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古い映画感想ブログです。驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「ロビンフッドの冒険(1938)」後半ぐいぐい面白くなる、1930年代の大スター、エロール・フリンの代表作

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題名 ロビンフッドの冒険
監督 マイケル・カーティス、ウィリアム・キーリー 
出演 エロール・フリン、オリヴィア・デ・ハヴィランド
上映時間 102分
制作年 1938年
制作国 アメリカ
ジャンル 剣戟、冒険活劇、アクション、ラブロマンス

 

「変わった人ね」「弱者の味方だから?」「いいえ。行動を起こすからよ」 マリアンとロビンの会話


かっくいい(マリアンが)。


前回『バンデットQ(1983)』を見ていたらロビン・フッドが出てきたので、「はた」と思いついて『ロビンフッドの冒険』を見てみることにした次第(たまたま持ってたから)。

1920年代のダグラス・フェアバンクス、30年代後半のエロール・フリンというこの辺が、今で言うところのアクション・スターの元祖なので、自然この映画を観ると草創期のアクション映画が見られる(はず)。おまけにこの『ロビンフッドの冒険』はエロール・フリンの代表作だし、傑作との呼び声も高いから期待できる(はず)。

しかも今作は制作に200万ドルをつぎこんだと言われるくらい、カラフルで贅沢なつくり。期待したいなあ。


ロビン・フッドを映画化した作品は山のようにあって、私の記憶では確か90年代にあのケヴィン・コスナーが、最近ではなんとラッセル・クロウまでがロビン・フッドを演じているのだ。人気ある。

でも・・・私にとってロビン・フッドはあまり馴染みがない。緑色の服を着て、羽のついた帽子をかぶって(バイカケット帽というらしい)、金持ちからお金を盗んで貧乏人に配るような義賊で、弓の名手で・・・これくらいしか知らない。

すごく緑色なんですよ。全身ですよ。でも帽子は茶色で茶色の上着を着たりもしていて、森にいるから保護色かしら。

ちなみに弓の名手と言っても、頭に乗ったリンゴを弓矢で射落としたのは・・・ウィリアム・テルです。お間違えなきよう(私はあやうく間違えそうになったw 心配だったから調べてよかった)。


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****** あらすじ ******
時は1191年の英国。リチャード王が臣下に国を任せて十字軍遠征に参加してしまったため、英国は王不在となっていた。しかも王はオーストリアの捕虜となってしまう。仲が悪かったリチャードの弟ジョン王子は、これ幸いにと腹心のガイ卿と結託し、この隙に国を乗っ取ろうと画策。自分と同じノルマン人を優遇し、サクソン人に重税を課して拷問するなどの弾圧を開始した。

サクソン人の貴族、ロックスリーのロビン卿は ”愉快な仲間たち” と共に、迫害されたサクソン人をシャーウッドの森に保護し、リチャード王解放の身代金にするためにノルマン人の財産の強奪を開始する。また、王を頼ってきたノルマン人の姫マリアンと出会う。マリアンはシャーウッドの森でサクソン人迫害の実態を知り、またロビンに惹かれるようになったことから、ロビンの味方に付くようになる。しかしロビンのために情報を流していたことがジョン王子たちに知られ、マリアンは城で囚われの身となってしまう。

ロビンは捕虜から解放されたリチャード王と偶然出会い、共にジョン王子の陰謀を阻止すべく城へ乗り込む。ジョン王子の野望は打ち砕かれ、ロビンはマリアンを手に入れ、めでたしめでたしとなって大団円を迎える。
********************

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はい、悪い奴ふたり

 

