おすすめ度 ★★★
題名 ビッグ・トレイル(原題:The Big Trail)
監督 ラオール・ウォルシュ
出演 ジョン・ウェイン、マルゲリーテ・チャーチル、エル・ブレンデル、タリー・マーシャル
上映時間 107分
制作年 1930年
制作国 アメリカ
ジャンル 西部劇、モノクロ
映画はジョン・ウェイン演ずる主人公の殺害された友人の復讐劇と、主導権をめぐる悪党どもの駆け引き、ヒロインであるルースをめぐる三角関係などが絡んで物語が進んでいく。
でも、そういった登場人物たちの人間ドラマを描くことが目的というよりは、西部開拓時代に東から西へ西へと移動していった人々の ”旅そのもの” を描くために登場人物たちのドラマがある、といった感じだった。西部開拓時代そのものを描くことがテーマだと思う。
この描き方、切り口は良かった。
そして若きジョン・ウェインの格好よさ。当時23歳。これだけでも見る価値がある。ほんと格好良かった。惚れた。
👇 若かりしジョン・ウェイン23歳 惚れた
By Max Munn Autrey - Scan via NotreCinema.com. Cropped and retouched from original image; see upload history below for unretouched original., Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=87263571
****** あらすじ ******
西部開拓時代。新たな土地を求める人々が、アメリカ中からミシシッピーに集結していた。そこへブレイク・コールマン(ジョン・ウェイン)が合流する。コールマンは、殺された友人の復讐のために犯人を探していた。
一方、ミシシッピー川に蒸気船が到着し人々が流れてくる。その中には良家の娘ルース・キャメロンと、彼女を気に入り熱心に口説く男ソープがいた。ルースと偶然知り合ったコールマンも彼女に恋をする。恋のライバルとなったソープはルイジアナに農園を持つ裕福な男を演じてルースを口説いているが、実際は絞首刑寸前の人殺しだった。
コールマンは、目指すべき新天地を決めかねている人々にオレゴンより北に素晴らしい土地があることを告げると、人々はそこが自分たちが求めていた土地であると確信し、半年以上かけて目指すことにする。悪党のフラックが牛の大群をオレゴンの交易所まで運ぶ仕事を請け負っており、その旅に人々も一緒について行くことになる。コールマンはそのフラックが友人殺しの犯人ではないかとの疑いをかけていた。
友人殺しの復讐と、惚れたルースを守り彼女の愛を得るために、コールマンはその3000マイルの旅に同行することにする。
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トーキーなのに、まるでサイレント映画のように中間字幕が入る映画は初めて見た。
世界初のトーキー映画と言われる作品が1927年の『ジャズ・シンガー』だから、いかにもサイレントからトーキーへと時代が移り変わっていく狭間の作品という感じで興味深かったし、中間字幕があることで「ストーリーや時代背景がわかりやすい」という効果もあったように思う。
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人々の一団はジョン・ウェイン演ずるコールマンを道しるべにオレゴンの北にある新天地に向かい、長い旅の末にようやく目的地へたどり着くのだが、たくさんの牛や馬、幌馬車を従えて、河を渡り、木を伐りながら森を抜け、険しい断崖をくだり、乾いた荒野を乗り越え、猛吹雪の吹き荒れる雪山を越えていく。シャイアン族の襲撃にもあう。
馬に乗ったり幌馬車に乗ったりする馬を使った旅だけど、現代から見ればそれは「徒歩」と言ってもいいレベル。
聖書にある「出エジプト記」とかであの辺をうろうろしていたイスラエルびととそう変わらないなあと思って、この時代くらいまでは人々の移動って、紀元前とそう変わらないのね、という感想を持った。
そしてそれらの旅のシーンは割と「引きの映像」が中心で、だから地味で淡々としていて冷静に見られる感じ。「きゃー」とか「わー」とか「ひえー」とかそういう娯楽性が抑えられていて、私は好感を持った。
・・・だけど・・・崖くだり、無理でしょ(恐)。 直角でしたよ。牛は大切な商品だからか一頭ずつ降ろす感じで丁寧だったけど、幌馬車なんか突き落としてる感じだったよ。人々はロープを使って崖を降りたりしていたけど・・・
仲間を大勢失ったであろう、過酷な旅だった。アメリカに渡ったピューリタンたちは、こんなふうに西へ西へとアメリカ中に広がっていったんだなあ。
そして特筆すべきはジョン・ウェインの格好良さ!
ジョン・ウェインと言えばハリウッドの西部劇の代表格ともいえる大スター。でも30歳を過ぎてスターになった人だから、私が雑誌等で見てきたジョン・ウェインの姿はどれも「オジサマ」なのだった。
それも割と50代くらいに見える熟年レベルのオジサマ姿で中年太りぽいし、しかも個人的には「西部劇」とか「タフガイ系」はそれほど興味がないから割とスルーしてきていた。
今回「たまには西部劇でも」と思ってきまぐれに見てみたけど、西部劇がどうとか、映画がどうとかいうよりも、ジョン・ウェインが本当に格好良かった(笑)
👇 同じく若かりしジョン・ウェイン23歳 まじで惚れる
By Distributed by Fox Film Corporation. - Scan via Pinterest. Cropped and retouched from original image; see upload history below for unretouched original., Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=87262340
背はどのくらいあるのか伺い知れないが、中肉中背という感じでスタイルもいいし、ややパーマがかった髪型も好ましい。
そして何よりむやみに笑わないところがいい。
この作品でのジョン・ウェインは笑わない訳ではないけれど、映画内で「男してる時」は別にそんなに笑ってない。だけど信頼しているジーン(じいさん)と話している時とか、恋したルースと話している時は嬉しくなっちゃって笑顔になる、っていう感じで良かった。
普段は無駄に笑わず、笑うとかわいい。
やや活舌に難がありそうだけれど、そこは「それがタフガイ」ってことで良しとしよう。
この映画はヒットしなかったようでスターになれなかったみたいだけど、このジョン・ウェインは見る価値がある。
というわけで、俄然ジョン・ウェインに感心を持つに至ったのでした。
若かりしジョン・ウェイン、要チェックと。 φ(`д´)メモメモ...
追記:211110 その後、売れない不遇時代の映画を集めたDVD-BOXを黙々と見て、ジョン・ウェインが売れなかった理由を知るのであった。映画がつまんないのよ。