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【映画】「類猿人ターザン(1932)」 ジョニー・ワイズミュラーが美しい。ワイズミュラー版ターザン第一作目



おすすめ度 ★★★★★


題名 類猿人ターザン

監督 W・S・ヴァン・ダイク
制作 アーヴィング・タルバーグ(クレジットなし)
脚本 シリル・ヒューム
原作 エドガー・ライス・バローズ「類猿人ターザン」
出演 ジョニー・ワイズミュラー、モーリン・オサリヴァン、C・オーブリー・ス
ス、ニール・ハミルトン
音楽 ウィリアム・アクスト
上映時間 100分
制作年 1932年
制作会社 MGM
制作国 アメリカ
ジャンル 冒険、モノクロ

 

ターザン・シリーズについて

原作はエドガー・ライス・バローズの小説『類猿人ターザン』。シリーズ化されていて、日本でハヤカワ文庫が出しているものだけでも25巻ある。派生作品も多いし、知らない人はいないと言っていいキャラクターだけれど、世間が頭に思い浮かべるターザンのイメージと原作のターザンはまるで別物。原作では「アーアアー」とは言わないのだ。

映画版もシリーズ化されていて猛烈にある。1918年にエルモ・リンカーンがターザンを演じたのを皮切りに、現在にいたるまで50作品以上。なかでも最もターザンを演じているのがジョニー・ワイズミュラーで、12作品を数える。


個人的に小説の『類猿人ターザン』は思い入れのある作品で、というのも今は亡き父親が私にくれた本の中に『類猿人ターザン』の文庫本第一巻があったので、10代の時に読んで、いたく感銘を受けたという思い出がある。小説は続編も含めて今はすべて絶版でKindleなどにもなっていないようなので、興味のある方は古本で探してもらうしかないのだけれど、私は第1巻を2冊持っている。なぜかというと父にもらった本は劣化が激しくて、読んでいるうちにページが外れてしまったので、改めて古本を求めたわけ。でもそしたらまた外れてしまった。それくら古い文庫だということ。

映画化されていることは知識では知っていて、いつか見てみようと思っていたらDVD-BOXが出ていたので買い求めての視聴。買ってよかった。ターザン作品を全部見るのは私には不可能だけれど、そこそこは見てみたいと思ってる。

とりあえず第一作目の見どころを軽くまとめておく。

 

 

ターザン役のジョニー・ワイズミュラーが美しい




まずなにが凄かったって、とにかく主演のターザン役ジョニー・ワイズミュラーが凄い。

えらく美しかった。とてもハンサムで、高身長で、美しい筋肉美。文句ない美男子。髪の毛もびっしり生えていて、この毛髪量が萌える(私は髪の量が多い男性は好き。でもカッコいいハゲも好き)。そして全シーンがほぼ裸。ふんどし一丁。

その完璧ともいえる美しさのほぼ全裸姿で、登場シーンでは「アーアアー」と叫びながらジャングルの密林の中をサーカスの空中ブランコの要領で次々と飛びまわり、木から木へと軽やかに飛び移っていく。

いいよー、ターザン。

 
 

動物&猛獣たちが本物ですごい

猛獣や野生動物がたくさん出てくるけど、ライオンやチンパンジー、象は本物。ワニとカバは途中で人形というか模型というか作り物になる瞬間があったと思うけど、それ以外は本物が出てくる。
 
その中でもターザンの仲間の象たちが大活躍。どのシーンでもターザンとの信頼関係が伝わってくる、いいシーンばかりだった。
 
特に一頭の象が穴に落ちて這い上がれなくなった時、その象のSOSを聞いたターザンと象たちが協力し合って穴から救い出すところなんかは、ターザンと一緒になって象たちも丸太をどかしたり、ロープを引っ張って落ちた象を穴から引き揚げたりして、対等に協力し合う関係なんだな、という感じで良かった。
 
