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古い映画感想ブログです。驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「フラッシュ・ゴードン(1980)」ジョージ・ルーカスが作ろうとしていたアメコミ・スペース・オペラ

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題名 フラッシュ・ゴードン
監督 マイク・ホッジス
原作 アレックス・レイモンド「フラッシュ・ゴードン」
出演 サム・J・ジョーンズ、メロディ・アンダーソン、オルネラ・ムーティ、マックス・フォン・シドー、トポル、ティモシー・ダルトン
音楽 クイーン テーマ曲「フラッシュのテーマ」
上映時間 111分
制作年 1980年
制作国 アメリカ
ジャンル アメコミ、スペースオペラ


「フラッシュ! ア~ア~!」というクイーンの主題歌も有名な、アメコミ・スペース・オペラ作品。

最初ジョージ・ルーカスが映画化を希望していて、それが叶わなかったから『スター・ウォーズ(1977)』を制作したという曰くありの映画。これがすんなり通っていたら、もしかしたら『スター・ウォーズ』シリーズはなかったかも。そして『フラッシュ・ゴードン』がシリーズ化され、カルト映画ではなくもっと普遍的な映画になっていたのかも(いないかも)。

さらにその『スター・ウォーズ』を見た『フラッシュ・ゴードン』制作陣が、「俺たちもあれくらいの特撮を!」と言って制作に乗り出したらしい。確かに、随所に『スター・ウォーズ』の影響がみられる。

ミン皇帝が銀河皇帝でしょう、クライタス将軍はダース・ベイダー風に見えなくもないし、ミン皇帝の根城内やザコ兵もスター・ウォーズ風に見えてくる。うん、見えてくる!

そのうえ私には、ゴレンジャーやサンバルカン的な戦隊ヒーローものにも見えた(古いけど)。

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****** あらすじ ******
アメフト選手のフラッシュ・ゴードンはセスナで乗り合わせた女性デイルとあっという間に意気投合。しかし嵐でセスナが墜落してしまう。

じつはその頃宇宙では、宇宙を統べるモンゴ帝国のミン皇帝が地球に大災害を起こし、最後は地球に月をぶつけて破壊しようとたくらんでいた。そんなこととは全く知らない地球人だったが、マッド・サイエンティスト認定をされてNASAを追われていたザーコフ博士だけがたったひとり真実に気が付いていた。ミン皇帝のたくらみを阻止すべく宇宙船を開発していたザーコフ博士は、たまたま不時着してきたフラッシュとデイルを乗せて宇宙へと向かう。着いたところはミン皇帝が周囲の国々を力で統べるモンゴ帝国だった。

その残虐非道なミン皇帝に反発を覚えたフラッシュは、早速ミン皇帝の部下たちと格闘になるがとらえられて処刑されてしまう。しかしフラッシュに興味津々のミン皇帝の娘オーラ姫のたくらみでフラッシュは死をまぬかれる。オーラ姫はフラッシュをモノにしようとし、ミン皇帝はミン皇帝で権力でゲイルを自分のものにしようとする。フラッシュは自分に色目を使うオーラ姫に誘惑されながらも、森の国アルボリアの王子バリンや、タカ男たちを率いるバルタンを味方に付けることに成功。ゲイルと地球を救出する為に共にミン皇帝を打倒するべく戦いを挑む。
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終始アメコミ感満載で楽しいんだけど、序盤のフラッシュとミン皇帝の部下たちの格闘シーンがどうしても戦隊ヒーローものに見えて仕方がなかった。ザコ兵が大勢いて、そのザコっぷりも戦隊ヒーローものそのものだし、衣装の安っぽさも共通している。

それにフラッシュはアメフト選手っていう設定だからか、アメフトのボールみたいなものを武器にして戦うんだけど、そういうのもサンバルカンなどを彷彿とさせて戦隊ヒーローっぽいのだった。少年向け娯楽作の全世界共通の様式美なのかな。

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大人気SFシリーズの中で「スター・ウォーズかスター・トレックか」という選択肢があるとした場合、断然スター・トレック派の私は長年スター・ウォーズを「SFじゃないじゃん。チャンバラじゃん」と思っていまひとつ面白さが分からなかったのだが、その理由がこの『フラッシュ・ゴードン』を見てはっきり分かった。

昔から「スター・ウォーズはSFか否か」という議論はあって、結論を先に言えばスター・ウォーズはSFというよりもスペース・オペラなのだけど、今作を見るとそれが理屈ではなく感覚的にはっきり分かる。『フラッシュ・ゴードン』に科学の要素は全くないのでSFではなく「古風な冒険活劇の宇宙版」なのは間違いないし、その『フラッシュ・ゴードン』を作りたかったルーカスが代わりに作った『スター・ウォーズ』も、やっぱり「古風な冒険活劇の宇宙版」なのはあたりまえなのだった。

私はルーカスが大学時代に制作した『THX 1138(1971)』は割と好きなのだが、初めに見た時あまりの作風の違いに驚いて、スター・ウォーズもいいけれどこっちの路線も開拓して欲しかったなあ、と思うのだった。


とはいえ私は冒険活劇が嫌いでは決してなくて、秘境探検ものとか好きだし、ターザンなんて小説も読んでるくらいだからどっちかといえば好きなのだと思うから、スター・ウォーズがSFみたいに扱われているのが好きじゃないのかもしれない。

というわけでルーカスのせいではなかった(ラベリングの問題だった)。SFだと思って見たのがいけなかった。今度、冒険活劇として見直してみよう(持ってることは持ってるので)。

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・・・とルーカスとスター・ウォーズの話ばかりをしてしまったが、今回の主題は『フラッシュ・ゴードン』。

ラストの方でフラッシュが、自分の命と引き換えに地球を救う決断をなんの躊躇も葛藤もなく即決していたあたりが「ヒーローだなあ!」と思った。自分ひとりの命なんかよりも地球を救うのが「当然」と言わんばかり。コンマ一秒も逡巡したりしないのね。凡人だとつい「自分だけでも助かりたい」とか思って躊躇したり葛藤したりしそうですけど、彼は全然。教育のたまものかしら。


そんなヒーロー、フラッシュ・ゴードンを演じ、栄えある第一回目のゴールデン・ラズベリー賞(ラジー賞)の最低主演男優賞にノミネートされたサム・J・ジョーンズは、見た感じもほんとうにアメコミから抜け出したような男。ちょっと長めの金髪で、マッチョで、かわいい男の子がそのまま大人になった感じで、「FLASH」って自分の名前が大きく入ったTシャツを着て登場して、ちゃんと脱ぎます(パンツ一丁になります)。

オーラ姫に命を救われたあと、「これを着て」って服を手渡されたフラッシュがパンツを脱ごうとしてたけど、パンツ脱がなくてよくない? だってパンツ一丁なんだから、そのまま上に着たらいいんじゃん。なぜ脱ごうとする(最終的にパンツは脱ぎません)。

そんな彼、サム・J・ジョーンズをひと言でいえば、なんていうのかしら、安い男w ラジー賞もノミネートどまりというのがなんとも残念。ぜひ受賞して欲しかった。

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それと比較してバリン王子役のティモシー・ダルトンは格好良かったし、演技もきちんとしていて深みも重みもあって、ちゃんと俳優だった。

ティモシー・ダルトンは第4代目のジェームズ・ボンドとして有名で、80年代後半はスターだった。だけどその頃私はまだ10代だったし、007シリーズに感心がなかったので「この俳優が新しいボンドなんだな」と認識したくらいで全く興味を持たなかった。

でも今作を見たら少し興味が出てきた。007シリーズもちゃんと観てみなけりゃいかんなあ。