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【映画】「レディホーク(1985)」~RPG好きにおすすめの、中世ロマンティック・ファンタジー~


おすすめ度 ★★★

題名 レディホーク(Ladyhawke)
監督 リチャード・ドナー
出演 マシュー・ブロデリック、ルトガー・ハウアー、ミシェル・ファイファー
上映時間 121分
制作年 1985年
制作国 アメリカ
ジャンル ファンタジー、ラブストーリー、中世
 
 
 
引用:「お前を天国で待っておる。必ず来いよ」「天国の鍵を盗んででも行きます」 フィリップとインペリアルの会話
 

最近、ルトガー・ハウアー死去のニュースを見てこの作品を思い出した(2019年7月19日死去)。一般的にルトガー・ハウアーといえば『ブレードランナー(1982)』なんだろうと思うけど、私にとってはこの映画。10代のころ大好きだった、思い出の作品。
 
 
👇 ルトガー・ハウアー 

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De F. van Geelen, NTS - Beeld en Geluidwiki - Gallery: Floris, CC BY-SA 3.0 nl, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=10347874
 
 
めちゃくちゃクズな司教から動物になる呪いをかけられてしまった騎士と伯爵令嬢と、それに巻き込まれたコソ泥が主役のファンタジー。戦いの場面は少なめ。
 
まるで定番のロール・プレイング・ゲームのような、絵にかいたような中世の世界が楽しめる映画で、かなり甘めのラブ・ストーリーでもある。呪いにかけられた騎士とお姫様なんて、まるでおとぎ話か、ディズニー映画みたい。
 
私、これが小説だったら絶対読めないw でも映画だとあら不思議、すんなり入り込める。

ロール・プレイング・ゲームの世界観って、実写にするとまさにこれよね
 
 

登場人物

フィリップ・ガストン・・・コソ泥(ネズミ)
エティエンヌ・ナバール・・・騎士(オオカミ)
イザボー・ド・アンジュー・・・アンジュー伯爵令嬢(タカ)
アクイラの司教・・・司教(人間のクズ)
インペリアル・・・神父(失敗を挽回したい)
 
 

あらすじ

コソ泥のフィリップは、ケチな盗みが見つかって「脱獄不可能な」アクイラの牢屋に入っていた。しかし器用で頭の回転も速いフィリップはまんまと牢を抜け出すことに成功。しかし案の定、司教のはなった追っ手に追われるはめになる。うまく追っ手をかわしつづけるフィリップだが、自分のわきの甘さが露呈していよいよ絶体絶命だ。
 
そこへ救世主のように現れるのが、騎士ナバール。彼は真っ黒な愛馬にまたがり、美しい立派なタカを腕に止まらせていた。行動を共にするフィリップは、やがて彼らの悲劇的な運命を知ることになる。
 
フィリップがアクイラの牢を抜け出したと知ったナバールは、自分達に呪いをかけたアクイラの司教に復讐するため「出られたのなら、入れるはずだ」ということで、フィリップを案内役に立てアクイラの街へと向かい、司教への復讐に挑む。
 

👇 ミシェル・ファイアーがミステリアスで美しい
 

 
 

物語の前提

騎士のナバールは、昼間はタカに姿を変えた伯爵令嬢イザボーとずっと一緒。ナバールは夜になるとオオカミになり、イザボーは夜だけ人間の姿に戻る。夜だけ人間に戻ったイザボーは、オオカミのナバールに守られている。だけどイザボーはオオカミに姿を変えたナバールにしか会えない。いつもどちらかが動物の姿なのだ。

二人が同時に人間の姿になれる時間はない。もし運が良ければ、夜明けと日没のほんの一瞬の間に、姿を変える相手の姿が幻のように見える時がたまにあるだけ。見つめ合うことすら奇跡なのだ。
 
こんな仕打ちを二人に課したのは、アクイラという街のカソリックの司教。やつはジジイのくせに、美しいイザボーに心を奪われ、何が何でも手に入れようと画策するが叶わず、イザボーは逞しい騎士団の隊長ナバールに恋をする。あたりまえだ。
 
それを知ったジジイの司教は「自分が手に入れられないのなら、誰も手に入らないようにしてやる」と自分勝手なことを言って、お互いが決して結ばれないよう、それぞれ交互に動物の姿に変身するよう、呪いをかける。ナバールは陽が沈むとオオカミの姿に、イザボーは太陽が昇るとタカの姿に。決して人間の姿で触れ合うことがないように。
 
ナバールは司教への復讐に燃える。厳重な警備をくぐり抜け、なんとかアクイラの司教をこの手で殺したい。しかし司教はクズで、クズは臆病で用心深いから、厳重な警備と堅牢な城に守られて手が出せない。
 
そこへ、われらが主人公、コソ泥のフィリップ登場。
 
というか、映画はここから始まる。
 
 

コソ泥役のマシュー・ブロデリック

主役のマシュー・ブロデリックが若くてかわいい。ちょっと髪型がきれいに刈り揃えられすぎていて、後ろから見ると「ヅラ」のように見えなくもないが、そこは目をつむることにしている。
 
注:この映画はナバールが主役な気もするが、クレジット的にはマシュー・ブロデリックなのです。
 
 
👇 マシュー・ブロデリック

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By Towpilot - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1369981 
 