「命がけで王弟勢力に立ち向かうなんて、ノルマン人を敵に・・・」「敵はノルマン人ではなく不正なのです」 マリアンとロビンの会話


うーん、言うことがヒーロー。「敵は不正なのです」 罪を憎んで人を憎まず的な。正義だなあ。男前だなあ。


映画は「どうせ勧善懲悪な単純な映画でしょ」くらいに思ってあまり期待しないで見始めたのだが、意外や意外、意外と面白かったのだった。

実際に単純明快な勧善懲悪ものであることは間違いがないのだが、カラフルすぎるほどカラフルな、当時ありがちな「これぞ総天然色カラー!!」といった映像も楽しめたし、出てくる役者がそろいもそろって深刻になりすぎず、軽めのタッチで物語が展開していくのも良かった。それに主役のエロール・フリンはともかく、その他の俳優たちが ”味わい深いお顔立ち” をしていてとてもいい。そしてマリアン役のオリヴィア・デ・ハヴィランドの演技がチャーミングで引き込まれて、思いがけず楽しむことができたのだった。



まずは、ロビン・フッドの元に集まってくる ”愉快な仲間たち”。

主役のロビン・フッド役は当代きっての大スター、エロール・フリン。色男のエロール・フリンがロビン・フッドなのだからこれは格好いいに決まってる。

過去の大スターというのは ”格好いい” ということでいいのだ。疑問や個人的な好き嫌いをはさむ必要はなーい。


で、それ以外の ”愉快な仲間たち” が、1mmも格好良くないの。もうぜんぜん格好いい要素ゼロなの。ほぼ全員がね(笑)、ちっとも格好良くない。

女にはまるっきりモテそうにない登場人物たち。その上、いくらも活躍しないと来たもんだw。

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1番目の マッチ


最初に仲間になるのが、弓の名手らしくて王の鹿を殺して死罪になりそうになるところをロビンに救われる ”マッチ” 。

こりがなー、どう見てもオジサン。小さなオジサン。年のころは・・・40代くらいには見えるオジサンなの。ぜんぜん女にモテそうにもないし。

で、実際女の人と並んで歩いたことすらないらしくって、マリオン姫の付き人ベスが乗った馬を引きながら「女の人と歩くの、おら初めてだあ」みたいなことを言っていた。

やっぱりモテてなかった。



マッチの次に仲間になるのが、棒使いのジョン。リチャード王の弟ジョン王子と名前が一緒で紛らわしい。

イギリス。ていうか英語圏。どんだけジョンなんよ。

むかし、何の映画か忘れたが、カリフォルニアあたりのビーチで水着姿のハクイねえちゃんが(表現が古い)若い男をナンパしようと大声で「ハーイ、ジョン!」と叫ぶと金髪ボーイが何人か振り向き、友達が「知り合いがいるの?」とかなんとか聞くと、「ジョンって言っとけば絶対引っかかんのよ」とかなんとか言っていたのを思い出す(イギリスじゃないけど)。

ジョン多すぎ。

とはいえ、こちらのジョンは細マッチョの若い金髪ハンサム・ボーイでは全くなく、マッチよりは背が高くて大柄で、マッチよりは頼りがいがありそうだけれども、無精ひげでお腹の出た大きなオジサンw 

大きなオジサンなのに、あだなは ”リトル・ジョン” 。Oh、イングリッシュ・ジョークw

棒を使った武術に長けているらしくて、水辺にかかった丸太の橋の上でロビンと棒で対決して打ち負かし、意気投合して仲間になる。明るくて気のいい感じで、「気は優しくて力持ち」っていう印象。好きよ。

でもモテそうではなーい。

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2番目の大きな リトル・ジョン


最後に仲間になるのが、剣の名手というふれこみの修道士タック。敵方(ジョン王子の方)には司教だの大司教だのが出てくるもんだから、修道士ごときでは相当地味でねえ。

そしてこれがまたオジサンなんだ(笑) オジサンとしか言いようがないんだもん。マッチよりは背が高そうだけど、でも小さめでお腹も出ててまるで樽みたい。マッチは「太ってる」というよりは「顔が大きいだけで体は痩せてる小柄な感じ」だけど、タックは小柄なうえにビール腹の完全メタボ体質。まんまる。そして案の定の「食いしん坊キャラ」。でも剣の名手(らしい)。