その救出に向かう時にターザンが「ヘイ!タクシー」じゃないけど、「アーアアー!」と例の有名な雄たけびをあげると象が一頭、迎えに来てくれるの。その象に飛び乗って救出に向かう! すごく仲良しな感じで楽しいシーン。
 
それにラスト近くで、ジェーンの父親とかが小人族に捕まって類人猿の餌食になりそうになった時もターザンと共に救いに来てくれて、小人族の攻撃で数頭は負傷しながらもジェーンたちを救出してくれるの。片足を負傷した象が村から逃げていくのが痛々しくて悲しい。
 
 

猛獣との格闘スタントがすごい

そして映画半ばあたりにライオンと12分間もの格闘シーンがあるけれど、これ本当に格闘してない? 本物のライオンとプロレスですよ、レスリングですよ、がっぷり四つの相撲ですよ。迫力満点。これどうやって撮影したんだろう。ターザン、途中で腕、喰われてたけど。

たぶんスタントなんだろうけど、それと感じさせない撮影テクニックも凄い。白黒映画で、映像も今みたいに鮮明じゃないことも手伝ってのことだろうけれど、普通に見てると本人が全部やってるように見える。余程背丈や体格などが似ているスタントでないとこうはいかない。
 
👇 イメージ画像です

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By Clinton Pettee, Original uploader was Madmikeyd at Public Domain Super Heroes - http://pdsh.wikia.com/wiki/Public_Domain_Super_Heroes Public Domain Super Heroes, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=16890046


あまりにも見事だったのでジョニー・ワイズミュラーってサーカス出身なのかしらと思ったくらい。たとえば、元々サーカス出で空中ブランコとか日頃からやっていて、猛獣などの扱いにも慣れていて、その慣れた猛獣を使って撮影しているのかな、スタジオがそういう打ってつけの人材を発見したので映画化できたのかな、だとしたらラッキーだったな、と思ったけど全然違った。

ワイズミュラーは元々水泳選手で世界記録もたたき出していて、オリンピックで金メダルを5つも獲得している本物の水泳選手だったらしい。エスター・ウィリアムズと同じ水泳系スター。その後モデルに転身して、そしてターザン役に抜擢されたらしいから、サーカスとは全く縁が無かった。私の妄想だったー(すんません)。

だから空中ブランコとライオンとの格闘シーンをもう一度、目を凝らしてよーく見てみると、うん、スタントなのかも。スタントなんだろうな。でも「明らかに別人」というスタントシーンの映画が多い中、「スタントマンかも」くらいにしか思わないんだからこの作品はよく出来てる。ちゃんと本人に見えるもの。これは大したことだ。
 
 

チンパンジーのチータがかわいい

それからターザンの友達であるチンパンジーのチータがかわいい。チンパンジーなのにチータ。

途中、6分くらいにおよぶターザンとジェーンのイチャイチャシーンがあるけれど、二人で水に入ってやたらといちゃいちゃイチャイチャしてんのよ。とにかくまーイチャイチャしてるの。それをチータがそばで見てる姿も可愛い。

白人たちに仲間の類人猿が殺されて「なんだよー、ふざけんな」と怒り顔のターザンと共に、類人猿をゆすったり叩いたりしてその死を悲しむ姿も愛おしい。チンパンジーって人間に似ているからか、やっぱり可愛い。

最後、小人族に捕まって船で連れ去られるジェーンが、川岸にいるチータに「チータ!ターザンに知らせて!」って叫ぶ。そこでチータは急いでターザンに知らせに行って、それでターザンはジェーンらを救出に向かう。

そしてチータは類人猿に足を持たれてブンブン振り回されて、地面に叩きつけられて放り投げられるんだけど、でも大丈夫、生きてました!・・・って、あれは死ぬでしょ。がんがん頭を打ち付けられてたよ。でも映画だからね、これでいいよ!
 

