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【映画】「船乗りシンドバッドの冒険(1947)」 シンドバッドの自慢しいなお調子者感がすごい

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題名 船乗りシンドバッドの冒険
監督 リチャード・ウォーレス
出演 ダグラス・フェアバンクス・Jr、モーリン・オハラ、アンソニー・クイン、ウォルター・スレザック、ジョージ・トビアス
音楽 ロイ・ウェッブ
上映時間 117分
制作年 1947年
制作会社 RKO
制作国 アメリカ
ジャンル 冒険、ファンタジー、海洋



「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」でおなじみ、船乗りシンドバッドのお話。でも今作は「千夜一夜物語」とは何の関係もない ”外伝” 的な話。

シンドバッドものは何度も映画化されているけど、今作は日本では情報が手に入りにくくて割と軽く扱われているのかも。

とはいえシンドバッド役はダグラス・フェアバンクス・Jr だし、ヒロインには『ノートルダムのせむし男(1939)』などのモーリン・オハラが起用されているから、当時のいわゆるスター映画なんだろうと思う。


物語は、船乗りのシンドバッドがいつものように「定番の7つの大冒険」の話を身振り手振りでそりゃあもう自慢げに話していると、聞いていた仲間に「その話は聞き飽きた。いつも同じ話じゃないか」とキビシイことを言われてしまい、「じゃあ」とばかりに「8つめの冒険」を話し始める、というのがこの映画。

そもそも「シンドバッドの冒険物語」といえば「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」に出てくる話として有名だが、実は元の「千夜一夜物語」にはこんな話は全然なくて、18世紀に入って出版されたフランス版にいきなり登場するらしい。シンドバッドは千夜一夜物語とは別にアラビアの昔話としてあったらしくて、それをアントワーヌ・ガランというお方が西洋に「千夜一夜物語」を初紹介するときに勝手に追加したらしい。実はガランが追加した物語は他にもあって、「アラジン」や「アリババと40人の盗賊」もそうなんだとか。

・・・全部じゃん。「千夜一夜物語」と聞いてすぐに思い浮かべるやつ全部じゃん。もはや「これ抜かしたら他になにがあるの」というレベルな気がするが。

とはいえガランがいなければ「シンドバッド」も「アラジン」も「アリババ」も、私たちは知らずにいたかもしれないし、千夜一夜物語もこんなに世界的有名にはならなかったかもしれないと考えると、お互いが助け合って不朽の名作と化したわけだから結果的には大したもんだ。

それにしてもこの映画のシンドバッド。出の瞬間からいきなり私の心をつかんだね。インチキ臭いお調子者感満載。だってこのカメラ目線だもの。

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この感じ


****** おはなし *******
シンドバッドがいつもの十八番の7つの冒険談を話していると、聞き手たちが「聞き飽きた」と言いだす。そこでシンドバッドはまだ話していない8つ目の冒険談を話し始める。

ある時シンドバッドは乗組員が全員毒殺された船を手に入れる。その船にはアレクサンダー大王の宝の伝説のある「デリアバー島」への地図があり、さらに船の丸窓に描かれたステンドグラスの絵柄が、不思議なことに自分が首にかけているメダルとまったく同じであることに気づく。

その船で訪れたバスラの港で美しい女シリーンと出会う。しかし彼女はダイブルの首長エミールの妾の一人だった。シンドバッドは早速シリーンに会うためエミールのハーレムに潜入。シリーンの心を奪うことに成功する。

シンドバッドはアレクサンダー大王の宝を手に入れるためデリアバーへ向けて出発する。船には一風変わった床屋メリクが乗っていた。さらには財宝を狙う首長エミールが後から追いかけてくる。宝を狙うシンドバッド、メリク、エミールの三人は、利害が一致する間だけ協力し合うことにしデリアバーへ向かう。

到着したデリアバーは荒廃しており、王が寂しく暮らしていた。一行はシンドバッドが胸に下げているメダルを証拠にシンドバッドを王の息子アーメド王子であると騙し、王から財宝を手に入れようとする。
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「この話の意味をわかってるのか? 教訓は勇気と忍耐と喜びだ。人は価値のない物のために争っている。こんな物砂粒と同じ」 

シンドバッドの台詞


これはシンドバッドの最後のセリフ。「こんな物」というのは財宝のこと。シンドバッドが手に入れた価値のあるものは「愛」。でもしっかり財宝も手に入れていたけど。


人生で最も大切なものは「愛」か「金」かという議論は永遠のテーマ的にあって、意見が分かれるところ。私は・・・「金」かなあ(苦笑い)。

でもなぜこの選択肢で「愛」を選ぶ人はなんとなくきれいごとに思われて、「金」を選ぶ人は自分で罪悪感みたいなものを感じてしまうのだろう。

実際私は今「金かな」と書くときにやや躊躇して(苦笑い)と書いている。それは「こう回答すると周りになんか思われるんだろうな」という、周りの目みたいなものが気になって苦笑いをしてしまうんだと思う。さらには「いけませんか?!」みたいな、妙な気持にもなる。誰も批判してないってば。


だけど屈託なく「愛だあああ!!!!」みたいに言っているシンドバッドの姿も十分滑稽だった(笑) 

だからいずれにしても「愛か金か」という二択は、どちらを選択しても「もやもや」としたものが残るんだろう。だから・・・やっぱり私は「金」で(笑) 莫大なお金はいらないけど、やっぱり先に生活と気持ちを安定させたいもん。それから必要ならば愛を探す、という順番にしたい。

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・・・まあそんなことはどうでもいい。この映画は別にそんな深く考えるような映画じゃない (^_^.)

