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古い映画を中心に、本、仕事・・・etc. 驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「謎の要人悠々逃亡!(1960)」英国製のゆる~い戦争コメディ

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題名 謎の要人悠々逃亡!
監督 ケン・アナキン
出演 ジェームス・ロバートソン・ジャスティス、スタンリー・バクスター、レスリー・フィリップス、エリック・サイクス
上映時間 94分
制作年 1960年
制作国 イギリス
ジャンル コメディ、戦争、60's、モノクロ


ストーリーは、イギリスの天才航空科学者が、英国軍から任務を言いつけられて爆撃機に乗って飛び立つが、ドイツ軍の砲弾が着弾して放り出され、ドイツの捕虜になってしまう。彼は収容所のマヌケな仲間の協力を得て、収容所の玄関口から堂々と脱走する、という話。

コメディとは言っても爆笑系ではなく、くすっと笑う軽めの戦争映画といった感じ。

収容所からの脱走ものではあるが、よくありがちな「トンネルを掘って脱走」ではないところが本作のミソ。

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主人公は、作戦名ファーロー中尉(本名はアーネスト・ピース卿といって航空学博士らしい)。髭面の熊みたいな恰幅の良いおじさん。彼は優秀な学者らしくて、英国軍からなにかの任務を仰せつかってドイツ領へ爆撃機で飛び立つが、放り出されてドイツ軍の捕虜になってしまう。

ファーロー中尉が収容所にやってきた時、自分が割り当てられた7号室ではすでにトンネルが掘られ始めていて、垂直に掘られた状態でまだ横には伸びていない状態。ファーロー中尉が別の方法を思いつくからか穴掘りは進められず、そのすでに掘ってあった竪穴を使用するだけ。

ファーロー中尉が考える脱走方法というのが「私は出る時もゲートを通る」、つまり入ってきた来た時と同様に堂々とゲートを通って出ていこうという作戦だった。

具体的には2名が囮となってトンネルから脱走。その時にファーロー中尉は7号室にすでにあるトンネルに身を潜めて隠れて、あたかも脱走したのは3名だったかのようにドイツ軍に思わせる。2名はすぐに捕まり、当然ファーロー中尉は捕まらない。そのまま4週間くらい竪穴で生活し、ほとぼりが冷めた頃に堂々と逃げ出そうという訳。

結局、半年ごとに査察にやってくるスイス委員に成りすましてゲートを出ることに。ゲートの衛兵が2時間ごとに交代することから、スイス委員が入る時と出る時では衛兵が別人であることを利用して、堂々とゲートを通ろうというのだ。

そしてもちろん作戦は成功する。

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この手の捕虜物というか収容所物というか、だいたい結構楽しそうなことが多いけど、実際は一体どうなんだろう。今作の収容所もかなり緩い。

ファーロー中尉が割り当てられた7号室はカーテンがついていないのに、脱走したことになっているファーロウ中尉が普通にベッドで横になっていたり、靴下の穴を繕っていたりして、なんかすぐバレそうw

それに劇場とかもあって、同じ7号室の脱走仲間のクーパーとべインズは最初は漫才コンビとして登場しようとオーディションを受けるけど落選、ラインダンスのメンバーになって女装して踊ったりなんかしてる。楽しそう。

ジュネーブ条約がどうのというシーンが何か所かあるから、きっと捕虜の扱いに関しての決まりの中に、人間的な捕虜生活を保障しましょうみたいな条項があるんだろう。それが守られているかを査察する為に来たのが、スイス委員ということなんだろうな。

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脱走の段取りをするなかでお約束なのが身分証明書の偽造だけど、今作では靴底のかかとの部分に彫刻を施してハンコ代わりにしている様子が描かれていたし、民間人用の服を仕立てるテーラーが、壁の板を取り外しできるようにして仕立て中の服をしまうクローゼットを作っていたりして楽しい。

偽造と言えば平時は100%犯罪だけど、こういう戦争時だと途端にポジティブな印象になる。かっこいい。

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主人公のジェームズ・ロバートソン・ジャスティスが、髭面でクマみたいな愛想のない、でもチャーミングな役で私好みだった。

終始、厳格かつ横柄なピース卿だけど、脱走して帰国したピース卿がまず取り掛かったのが、収容所へ雑誌とかクロスワード・パズルとか裁縫セットとかを差し入れする準備だったりして、ピース卿の優しい一面が描かれていたのも良かった。

この映画は、彼が演ずる科学者アーネスト・ピース卿の功績をたたえる番組が制作されて、彼の生い立ちや人生を振り返るなかで、くだんの捕虜収容所からの脱走劇を回想するという作りになっているんだけど、親とか学生時代の同級生とかが出てきてもピース卿は全然笑わないし、すごく迷惑そうにしていたのに、最後の最後で脱走仲間たちが現れた途端、満面の笑みを浮かべて、「なんだ収容所でもみんなのことをバカ呼ばわりして仏頂面で全然笑わなかったけど、なんだかんだ言っていい思い出と言うか、いい仲間として認識してたのね。よかったよかった」という気持になった。

その脱走仲間たちの戦後の人生が面白い。

まず、ラインダンスのメンバーになって、女装したときに付けていたブラジャーが「きつい」と文句を言っていたベインズは、補正下着のトップ・デザイナーになっていたり、女好き全開にしていたはずのクーパーは宣教師になっていて、トンネル堀りに一番情熱を傾けていたエベレットは葬儀屋になって、今でも穴を掘っている(笑)というオチ。敵だった収容所の所長までが登場して握手して、みんな仲良さそうにじゃれあって楽しそうに大団円。んなわけネーダロって感じ(笑)

戦争ものとしては軽く楽しめる佳作という感じだった。

ちなみにトンネル大好きのエベレットと収容所の所長は、スタンリー・バクスターの二役。最初気づかなかったよ。

今回はこんな感じ。じゃまたねー。

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