川辺で釣り糸を垂れながら眠りこけているところをロビンに発見されて、散々からかわれて水の中で剣でやりあうんだけど、最後は「あっはっはー」と笑い合って仲間になるという、青春漫画にありがちの展開。

そんで大して活躍しない。にゃー。

なぜみんな大して活躍しないのニャー。

そしてやっぱり女にモテそうではないんだニャー(どうした私)。


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3番目の 修道士タック



散々 ”愉快な仲間たち” をディスってしまったが、ひとりだけ、ほんとひとりだけ、ジャニーズ系っていうのかしら、若くてきれい系の優男(やさおとこ)が出てきますよー。

女性陣にとてもモテそうな、シャーウッドの森の「王子様系男子」を独占しているのは 吟遊詩人のウィルくんです。この時代の吟遊詩人といえば、現代でいうところのミュージシャンですからね、ちょっと前ならロッカーですかね、ヴィジュアル系にいそう。DURANDURANとか、カルチャー・クラブとか(の後ろの方にいそう)。

ウィルくんも実に華やかないでたちで、真っ赤な、頭の先からつま先まで念を入れて真っ赤な服を着て登場します。今回のロビン・フッドの冒険も詩にして、弦楽器をかき鳴らして歌いながら世界を放浪して、行く先々でオバサマ方にお酒をおごってもらうのが似合いそうな、そんな感じ。ホストが似合いそうなウィルくん。

他の仲間はみんな髭面で毛深くて、風呂にも入っていなさそうな男らしさなのに、ウィル君だけは「風呂上がりのような透き通る白い肌」を持ってます。脱毛して乳液とか塗ってそう。

線が細くて腕っぷしは弱そうで、それなのにちょっとやんちゃそうなウィルくんは、なんだか男性陣にもモテてしまいそう。そういえばウィルくんはロビンの仲間に途中からなるわけではなく、「緑のロビンに赤のウィル」みたいな感じで最初っからロビンとコンビみたいに登場していたけれど、どんな関係かしら(考えすぎです)。


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吟遊詩人の ウィルくん




女性陣も負けてはいない。

この映画は男性ばかりが出てくるから、女性陣はマリアン姫と、その付き人ベスくらいしか出てこない。

この付き人ベスというのがいい味出してて、いくつくらいなのかなあ、見た感じは「オバサン」と言っていい風体。美人じゃないし、こちらも男の人にモテたりは・・・しなさそう。

で、マッチが言う「女の人と歩いたことがないんだ」という言葉にすごく反応して、「え?一度も?ほんと?」みたいになって、言うセリフが「私なんて5回も婚約してるのよ!すごいでしょ」と。モテモテでしょ、あんたとは経験が違うのよ、先輩よ! みたいなニュアンスで自慢げに。

婚約5回!! ダメじゃん!!! モテてないって、それ!! 断られてますがな!!

でもこの二人が「割れ鍋にとじ蓋」的に気が合って、すごく仲睦まじいカップルになるのだ(といってもマッチはあっという間に尻に引かれている感じがしていたが)。


ベスは、自分が仕えるマリアン姫が恋した相手ロビンの身が危ない! ということはマッチも危ない! と思ったらマリアン姫自身まで危なくなっちゃった! という状況にどんどんなっていって、それを「どうしましょ。なんとかしなくっちゃ」ときょときょとしながら脳みそフル回転な姿がなんとも ”ぶきみ可愛い” w ちょっと妖怪ちっくでw

でもマッチとはいい感じだし、ほっこりと「良かったね、お似合いだね♡」って素直に思えるナイス・カップル。幸せにねー♡


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会ってるんですぅぅぅ



そして最もすばらしかったのはマリアン姫。

演じているのはオリヴィア・デ・ハヴィランド。

オリヴィア・デ・ハヴィランドといえば、なんと言っても『風と共に去りぬ(1939)』のメラニー役なのだが、今回知ったところによると、このエロール・フリンとは名コンビで、この『ロビンフッドの冒険』以外にも計8本の映画で共演していて、恋の噂もあったんだとか(ありがち)。

