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【映画】「スーパーマン(1978)」 宇宙で一番孤独なヒーロー


おすすめ度 ★★

題名 スーパーマン(ディレクターズ・カット版)(Superman)
監督 リチャード・ドナー
出演 クリストファー・リーヴ、マーロン・ブランド、ジーン・ハックマン、マーゴット・キダー
音楽 ジョン・ウィリアムズ
上映時間 154分
制作年 1978年
制作国 アメリカ
ジャンル アメコミ、ヒーロー


 
私、別にスーパーマンが好きってわけじゃないんです。元々アメコミ好きでもないし、コスチュームが正直微妙だと思うし、クリストファー・リーヴが好きなわけでもない。このシリーズのロイス・レインきらいだし。ぎすぎすと骨ばっていてシワっぽくて可愛くなくて、2流のヒロインの代表みたいにぎゃーぎゃー騒いでうるさいし。
 
それなのにスーパーマンはなにか気になって、数年ごとになんとなく見直してしまうし、新作が公開されると「見ておこう」という気になる。あのスーパーマンのロゴを見ると胸が少しだけ熱くなる。

スーパーマンが虚空を飛んでいる姿を見ると、やっぱり胸が熱くなる。おすすめ度は★2つだけど、私にはスーパーマンへの微かな愛があるんです(熱愛ではないけれど)。なぜだろう。

 

あらすじ

宇宙のはるかかなた、クリプトン星では星の命運が尽きようとしていた。議員の一人であるジョー=エルはクリプトン星の危機を訴えてきたが他の議員は耳を貸さず、解決には至らなかった。ジョー=エルは生まれたばかりの息子カル=エルの命だけでも救おうと、隕石型の宇宙船にカル=エルを乗せて、はるか遠くの地球という星へと打ち出す。その直後にクリプトン星は崩壊。クリプトン星人は絶滅する(囚人として星外追放になっていたゾッド将軍らを除いて)。
 
地球に着いた幼いカル=エルは地球人の老夫婦に拾われ養子となり、クラーク・ケントと名付けられてすくすくと育つ。ケントの能力を知る義理の両親は、なんとか目立たず地球人として溶け込むように配慮してきたが、最終的には考えを変え、能力を生かす道を模索することをケントに許す。養父の死をきっかけに、クラークは自分が何者であるのかを知るため、父ジョー=エルが北極に用意した基地に向かい、そこでクリプトン星人として地球で生きるための修行を行う。
 
その後、メトロポリスへ向かったケントは新聞社デイリー・プラネット社に職を得、永遠の恋人となるロイス・レインと出会う。そして昼は冴えない新聞記者として、夜は地球を守るスーパー・ヒーロー「スーパーマン」としての二重生活が始まる。
 
その頃、地下深くの秘密基地ではケントの宿敵となるレックス・ルーサーが世界征服をもくろんでいた。カリフォルニアを沈めようと計画するレックス・ルーサーの野望を阻止するべく、クラークはスーパーマンとして立ち上がる。


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By Promotional image released by Warner Bros.. Obtainable at Warner Bros., Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=7451880

 

なぜスーパーマンが好きなのか

クラーク・ケントが好きだから
本当はあんなにすごい超人的な能力を持つスーパー・ヒーローなのに、普段は徹底的に隠して冴えない男を演じているというギャップが好きで。ひと言でいえば「能ある鷹は爪を隠す」の超人ヒーロー版。
 
それにクリストファー・リーヴの演技力のせいなのか、演出のせいなのか、はたまた設定上どうしても仕方がないのか、クラーク・ケントのダメ男の演じっぷりはとにかくわざとらしいんです(笑)冷静に考えればすごくわざとらしくて鼻につくレベルなのだと思うし、そう考えればこんな嫌な男もないもんだと思うんですけど、それでもクラーク・ケントが好き。ギャップ萌えってやつです。
 
