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古い映画感想ブログです。驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「料理長(シェフ)殿、ご用心(1978)」ジャクリーン・ビセットが出ずっぱり。ブラックな味付けのサスペンス・コメディ

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題名 料理長(シェフ)殿、ご用心
監督 テッド・コッチェフ
出演 ジョージ・シーガル、ジャクリーン・ビセット、ロバート・モーリー、ジャン・ピエール・カッセル、フィリップ・ノワレ
音楽 ヘンリー・マンシーニ
上映時間 112分
制作年 1978年
配給会社 ワーナー・ブラザーズ
制作国 アメリカ、イタリア、フランス、西ドイツ 合作映画
ジャンル コメディ、ブラック・ユーモア、70's、食・料理

引用:「わしに脅しはきかんぞ。この体は最高の料理を集積した結果だ。世界最高のコックたちが創った芸術品だ。脂肪の一片一片が絵画であり詩であり音楽なのだ。つまりこの体型そのものが芸術大作なのだ。食べる楽しみがなく何の生きがいがある?」 美食家ヴァンダヴィアさんのセリフ


美食家で料理評論家のヴァンダヴィアさんが「世界最高の料理」として4人のシェフとその得意料理を選出し自らが発行する料理雑誌で発表したところ、そのシェフたちが雑誌の掲載順に、その選ばれた料理と同じ調理法で次々と殺害されていく、というおはなし。

犯人はだれ? 動機はなあに? という推理小説的な謎解きよりも、登場人物たちのすっとぼけた味わいや、ちりばめられるブラック・ユーモア、ジャクリーン・ビセットのファッション、ヨーロッパの街並み、美しい料理などを楽しむタイプの映画。

イギリス映画っぽいなと思ったんだけど、制作国にイギリスが入ってない・・・舞台がロンドンから始まる映画なのに・・・(゜-゜)??? フシギ 西ドイツが入ってるけど、西ドイツ感まるでなかったし・・・ (・へ・) ヘンナノ

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この映画、ひょうひょうとした軽めの映画なのに結構エグいんですよ。笑いながら「うわーエグイなー」って思う感じ。

一人目の犠牲者はイギリス人シェフ、ルイ。彼の得意料理は「ハト料理」。だからオーブンで丸焼きにされてて結構エグイ。

二人目の犠牲者はイタリア人シェフ、ゾッピ。ゾッピの得意料理は「ロブスター」。それでロブスターが泳ぐ水槽の中に浮かんでいる。

それで三人目は誰だ?となって、6人のフランスのシェフたちが「自分じゃないか」と大騒ぎ。それも「自分が狙われたらどうしよう・・・」と心配するというよりも、「自分がフランス一のシェフなのだから自分に違いない」みたいな、自信過剰な男ばっかり。「俺だ!」「いーや俺だ!」と被害者にみんながなりたがる。シェフのプライドを賭けて、命を失ってもフランス一のシェフとして死にたい、というわけ。

そのうち三人目の犠牲者として6人の中のひとりが殺されるけど、そんなことよりも問題なのはこの映画の主役で唯一の女性シェフとして選ばれているナターシャが、たぶん次の四番目に狙われるだろうということ。それを ナターシャの”元”旦那のマックスが、下心付きで彼女を守ろうとする。

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しかしナターシャったら一人目の犠牲者にも二人目の犠牲者にも口説かれてて、二人が殺されたときにその場にいるんだもの。でも疑われないのw 正確に言えば、疑われるんだけどあっという間に容疑が晴れちゃう。


一人目の犠牲者でオーブンでこんがりと焼かれてしまったルイの時は結構キビシメの刑事さんだったけど、彼とナターシャのやり取りがブラック。
 刑事「(犯人の)心当たりは? たとえばルイの部下のコックとか?」
 ナターシャ「まさか。肉を焦がすコックがいます?」
シェフネタww 

二人目の犠牲者ゾッピの時の刑事ラヴェロなんて、ナターシャと「一晩過ごしたい」とか言って口説いて思い切り断られるんだけど、その断ったことが良かったらしくて「これであなたが犯人ではないことが分かった」って言ってたw なんで。

その理由が「今まで94人の容疑者をベッドに誘って、そのうち37人が応じて、ひとりを除いて全員が犯人だったから」。だから応じなかったナターシャは犯人じゃないっていうわけ。で、「そのひとりは?」「私の妻になった」ってなって、ナターシャ「Oh~ やるわね」って顔してたけど、そゆことじゃないよ、ナターシャ。