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MGM - Tarzan the Ape Man trailer (1932) at the Internet Archive, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=28266322による
 

一部は着ぐるみなのもご愛嬌

その中で、ターザンの仲間である類人猿だけは着ぐるみだったと思う(さすがに)。でもすごくよく出来ていて、着ぐるみ自体もよく出来ていたように思うけど、動きがすごく猿っぽいというか、オランウータンとかみたいなヒト科の類人猿ぽい動きをしていてリアリティがあった。
 
途中で類人猿たちがジェーンを投げてキャッチボールするといふ暴挙が繰り広げられてたけどw まあ吹き替えなんだろうけど、女優さんて、大変って思ったね(笑)。
 
 

原作との違い

というわけで、総じてとても楽しめる映画だった。とはいえ原作とはまるで別物。
 
ストーリーも違うし、登場人物のキャラ変も凄いし、はっきり言ってエドガー・ライス・バロウズ原作のターザンとはかなりかけ離れていて全くの別物。
 
👇 初版本のイラスト(らしい)

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By Unknown author - Original book, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=10502412


原作だとまずターザンは貴族の血がながれてるんだけど、そういった素性部分はバッサリカット。完全スルーで全く出てこない。ワイズミュラー版の映画ターザンはシリーズ化されていて12作品に上るらしいから、どこかで「実は貴族だった!」とエピソード・ゼロ的にでてくるのかしら。

原作ではターザンは「アーアアー」とは言わないし、特殊な出生と生い立ちにも関わらず、人間らしい知恵と知性を独力で獲得する高い知能を持ち、第一巻の終わりの方ではダルノー中尉の助けもあって英語とフランス語がペラペラになっているというかなりのインテリなのだけど、そういう一面はまったくなくって、映画では最後まで「おれターザン、お前ジェーン」式のカタコトを発するだけで、知性とは無縁に終わっていく。


他の登場人物も、ジェーンの父親は「世間知らずで研究の事しか頭にない学者」から「象牙で一攫千金をもくろむ貿易商」へ変更。

「ターザンの恋敵で実はいとこ」のクレイトン青年は出てこない。ホルトさんがその代わりなのかもしれないけど、そこまで大きな存在にはなっていなかった。

ジェーンは元々原作でもそれほど個性が強くはないけれど、映画版はいたって健康的で単純明快な活発なお嬢さんという感じで、原作のジェーンが持つ思慮深さや細やかな感情面がなくなってたかな。原作のジェーンの方がフクザツな心理を持っているように思う。


さらに大きな違いは、原作ではアメリカに帰ったジェーンを追ってターザンがアメリカへ向かうんだけど、映画は二人でアフリカで暮らしましたとさ、的な終わり方になってた。ぜんぜん違うじゃん。

これだと続編のストーリーも相当違うものになるだろうことは必死。私はぜんぜん構わないけれど。
 
 

感想

というわけで、原作はターザンの血と汗と涙と苦悩と絶え間ない努力、自分を育ててくれた類人猿の集団内での葛藤や、「みにくいアヒルの子」的なというか「スイミー」みたいなというか「黒い羊」的なというか、「自分はみんなと違う」という疎外感に苛まれている。

そしてそういったコンプレックスからくる「自分は偉大な人間の子なのだ、お前たちとは違うのだ」という自負心、そして夢に見た白人に対する失望が描かれるなどかなり複雑で深い作品なのだが、映画でのターザンと類人猿との関係はまるでユートピアのようで葛藤など全くない。

「みんな仲良く幸せな大自然」という感じで、そうなると最後ジェーンが「ここに残りたい!」と思ったのも当然だし、「なるほど、こういう展開であれば、のちにディズニーが映画化しようと思うのもうなづけるなあ」と思った。

でも原作は原作で、映画は映画でそれぞれ楽しめて、私は「両方あり」だと思った。小説版も二作目以降も数冊は読みたいと思っているし、映画も続編が楽しみ。

ジョニー・ワイズミュラー版ターザン、相当オススメです。

 

 


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