ああいう、黒縁メガネにダサい髪型とネクタイ、カバンを脇にしっかり抱えてっていうオクテな感じに萌えるんですよ。分かるかなあ。
 
眼鏡だって間違いなく伊達メガネなんですよ! だって彼はスーパーマンで、視力うんぬんのレベルではなく、透視が出来るようなスーパーな能力者なんですよ。近眼ってありえない(笑)あざとい。
 
あざといんだけど、そこが好きなんですよね。
 
 
クラークの孤独を愛してるから
そんな私の好きなクラーク・ケントは、ずり落ちるメガネを指でちょいちょい上げながら、本当はスーパーマンなのにダメ男を演じている。そしてたいてい夜になるとスーパーマンになって空をパトロールして、地球の平和を守ってる。
 
だけど、こんな孤独な男もいないんですよ。宇宙で一番孤独な男。
 
だって生まれ故郷であるクリプトン星は爆発してしまって、もうこの世にはない。両親はおろか、同じクリプトン星人はこの世にはもう自分以外誰もいない。宇宙で、たったひとり。(ただし例外はいます)
 
自分と見た目が似ている地球人の間で成長するけど、その能力差は歴然としていて、その能力をひけらかせばロクなことにはならないから黙っているしかない。自分の抱える苦悩を理解してくれる人は誰一人いない。一応育ての母親がいるけど普通の地球人だから、同じ悩みを共有できるわけではない。ひとりぼっちの、悲しい青春。
 
それなのに、北極にデータとして保管されているクリプトン人の実父ジョー=エルは「地球人のために生きろ!」とか訳わからんことを言ってくる。まあ地球で生きるしかないし、地球人には世話になるしかないから地球の平和の為に生きることにするけど、「俺、ヒーローなんです!」って名乗りを上げることはジョー=エルに止められちゃう。理由は「そんなことをしたら24時間365日、地球の為に働かされる」から。
 
 
そうね、そうでしょうね。”神様並み” ですからね。旧約聖書に出てくるモーセの十戒に「神の名をみだりに唱えてはならない」というものがあるけれど、人々全員がむやみやたらと「神様お願い」「神様助けて」って言いだしたら、いくら神でも手が回らないしキリがない。だから言われる前に「気安く呼んじゃだめだよ」って釘を刺しておこうってことだけど、そんな感じ。「お願いする前に自分でも努力してね」って。
 
でもカル=エル(クラーク・ケントのクリプトン名)は神様ではないから戒律を授けたりはできない。だから自分の生活を確保する為に、スーパーマンとしての生活と、名もなき地球人クラーク・ケントとしてのプライベートな時間はきっちり分けて、両者は別人として活動するというわけ。
 
だからどんなに活躍して地球人の平和を守っても、クラークは誰からも感謝されないの。スーパーマンとは別人だから。
 
愛する女にすら真実を告げる事ができず、嘘をつき続けなければならないクラーク。

それなのにクラークは腐ること無く、健気にも昼夜を問わず人々を助けて、そして真夜中にたったひとり、宇宙空間を飛び回るの。
 
なんて孤独。
 
 
なのに映画からはそういう孤独感がほとんど感じられないところも好きだから
こんなに悲しい話なのに、映画からはそういう孤独感はほとんど感じられないところも好き笑
 
クリストファー・リーブ演ずるスーパーマンは、高校生くらいの時は能力差を隠さなくちゃならないつまらなさに不満を持っていて、そのままグレて陰のあるスーパーヒーローになる可能性も残していたけど、北極で修行してからは大人になって丸くなりあそばしたのか、そういった葛藤とはすっかり無縁のお方になった様子。
 
彼は、なんの疑問も矛盾も葛藤も感じられない、明るく屈託のない物わかりの良さを発揮して、清々しく空を飛ぶ。地球人を守り抜くのだという責任感すら持っていそう。神の目線で地球人を見ているのかしら。
 
・・・まあ、それを可能にするのが、ロイス・レインの存在なんだろう。愛するロイスのためなら、地球人ごと彼女を守っちゃおう、みたいな。もう丸ごと面倒見ちゃいますよと。
 
