとつのベッドに、あっちからとこっちから入って、それぞれおじいちゃんとおばあちゃんがペアになって寝てるの。かわいい。

左側のおじいちゃんとおばあちゃんは元気なんだけど、右側のおじいちゃんとおばあちゃんは少しだけ元気がない。おとなしい性格なのかな。チャーリーは右側のおじいちゃん、ジョーおじいちゃんが大好きみたい。


設定だけを見るとチャーリーの貧しさは本格的。祖父母たちは寝たきりで、父親がいないから母親が働いて家族の面倒を一手に引き受けてる。でも母親がしている仕事と言えば、昔風の「洗濯屋」。クリーニング店じゃあないよ。「洗濯屋」。とてもお金になるような仕事じゃあない。

それでチャーリーは新聞配達をしてるけど、これは生活費を稼いでるのかな。おこづかいなのかな。その辺がよくわからない。

生活費と考えるのが自然だけど、チャーリーは自分の判断でパンを買ってきてみんなの夕飯にして、残りの一部を母親に「これ使って」って渡して、さらに残りをジョーおじいちゃんに「これで煙草買って」って渡してる。その様子をお母さんは特に何を言うでもなく見守っている。

つまり自分で稼いだ金は、使い道も自分で決めている、っていう感じで、すごく自立してるように見える。

もちろんチャーリーは誕生日に年に一度しかもらえない小さなチョコを(エンゼルパイみたいな)、みんなに分けようとしたりするような優しい子だから、自分で稼いだとはいえ自分だけのものにしたりはしないのだ。

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そしてチャーリーのいい子っぷりと比較対象になる他の4人の子供たちの傍若無人ぶり。ちょっと見ないレベルのわがままさ。

オーガスタスはすごく食い意地が張っていて、工場ではチョコレートが流れる川にかぶりついてチョコをなめて川に落ち、ウォンカの制裁を受けるし、

金持ちの娘のベルーカは、父親の財力と従業員をつかってチョコの包装紙をむかせてた。工場っぽいけど、そのラインをすべて止めて、チケットが出るまで金をつぎ込む気満々。父親は娘の言いなりで、最後は親子ともどもダストシュートに落ちていたし、

ガム大好きバイオレットは本当はガムが一番好きで、今噛んでいるガムは3ヶ月噛みっぱなしという強者。ウォンカが開発した「フルコースの味がするガム」を、ウォンカが「だめだ」と言っているのに言うことを聞かずに口にして、紫色の風船のようにふくらんで飛んで行ってたし、

TVで暴力的な映画ばかり見ているマイクはカウボーイの格好をしておもちゃの銃を手放さず、早く本物の銃がほしくて仕方ない。ウォンカが開発した、TV番組の映像のように、チョコレートを離れた場所に転送できる装置に、やっぱりダメだというのに乗っかってまんまと転送には成功するが、手のひらに乗るほど小さくなる。

みんな大人の言うことを全く聞かない、舐めた悪ガキたちばかり。

もちろん最後、チャーリーにはちゃんと「いいこと」が起こります(チャーリーもジョーおじいちゃんにそそのかされて、ちょっとだけ羽目を外していたけど)。

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というわけで今作は、大人が子供に話して聞かせたい、たいへんに道徳的かつ教育的な映画に仕上がっています。

しかも演出がコメディタッチだから説教臭さが抑えられていて自然に楽しめるし、チャーリーのかなり可愛そうな境遇も、悲壮感がなくてむしろ微笑ましくすら感じられる描かれ方です。

重く悲しく悲観的に、極端に教育的に説教映画にしても誰も救われませんもんね。

チャーリーの健気さが物語を引っ張っていく映画でした。


個人的には、2005年のティム・バートン監督&ジョニー・デップ主演の『チャーリーとチョコレート工場(2005)』よりこっちが好きです。

ジョニデ版はそりゃあもう映像とか特撮的には雲泥の差ですし、ウォンカとかウンパ・ルンパたちの秘密にも迫っていて良かったんですけど、チャーリーよりもウォンカが主役みたいになっていて、チャーリーの健気さがオリジナルと比べると弱かったと思います。

両方のいいところが合わさるとよかったんですけど・・・上手くいきませんね。

 

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題名 夢のチョコレート工場
監督 メル・スチュアート
制作 デヴィッド・P・ウォルパー、スタン・マーガリーズ
脚本 ロアルド・ダール、デヴィッド・セルツァー
原作 ロアルド・ダール「チョコレート工場の秘密」1964年
出演 ジーン・ワイルダー
音楽 ウォルター・シャーフ、アンソニー・ニューリー、レスリー・ブリッカス
上映時間 100分
制作年 1971年
制作国 アメリカ
ジャンル ファンタジー、ミュージカル