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古い映画感想ブログです。驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「デス・レース2000(1975)」 B級感あふれるバイオレンスの有名カルト映画

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題名 デス・レース2000年
監督 ポール・バーテル
制作 ロジャー・コーマン
出演 デヴィッド・キャラダイン、シモーネ・グリフェス、シルベスター・スタローン
上映時間 80分
制作年 1975年
制作国 アメリカ
ジャンル ディストピア、バイオレンス、カー・アクション、おバカ



人類の半分が女だって? そんなこたあどうでもいい! 俺は撮りたい映画を撮るんだああ! 女の客なんざ相手にするかああ!

・・・と叫んだかどうかは知らないが、女の観客を全く当てにせずに作り上げた「清い」男の子向け映画。凡百の女どもなぞないがしろにして、進め! 男の道を!


というわけで、バイオレンス&お色気&おバカ&チープ&ブラック・ジョーク、というB級映画には欠かせない材料がてんこ盛り。我が道をゆく映画なので、好きな人は好き、分からない人には全く理解できない種類の映画かな(個人的には「いいんじゃない?」「嫌いではない」という感じ)。

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あらすじは簡単。
近未来である架空のアメリカが舞台。そこでは毎年3日間の「全米大陸横断カー・レース」が開催されていて、大衆の心をつかんでいる。今年もスター・レーサー5組が登場し、スタジアムやTVの前で観客は熱狂。しかし沿道でレースを見守ろうという観客はほとんどいない。なぜならそのレースは人を轢き殺すと得点がもらえる、デス・レースだったのだ。3連勝を狙う大スター ”フランケンシュタイン”、今年こそは優勝をと息巻くその他レーサーたち。そしてその非人道的なレースを阻止し、国家の転覆を狙うレジスタンスが襲い掛かる、という話。


NYあたりからLA(正確にはニュー・LA)までを、改造スポーツカーで爆走するんだけど、車のデザインはかなりイタイ。私には乗れない (^_^;)

レースだから当然、一位にはなっておきたいところだけど、このレースの目玉はなんと言っても「人を轢き殺すと得点がついて、その総合得点で優勝が決まる」ところ。

その得点換算方法が、
① 10代の若者は40点
② 12歳までの子供は70点
③ 75歳以上の老人は男女問わず100点
④ 女性は男性より10点加算
⑤ 年齢に応じて加算がある

細かいところはよく分からないのだけど、まあこんな感じ。これだけでも「ブラック!」と思うでしょう。実際、レーサーのひとり ”暴君ネロ” は、ピクニックする家族連れを発見して大喜びで赤ちゃんめがけて突っ込んでた(爆死してたけど)。

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しかしそれだけではない。病院の前では医者や看護師が車いすやストレッチャーに乗った老人たちを道路に並べ、轢き殺してもらおうと待ち受ける始末。その名も毎年恒例の「安楽死デー」。

これは笑った(笑) こういうノリが嫌いな方はぜひ見ないでくださいね。

どのご老人も達観したような、というか無表情を浮かべていたが、しかしこれ安楽死かねえ? (*´з`)

そしてそこに「高得点獲得のチャアーーーンス!」とばかりに突っ込むフランケンシュタイン!! ・・・かと思いきや、意外な行動に出るフランケン。

漢 オトコ(なのかしら)。


とまあ、こんな具合に轢き殺すこと轢き殺すこと。数えてみたら22人(たぶん)轢き殺してた(赤ちゃんは除く。理由は映画を見てね)。

だけど血のりが馬鹿に真っ赤なペンキみたいな色で、塗り方も「べたっ」と塗っていて、リアリティを全く追求しない方向性。わざとこうしてるんだと思う。だからそんなにグロくはない。マンガ的というか、おもちゃで遊んでる感じ。

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お待ちしています


ところでこの主役のフランケンシュタインだけれども、無敵かつ不死身らしくて生きながらの伝説みたいな男。壮絶なレーサー人生を歩んでいるらしく、92年にアゴが陥没、95年に右目を失い、97年に鼻と左目を、98年に片脚を失い頭蓋骨を骨折、99年に片腕を切断、顔を半分消失、体中プラスティックと鉄板で継ぎはぎだらけ、それでも死なない伝説の不死身男(と言われている)。継ぎはぎだらけだからフランケンシュタインというわけ。

黒づくめのファッションに身を包み(パンツまで黒だった)、頭からすっぽりとマスクをかぶって顔は見えない。目元がチラッと見える感じでは右目のところが壮絶に怪我してただれている感じ。ヘルメットのせいと、俳優さんのスタイルのせいで頭でっかちのやせっぽち、なんか・・・弱そう (>_<)ヒンジャクナノー

でも! 映画の設定では二枚目かつ女にモテモテの設定だからね!! くれぐれも言っておくけど「イケてる男」だから! 見るときはそのつもりで鑑賞してくらはい。


そして実際モテモテ。ファンクラブの会長(もちろん女)が代表して抱かれに来るという、ロック・スター顔負けのモテっぷり。ヒューヒュー。そっかあー、レースのナビゲーターってそういう任務もあったのかー。だからみんな男女カップルなのか。

・・・と思ったら、夜のお勤めは ”ナビゲーターの特権” らしい。では彼女は何をしに来たのかと言うと、「私という人間を知って欲しかったんです。愛してるわ」と言って去っていっていた。抱かれに来るよりヤバいヤツじゃん。これがエスカレートするとストーカーになり、相手を殺す、その入り口ね。