だけどクラークはスーパーマンに恋するロイスをすぐ隣で見ていながら、「僕がスーパーマンなんだよ」と告白することすらできないのだ。
 
かなしい。いいのかそれで。ニコニコしながら「気持ちいいなあ〜」って大空を飛んでいる場合なのか君は。

 



 
宿敵レックス・ルーサーも好きだから
スーパーマンの宿敵レックス・ルーサー演ずるのは名優ジーン・ハックマン。このハックマン、大好きです。だっておバカなんだもん笑
 
レックス・ルーサーは、どういうわけか分からないけど地下60メートルに巨大な秘密基地を持っていて、そこから世界征服みたいなことを狙っている。
 
その計画の手始めとして、なんとカリフォルニアにあるサンアンドレアス断層を利用して、カリフォルニアを丸ごと沈めてしまおうというの。
 
自分はサンアンドレアス断層より西側の、なんの価値もない砂漠地帯の土地を丸ごと買い占めたと。なぜそんなことをしたのかというと、その断層に上手に500メガトンの爆弾を打ち込むと、海側の発展した地域が丸ごと海中に沈むはず。するとロサンゼルスもサンフランシスコも大都市は全部沈むから、海岸線が移動して自分が買い占めた砂漠地帯が海岸線になる。するとなんとびっくり沈んだ都市の代わりにその砂漠地帯が発展するから、自分は大儲けできる、という算段。

天才的おバカ(笑)
 
アメリカのアメコミ・ヒーローの悪役はどういうわけかおバカが多くて、これは素晴らしいことだと思う。
 
 

結局、好きな理由は私の母性本能だと思う

と誉めてきたけれど、説教もしておきたい。

だいたい考えてもみたまえ。いま君がやっているスーパーマン家業の在り方は、かなり虚しくはないかい?
 
あちらで泥棒がでたとなれば飛んでいって泥棒を捕まえ、こちらで飛行機が故障したとなれば飛んでいって飛行機を支え、どこぞで誰かが命を危険にさらされているとなれば飛んでいって命を救ってって、そんな末端の対症療法ばかりをしていたら、永遠にエンドレスぞよ。
 
そのやり方では本当の意味で地球人を救うことはできないぞ! 毎日が忙しいだけで一生が終わるぞ!
 
クラークはレックス・ルーサーに「体よりも頭だよ。ぷぷっ」って笑われてしまっていたが、レックスの言う通りだよ! 頭もいいはずなんだから、もっと抜本的な解決に乗り出さなきゃ!
 
心配!
 
というわけで母性本能なんだと思います。だからスーパーマン・シリーズはついつい見守ってしまうのでした。
 
 

2000年代の新作もまあまあいいと思っている

・・・とかなんとかずっと思っていたら、2006年に1本、2010年代に入ると新作が盛んに制作されるようになった。
 
2006年のブランドン・ラウス版『スーパーマン・リターンズ』は往年のクリストファー・リーヴ版の延長線上にある決定版っていう感じ。クラーク・ケントのキャラも大きな変更がなくて、「ああ、クリストファー・リーヴのスーパーマンも、特撮技術的にはこういうことがやりたかったんだろうなあ」と思えて良かった。スーパーマンの衣装も格好良くなっていたし、何といっても主役のブランドン・ラウスがクラーク・ケントのイメージぴったりで良かった。かわいい。クリストファー・リーヴってちょっと癖が強いけど、その癖をなくした感じ。
 
その王道の決定版を経て、2013年の『マン・オブ・スティール』以降はリブート作品が次々制作されている。これはかなりダークな悩めるスーパーマンという設定で、『スーパーマンIII/電子の要塞』の延長みたいな感じ。暗くて、どんより。常々私が思ってきたクラーク・ケントの苦悩に焦点を持って行きたいように見えて、そういう意味では「キター!」と思った。
 
そんなこんなで、やはりスーパーマン・シリーズはこれからも期待を込めて見守りたいのでした。

 

 

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