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古い映画感想ブログです。驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「荒野のガンマン(1961)」アクションではない西部劇~サム・ペキンパー監督デビュー作~

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題名 荒野のガンマン
監督 サム・ペキンパー
出演 ブライアン・キース、モーリン・オハラ、スティーヴ・コクラン、チル・ウィルス
上映時間 93分
制作年 1961年
制作国 アメリカ
ジャンル 西部劇、ドラマ


過去に傷つき過去に囚われている男と過去を持つ女が出会い、心を通わせていく物語。アクションというほどのシーンはなく、ちょっとした銃撃戦や殴りあうシーンがある程度。アパッチ族も出てくるが、白人側もアパッチ側も残虐行為は皆無。

日本では過去に『ワイルド・リベンジ/復讐の荒野』という邦題でビデオ発売がされたことがあるらしいが、この邦題からイメージするような、アクション&バイオレンス風味はあまりない。

ひたすら荒野を移動しているシーンが続く、比較的穏やかな西部劇だ。

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【登場人物】

イエローフット(ブライアン・キース)
北軍兵士として南北戦争に従軍し、そこで南軍兵士にナイフで頭の皮を剥がされそうになり、額に大きな傷がある。その相手に同じ目に合わせてやるため数年間探し続けている。額の傷を隠すため常にカウボーイ・ハットをかぶり、絶対に脱がない。右肩に銃の弾丸が埋まったままで右腕を挙げることができない。

キット(モーリン・オハラ)
元娼婦で未亡人。ひとり息子がいる。町の女たちからは常に嘲笑の的となり、陰口や噂話のタネにされている。イエローフットに息子を殺され、棺を夫の墓の隣に埋葬することに固執する。

ビリー(スティーヴ・コクラン)
早打ちが自慢のガンマン。女好きで、行く先々で女を物にしている。美しいキットを手に入れようと執着するが相手にされず、何度も力づくで襲おうとする。

ターク(チル・ウィルス)
イエローフットの仇(かたき)だが、本人はそのことに気が付いていない。大金をあつめて奴隷を大勢買い、軍隊にして共和国を作り、自分がその総大将になることを夢見ている。


****** あらすじ ******
北軍兵士として南北戦争に参加したイエローフットは、その際南軍兵士につかまり、頭の皮を剥がされかける。額に大きな傷を負ったイエローフットは復讐を誓い、その仇(かたき)を探して南部を渡り歩いていた。

ある日酒場で、天井の梁から吊るされた男と遭遇する。男の手にある傷を見て、その男が長年追い続けた仇(かたき)であると悟ったイエローフットは男をリンチから救ってやる。そこへ女連れで現れた早打ちガンマンのビリーも合流し、一緒に銀行強盗をすることになる。復讐のチャンスを得たイエローフットはヒラの町での銀行強盗を提案し、仇(かたき)のタークと行動を共にすることにする。

3人がヒラの酒場で飲んでいると、酒場を使用して行われるミサのため人々が集まってくる。その中には町の女たちから疎まれる、子連れの美しい女キットがいた。ビリーはキットにちょっかいを出すがキットはまるで相手にしない。3人が銀行強盗を計画していた矢先、別の無頼漢たちが銀行を襲っていた。先を越された3人は強盗らを襲い銃撃戦になるが、右腕を挙げられないイエローフットが撃った弾がキットの一人息子に当たって死なせてしまう。

町の女たちに散々足蹴にされてきたキットは「この町には埋葬したくない。死んだ夫が眠る町サリンゴへ行き、夫の隣に埋葬するわ」と言い、馬車で棺を引いて町を出ていく。今は廃墟となっているサリンゴまでの道中にはアパッチ族の集落がある。息子を死なせた張本人であるイエローフットは、ビリーやタークと共にキットの護衛に向かう。
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アメリカでは「血まみれのサム」と呼ばれているくらい、アクション映画やバイオレンス映画の監督として知られるサム・ペキンパーの監督デビュー作。でも今作はそういったバイオレントな映画には全くなっていない。

渋い、静かな佳作、といった風情。


まず主演のブライアン・キースが渋い。強い決意を持って黙々と自分の目的に向かって行動し、しかし人情や愛情を失ったわけではなく、やや甘い部分も露呈する。

基本的には渋めの大人の男といった役どころなのに、ラストでいきなり子供のような無邪気な笑顔を見せる。

・・・ちょっとベビー・フェイスでナイーブすぎた。私は笑う男の人があんまり好きな方ではないから、ここでこういう笑顔はいらなかった。照れ笑い位にしてほしかった。


そしてヒロインは『ノートルダムのせむし男(1939)』のエスメラルダ役だったモーリン・オハラ。当時は19歳くらい、今回は30歳くらい。エスメラルダの時も十分大人だったが、今回は娼婦で子供を失う母親役ということもあって、すっかり渋い苦みを醸し出していた。

ただヒロインとしては渋すぎた嫌いもある。埋葬場所に固執していて、終始眉にしわを寄せる深刻な表情で全体的に暗い。陰ありすぎ。

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映画の最後は、愛を得たイエローフットは同時に復讐もとげようとする。その必要はないとばかりに止めるキット。悲しい人生と傷ついた過去を持つ大人の男女二人は、きっと静かに寄り添って暮らすんだろうな、というラスト。



悪くないけど・・・なんか三日三晩くらい西部の荒野を棺を引いてウロウロしてて、「遺体、大丈夫かなあ。腐らない? 臭いとか凄そうだなあ」と、そればかりが気になってしまった。


あと、女好きビリーがキットを手籠めにしようとして無理やり押し倒そうとするんだけど、私は力づくで女を好きにしようというシーンが大嫌い。レイプ・シーンとか本当に嫌いで、「きゅーっ」とストレスを感じて険しい顔になっちゃう。

ビリーは本気で拒否しているキットを笑いながら襲うんだけど、ああいうの見ると「ああ、嫌がる女って男の人からすると娯楽なんだなあ」と思えてきて気分が暗くなる。「楽しいんだなあ」って。

男全員ではないと思うけど、悲しい。目をそらしたくなる。

なんか記事も暗くなっちゃった (*_*)


私的には「サム・ペキンパーの監督デビュー作として興味のある方はどうぞ」という感じ。

じゃ。( ̄ー ̄)/