私にとってのこの映画の最大の見所は、何と言っても主演のダグラス・フェアバンクス・Jr の大げさな身振り手振りと、にやけた二枚目ぶりでした。とにかく身振り手振りが大げさで、ミュージカルでもなんでもないのにまるで踊るかのような立ち居振る舞い。

登場するや否や、のっけから両腕を大きく広げて登場して、ぶんぶん振り回しながら体を左右に振りつつ、あっちへ移動してこっちへ移動して、躍動感のかたまり。他の登場人物はそうでもないから、シンドバッドの調子よさが際立っていた。


そして注目すべきは悪役ジャマール(=メリク)のお姿。

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ジャマール(別名メリク)


ウォーフじゃん ( ゚Д゚)

新スタートレックのウォーフじゃーん! (´▽`*)ヒサシブリ

ウォーフがこんなところに登場するとは思わなかった。さすがにおでこはゴツゴツしていないが、ヒゲといい、おでこの禿げあがり方といい(広いだけかな?)、ゴツゴツ以外はまるっきりクリンゴン人。


そのウォーフを、じゃなかった、ジャマールを演じているのが ウォルター・スレザックという俳優さんなのだけど、悪役なのになんか可愛らしいの。

前半、シンドバッドの船に乗り込んで、しかも船長でシンドバッドが座るべき席にずうずうしくも座ってるのだけど、三つ編みしてるの(笑)ちっちゃいちっちゃい三つ編みを編んでるの。自分の髪の毛で。

ちょっと仕草とか立ち居振る舞いが「おネエ」っぽいんだよね・・・指の動きとか、首の動きとか、表情とか、全体的に「乙女感」が漂っていた。

英語版Wikipediaで調べてみたら(日本語版はないのね)、あら、若い時ハンサムじゃないの。お目目がぱっちりしてて、うん、きれい。

でもこのジャマール役ではすでに50代。けっこうおデブちゃん化しているのだった。やっぱり・・・かわいい。

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ピンクがすきなのかな


そしてヒロインには『ノートルダムのせむし男(1939)』のモーリン・オハラ。ここでは結構、強欲なヒロインを演じていた。

オハラ演ずるシリーンは、どこかの族長の娘らしくていいとこの子なんだけど、もっと有力な国の首長様エミールのハーレムの女たちのひとりに過ぎない。

「7女なの」と言っていたからそれが原因かも・・・7女じゃあなあ。財産も分けてもらえないだろうし・・・有力者のハーレムに行けば、綺麗に着飾って贅沢な暮らしはできるから・・・

でもハーレムには女たちが大勢いて、シリーンはその中で一番になりたくて色々と知恵を巡らせていたらしい。首長エミールの一番の寵愛を得ようというわけ。

それで「莫大な財宝を手に入れて、世界を手にしたい」というエミールの野望を叶えるために、シンドバッドの船を手に入れようとしたり、デリアバーの場所を突き止めようとしたりする。・・・見方によっては健気で忠誠心のある、いい女。

ま、財宝を”半分もらおう”としていたりもしてたけど (*´з`)

ところがシンドバッドが首にかけているメダルを見て、「あの財宝伝説のデリアバーの王子、アーメド王子じゃないかしら!」となった途端、ころっと態度を変えてキラキラ瞳が輝いちゃったりして。口説いてもらえるように自分の居場所を教えたりなんかして、変わり身も早い。やっぱ悪い女だな。

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でも可愛いところもあって、シンドバッドが実はぜんぜんアーメド王子ではなくただの船乗りであることを知ると、むしろ俄然シンドバッドが好きになってしまう。

どうやら冒険野郎シンドバッドは相当有名人でシリーンの子供時代からのアイドルだったらしく、シリーンにとっては「シンドバッド>>>アーメド王子」だったみたい。

確かに冒頭のシーンの、シンドバッドが自慢話をする様子を見れば、かなりあちこちで自慢しまくっていたと思われるから、噂が広がって「英雄シンドバッド」となって人々に語られていただろうことは想像できる。


でも簡単に「好きよ」なんて言ったら女がすたるから強がってるけど、内心シンドバッドを愛するようになっていたシリーンは「財宝なんかよりもシンドバッドの命の方が大事」とかなりのキャラ変をして、財宝を手に入れようとムチャをするシンドバッドの邪魔をしてシンドバッドに誤解されたりして、けっこうツンデレなの。

最後はデリアバー王の計らいもあって、二人は結ばれる。

そしてシンドバッドの8番目の冒険談はこれでおわり、話を聞いていた人たちに「財宝なんて価値がない!この世の一番の宝。それは愛だぜ!!」と更なる自慢を高らかにして、二人は船で去っていく。このお話は作り話ではなく、本当の話なんだよ、というわけ。

でも絶対に財宝を取りに行ったな。うん。

というわけで、めでたし、めでたし。

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