知って欲しいかねえ。自分が大ファンの〇〇さんに、自分の存在を知ってもらいたいもんだろうか。自分に存在意義がないからといって、好きなスターに認識してもらうことで「自分が生きている」ことを確認しようという・・・相手からしたらいい迷惑。嫌われに行くようなもんじゃん。私なら迷惑かけたくないけどなあ。

ま、映画ではストーカー化というよりも宗教化して、殉教していたけれども(私の予想はハズレて逆だった)。

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オペラ座の怪人的な


そして女性陣ですが、みんな脱ぎます。たいしてエロくないけど、かなりすっぽんぽんにはなります。あれ? ボカシ忘れちゃった?っていう程度には披露してくれます。

でもエロくは、ない。「脱いでいたな」というだけのレベル(期待しないでね)。

男性陣も脱ぐけどー、でもさすがに節度を持った脱ぎ方です。やっぱりね、男性はね、性器が露出してますからね。そこはまあ、見せにくいかなあ。


でもさ、途中で全員が一列になってマッサージを受ける場面があるけどさ(ここで裸なんだけどさ)、マッサージする側も裸な必要、あるぅ? マッチョな男たちが裸でさあ、腰にタオル一枚巻いただけでさあ、ローマ帝国かと思ったよ。なんか食いながらマッサージ受けてたし。このあと乱交の流れじゃん(なりませんが)。


もちろんこの映画は出だしから、かなりローマ帝国のイメージを借用して作られているのだった。あっけなくリタイヤしてしまう ”暴君ネロ” はその名前からしてあからさまに皇帝ネロだし、美女にぶどうを食べさせてもらいながらの登場で「ぶどうってなんかローマ帝国っぽい」と思ったのだった。

そういう目で見れば、レースのスタート地点であるスタジアムも、グラディエーターたちの競技場に見え・・・なくもない。”暴君ネロ”のいでたちも、相当安っぽいとはいえグラディエイターなのだった。


だけどローマ帝国のイメージで徹底しているわけでもなく、他の登場人物の「カラミティ・ジェーン」は西部の女性ガンマンから、「フランケンシュタイン」は架空の人物(?)から、マチルダは・・・”ナチスの恋人” と言われていたけどよくわからないし、マシンガン・ジョーも・・・別に特に由来はなさそう。


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そしてそのマシンガン・ジョーは、あの『ロッキー(1976)』でブレイク直前のシルベスター・スタローンが演じてる。

あまりファンではないので詳しくないのだが、それまで大した役をやっていない中、この『デス・レース2000』で準主役を、そして翌年の『ロッキー』で大スターへということで、ほんとうにこの映画でのシルベスター・スタローンはスター直前のお姿。


とはいえこの『デス・レース2000』で注目されたから『ロッキー』に抜擢、とかでは全くなく、自力で『ロッキー』の脚本を書き、映画会社に売り込みをかけ、意地でも主役をやると言い張って映画化にこぎつけたのだからすごい人だ。

映画会社はロバート・レッドフォードあたりで映画化しようと考えたらしいから、企画としても素晴らしいものがあったのだろうと思う。もしレッドフォードがやっていたら、『華麗なるヒコーキ野郎(1975)』とか『コンドル(1975)』あたりのレッドフォードがやっていたということになる。

ありだね! ( `ー´)ノ  似合いそう。女性ファンも押しかけただろうね! 


けれどもしレッドフォードがやっていたら・・・売れっ子のレッドフォードだし、『ロッキー』への思い入れもさほどないだろうから、続編が作られ、シリーズ化されたかどうかは実に怪しい。それにあれほどの骨太な作品になったかどうかも、怪しい。

やはりここは執念で『ロッキー』を生み出し、映画化にこぎつけたスタローンだからこその大ヒット&シリーズ化なのだから、スタローンで良かった。

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早くもランボーの片鱗が


ところで近未来のアメリカ国旗が、なんか社会主義国っぽい旗になっちゃってたのが気になる。真っ赤だし、シンボルも「拳(こぶし)」ですよ。「拳(こぶし)」。あからさまに「アカ」。

映画をみる限りでは、2000年のアメリカが社会主義化したかどうかはイマイチ分かりにくいのだが、レジスタンスの婆さんが「昔のアメリカを取り戻す!」的なことを言っていたし、国名も変わって「アメリカ連邦」だったし、レジスタンスのリーダー、ミセス・ペインが「79年の世界大戦以来、食事から睡眠、感情まで管理してうんぬん」と言っていたから、少なくとも管理社会にはなっているらしい。

そして映画の最後は今までのふざけた残虐さを取り繕うかのように、アメリカ批判?皮肉?社会批判?自虐? みたいなことを声高に叫んで意味ありげに仕立て上げてたけど、これもブラック・ジョークでしょうね。

バイオレンスとブラック・ジョーク満載ということになると、善良な人々にこのテの作品は批判されやすいから、それをあざ笑うかのように一応、意味ありげにしてみました的で、個人的には全然オッケー。真面目な人たちを小馬鹿にするこの感覚、私は好きですよ。

『サウス・パーク』シリーズなんかが好きな人は楽しめると思う。「自分は行けそうだな」と思った方はどうぞ(下のリンクをぽちっとね、なんてね)。


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アメリカ連邦の国旗