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【映画】「舞台恐怖症(1960)」ディートリッヒとリチャード・トッドのキャラ設定が効果的

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題名 舞台恐怖症
監督 アルフレッド・ヒッチコック
制作 アルフレッド・ヒッチコック
脚色 ホイットフィールド・クック、アルマ・レヴィル 
出演 ジェーン・ワイマン、マレーネ・ディートリッヒ、マイケル・ワイルディング、リチャード・トッド
上映時間 110分
制作年 1950年
制作会社 ワーナー・ブラザーズ
制作国 イギリス
ジャンル サスペンス、スリラー、モノクロ


「私の幸福があなたの幸福なんでしょう。だからここまでしてくれた」 マレーネ・ディートリッヒの台詞

マレーネ・ディートリッヒの悪女ぶりと、リチャード・トッドの恋に溺れる間抜けぶりが後半にきっちり効いてくる、ヒッチコックらしいサスペンス・スリラー。

リチャード・トッドは以前『喰いついたら放すな(1960)』を見ているけど、あの時はとても間抜けな男役だったので、今作を見始めた時は「おや。また間抜けな役柄だな。彼の持ち味なのか?」と思いきや、その先入観を覆される展開でとても面白かった。

マレーネ・ディートリッヒのニヒルな悪女ぶりも映画をひっぱっているから、わたしはすっかり騙された。気持ちよかったな。

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****** あらすじ ******
女優の卵のイヴは、自分が恋する俳優ジョナサンからある秘密を打ち明けられる。ジョナサンの愛人であるスター女優シャーロットが夫を殺し、ジョナサンの所へ助けを求めにやってきたのだというのだ。シャーロットに首ったけのジョナサンはシャーロットに求められるまま、血がついたドレスを着替えるために彼女の家へ着替えを取りに行き、そこを家政婦に見られてしまったらしい。

イヴは犯人に間違えられたジョナサンをかくまうために父親の元へ連れて行く。夫殺しの犯人はシャーロットであることを知るイヴは、ジョナサンの無実の罪を晴らすため、シャーロットの家政婦として彼女のそばに近づき証拠探しに奮闘する。イヴは刑事スミスや父親の協力を得て、次第にシャーロットを追い詰めていく。
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くり返しになるが、やはり見どころはマレーネ・ディートリッヒ。冒頭に引用した台詞をさらっと言えるあたりが「いい女」。言えますか、こんなセリフ。


マレーネ・ディートリッヒは不思議な魅力があるなあ。ひと言でいえば「渋い女」。美人とか可愛いとかいう誉め言葉が当てはまらず、そういった言葉が陳腐にすら思えてくる、類を見ない独特の魅力。酸いも甘いも噛み分けたというか、清濁併せ呑むというか、やたらと大人の雰囲気を漂わせて、それでいてコケティッシュですらあるんだから大物感ハンパない。

そんな彼女が男を惑わして意のままに操る悪女を演じるんだから、わたしなんかイチコロですよ。


またリチャード・トッドの出だしが、格の違い過ぎる女に惚れたピュアな男、恋に溺れる間抜けな男、っていう感じで登場してくる。「ジョナサン、騙されてるよ!」って思わせて、ついで自らヘタな隠ぺい工作なんかしてドツボにはまっていくもんだから「あらあら」と思ったよ。やられたなあ。ナイス・アシスト。

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この二人の間を行ったり来たりするイヴと、途中で知り合う刑事スミスの恋が、なんだか高校生同士のカップルみたいに初々しいのも見どころ。ヒッチコックって大人のドロドロした恋愛劇みたいにしない(できない?)でしょう。いつもきれいにまとめてる。「若者の恋愛は清潔感のあるファンタジーにしたい!」っていう感じで、そういうヒッチコックの童貞感があふれてているところ、好きです。かわいい。

それに殺人のシーンも写さないし、血がドバーッとかにもしないし、「ギャー!」とか「キャー」とか女が大騒ぎしないし、殺人と犯人探しが主題なのにショッキングにあおることなく品よくまとめておきながら、でもしっかりショッキングという、絶妙にスリリングな脚本作りはヒッチコックならでは。さすがです。


ジョナサンのことが好きなイヴは、途中で刑事スミスに心変わりをするけれど、その「あ、心が変わったんだな」と観客に気づかせる演出もよかった。ジョナサンに抱きしめられて、イヴの表情は別のことを考えていて、ピアノが映し出されるところ。さりげなくて、効果的だった。すごいなあ。


そこにイヴがなにやら企んでいることを利用して金を巻き上げようとする浅ましい家政婦や、イヴを徹底的に信じてアシストする心優しく賢い父親などが彩を加えて、とても気持ちよく見られるサスペンスでした。

安心して楽しめるサスペンスの佳作というところ。おすすめです。


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