 
このころのマシューくんは前年の『ウォー・ゲーム(1983)』もあって、わりとアイドルチックな存在だったと思う。私にとっては ”マシューくん” ていう感じ。だから今でもマシューくんと呼んでしまう。本作『レディ・ホーク』のあとも『フェリスはある朝突然に(1986)』『飛べ!バージル!/プロジェクトX(1987)』『ファミリービジネス(1989)』と来て、その後はいつの間にか実力派俳優になっていた。『プロデューサーズ(2005)』なんかも代表作。

元々舞台派の俳優で、若い時はそれなりに若手アイドル・スターな感じもありつつ、それに舞い上がることなく地に足つけて作品を選び、数々のブロードウェイの舞台も踏み、着実にキャリアを積んでいった堅実派という印象。

私は上の題名をあげた作品くらいしか見ていないけど、この『レディホーク』の時のマシューくんが可愛くて一番好き。
 
 

すべての元凶インペリアルがいい味出してた

途中で合流する神父インペリアルがいい味出してる。こいつは神父のくせに、自分のところに告解に来たナバールとイザボーの懺悔の内容を人に漏らすという、神父ならば絶対にやってはいけないことを、あろうことかクソ司教に漏らしてしまうのだ。それで嫉妬した司教が二人に呪いをかける、という段取りになってる。
 
こいつが元凶。
 
だけどその責任をとるために、彼は彼で生涯をかけて呪いを解く方法を探し、見つけ、彼なりに命がけで二人を救おうとしているいいやつでもある。
 
フィリップとインペリアルは気が合ったみたいで、いいコンビと化す。そして冒頭に引用したセリフに繋がっていく。でも私はこの会話の字幕を見た時、「天国ってそんなに行きたいもんかね」と思ったけど。
 
 

権力者の卑劣ぶり

しかし以前このブログでも取り上げた『ノートルダムのせむし男(1923)』のジハンといい、今作の司教といい、いかに惚れた女とはいえ、そんなやり方で手に入れて嬉しいもんかねえ。どちらも権力だけがやたらとある腐りきったジジイが、若く美しい女に執着して、でも女は超分かりやすく王子様的な存在である強くて逞しい騎士に恋をしていて・・・って、ほとんどおんなじシチュエーション。


よくあるありふれたパターンだけど、よくあるパターンだということは、昔はよくある話だったってことでしょう(今もなのかな)。司教とお姫様まではいかなくても、地主と村娘とか、そのレベルならよくありそう。
 
そんなふうに女を手に入れて、あからさまに自分のことを愛してないのに毎日一緒に暮らせるもんなの? 嬉しいんだろうか、男の人は。毎日一緒にいれば、そのうち自分のことを好きになってもらえるとかって思うのかな。
 
あああ、私にはわかんないなー。男じゃないからなー。わからん。私はヤダ。悲しい。「なかなかこっちのこと好きになってくんないなー」「なんで好きになってくんないんだよ!好きになれよ!!ボカ!」みたいな展開を想像して・・・ああこわい。ひとりでいいです。
 
 

こういう映画は好きじゃないけど、この映画は好きな理由

真面目な話(いつも真面目に書いてるけど)、この映画は個人的には好きなジャンルっていうわけでは別にない。たぶん同じこの内容でディズニー映画だったりしたら、わたしはおそらく見ない。「け。くだらん」と思う可能性が高い。「めんどくさい」とか「おっくう」とか。だからたぶん見ない。
 
でもこの作品は全然そうは思わない。今回もう30年ぶりくらいに見直したんだけど、思わなかった。
 
なぜか。
 
たぶん、”レディホーク” のイザボーが「短髪」だったからではないかと今回見て思った。この時代設定とか、シチュエーション、伯爵令嬢という人物設定で「短髪」って、普通はしない。絶対に腰くらいまであるロングだよね。お姫様なんだもん。
 
そういう保守的な匂いが、この手の映画を私が「キライ、めんどくさい」と思う原因な気がする。
 
でもこのイザボーは短髪だった。その短髪チョイスという選択に、なにかこう、現代的な思想とか潮流を感じて「嫌いじゃない」と思うのではないかなあ、と(このつたない文章で伝わる気がしない)。
 
 

無駄話

そしてこの映画を観るといつも連想するPVがこれ。a-ha「Hunting High And Low(1985)」。a-haの曲ではこれが一番好き。物悲しくドラマティックな曲で、PVがまた大好きで。胸が熱くなって、郷愁みたいな気持ちにすらなる。ここまで読んでくれたなら、絶対に見てほしい。映画とは全く関係ないと思うんだけど・・・コンセプトが似てるでしょう。


👇 a-ha 「Hunting High And Low(1985)」 曲もいい。
 
 
ところでこの映画、動物に変身した後、服ってどうしてるの? 人間に戻った時って真っ裸じゃん、どうしてるの? って途中でやっぱりちょっと、思っちゃったんですけど、「まあファンタジーだからそこはご都合主義でいいよ」って思って目をつむるつもりだった。

でも映画を観ていくと、ナバール夜になる前にちゃんと服ぬいでた! そしてイザボーは明日用に服、用意してた! 

いやー、びっくりした。そこまで丁寧に演出するとは。真面目だなあ。
 
 
 

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