こんな風にブラック・ユーモアがちりばめられてる映画。


ナターシャは美人でセクシーで、しかも”話の分かる女” だからすごくモテる。その口説かれるところも見どころで、日本人ではありえないラテン系なノリで、「ああ外国人だな」って感じ。特にゾッピが口説くくだりがお気に入り。口説くセリフも笑えるけど、特に去り際が必見。

そのナターシャを演じているのが、私の好きなジャクリーン・ビセット。

彼女は60~70年代の大スターなのに脱ぎっぷりが良くてかなり気前がいい。私は「太っ腹!」と思って尊敬してしまうのだが、今作でもわりとセクシーな格好を披露してます。わりとね。知的フェイスに巨乳っていう感じで、男性陣にはありがたいお方なんじゃないかなあ。

あ、今作は下着姿でちょっとセクシーなくらいですよ(誤解のなきよう)。

女性向けとしては、今作のジャクリーンのファッションは注目でしょう。今はまるで見かけなくなった「毛皮」を着ています!  なんか「久しぶり~」って感じで新鮮に感じた。登場シーンの毛皮なんて、キツネのしっぽが何本もジャケットのすそにぶら下がってるんですよ! 20世紀の遺物ですな。動物愛護団体が見たら「修正」されてしまうかもね。

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私はジャクリーン・ビセットが好きで「世界で一番美しい女性(のひとり)」だと思ってる。美人だけど「氷のような美人」ではなく親しみがあるし、表情も豊かでチャーミング、女性らしくて色っぽくて、そのうえ知的な感じもする。無敵。下品にならないから脱ぎっぷりすら「さすが!偉い!」と思ってしまう(笑)

そしてなにより、若いときに美しいだけではなく年齢を重ねてなお美しいんです。整形まみれになることなく、きちんと年を取っていて、そしてなおかつ美しい。

ジャクリーン・ビセット売り込みのために、気に入っているYoutube動画を貼っておきます。みてね。ほんと無敵だから(ヌードはありません)。

ところでこの動画で使用しているピアノ曲が、誰の、なんという曲かご存じの方がいたらぜひ教えて欲しい。美しくて、この動画にぴったりなんです。愛おしくて、胸がじーんと熱くなる。


Jacqueline Bisset Tribute


褒めたいところは他にもあって(しつこい)、私は彼女の「女優としてのキャリアアップを全く考えていなさそうな作品選び」をぜひ褒めたい。

普通だと、映画がつまらなかったり、演技力がそんなになかったりすると叩きたくなるじゃないですか。若いうちはまだいいとしても、ある程度キャリアを重ねてくるとどうしても演技力を求めたくなる。

でもジャクリーン・ビセットの場合、基本的に映画がつまんないんですよ(笑) たいした作品に出ていない(笑) 見ると大体いっつも「つまんねー映画に出てるなーw」って思うもの。おまけに役もつまんないことが多い。選んでないんじゃないかとさえ思う。たぶん女優として賞を取ろうとか、偉い女優になろうとか、まったく思ってないんだろうなあ。

で、そういうところも好きなんですw ファンだから。ファンってそういうものですよね。

 
 


今回この作品にしたのは、ちょっと前に記事にした『さらばベルリンの灯(1966)』にジョージ・シーガルが出ていたから。それを見たら、そういえば『料理長(シェフ)殿、ご用心』にも出ていたなあと思って。

 

www.mlog1971.com

 
『さらばベルリンの灯』では、抑えた演技でこの映画の「いぶし銀化」に大変貢献していたが、今作は真逆の「極めてアメリカ人」「アメリカ人のステロタイプ」「私たちが思うアメリカ人」みたいな役どころだった。


なんていうんだろう、「外国人から見たらアメリカ人ってこういう風に見えるんだろうな」という、そういう演技をあえてジョージ・シーガルはやっているみたいに見える。彼もアメリカ人だから、アメリカ人によるアメリカ人のセルフ・パロディという感じ。

ひどく大味で、表情とかもわざとらしく、二カッと笑って、身振り手振りもひどく大げさ。そして大衆向けの外食チェーンを立ち上げては会社を売って儲けているような人物で、味よりも安さで勝負する。当然食材の質は低くなる。

ナターシャは味を追求する一流パティシエだからまったく真逆のタイプだけど、ものすごくウマが合っている感じで、喧嘩していても微笑ましい。

いろいろあったけど、最後はハッピーエンドで終わる。よかったね、マックス。ナターシャには仕事もさせてあげてね。

今回はこんな感じ。じゃねー。
 

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