また、最近当ブログでも取りあげたアルフレッド・ヒッチコック監督の『レベッカ(1940)』で、”わたし役” を演じていたジョーン・フォンテインはオリビアの妹だったらしい。へへえ、知らなかった。『レベッカ』でのフォンテインは、地味かわいい女の子といった役どころで、私は好感を持った。

ところがこの姉妹仲は最悪に悪かったらしい。

二人ともアカデミー主演女優賞を受賞していて、兄弟姉妹でアカデミー主演賞を受賞しているのはこの姉妹だけなんだとか。

姉妹で主演女優賞受賞。先にとったのは妹のフォンテインの方。結婚も妹のフォンテインが先で、死んだのも妹のフォンテインが先だったらしい(別に事件性はない)。

インタビューで妹のフォンテインは「私のほうがオリヴィアよりも先に結婚し、先にアカデミー賞を受賞しました。もし私のほうが先に死去することがあれば、すべてにおいて私の後塵を拝したと知って彼女は激怒することは間違いないでしょう」と言ったんだとか(出典Wikipedia)。うひょー。

そんなに仲が悪かった原因は、そもそも母親が姉のオリヴィアばかりを可愛がって贔屓していたことに端を発していたらしい・・・(+_+)サイアク

私はオリヴィアとエロール・フリンのロマンスに関しては1mmも興味ないが、妹ジョーン・フォンテインとの確執はちょっと興味あるなあ。


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美人



まあ、そういうゴシップはさておき、ここで話題にしたいのはオリヴィア・デ・ハヴィランドの演技力。

彼女は登場時はわりとクールな緊張したような面持ちで、硬い表情をしてる。このマリアン姫の身分がどの程度高貴なのかが映画だけだとよく分からないのだが、リチャード王は間違いなくイングランドの国王だろうと思うし、マリアンの立場がそのリチャード王より高貴なはずがないので、「後見人になってもらわなきゃ、気に入られなきゃ、緊張するわ」みたいに思ってるのかな、と思って見た。

そのあともガイ卿に気に入られて、その上ジョン王弟が二人をくっつけようとしてもいるから、マリアン姫はガイ卿と行動を共にするときも緊張しているような、硬い表情をしている。きりっとして、恋する乙女の表情ではない。政略結婚の顔。「いま仕事中なのよ」みたいな。

それがロビンと出会って恋に落ちた途端に、表情がすっかり乙女の顔に。これはさすがだと思った。

ロビンの事を思ったり考えたり、ベスに話したりしているとき、キラキラして、ちょっと恥ずかしそうに照れた表情といい、もう肌の色つやからして違う。マリアンはちゃんと恋をしていた。

これは2006年の映画『ハチミツとクローバー』の蒼井優の「恋する表情」を見たときに次ぐ、華やかな驚きだった。ちなみにこの『ハチクロ』での蒼井優はすごかった。私は「すごい」と思った。私はこの手の恋愛ものは「ばかみたい」と思って好きじゃないのでスルーするタイプの女なのだが、蒼井優は好きなので当時(DVDで)見てみたのだった。そうしたら、恋に落ちた後の蒼井優の顔が、本当に恋に落ちた女の子の顔のように見えてものすごく驚いたのだった。「恋した者は、このような顔をするものなのか!」と。「蒼井優すげえなあ。ガクブル」と。ちょっと実生活ではなかなか見ることがないもんでね・・・(私の場合)。

今回のデ・ハヴィランドの表情を見て、それを思い出したのだった。


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恋するとこんな感じ


・・・まあ、現代の映画と違って、50年代くらいまでのハリウッド映画のヒロインというものは、夜だろうが曇っていようが洞窟の中だろうが、ヒロインにだけ強めにライトが当たって、紗がかかって、とにかくキラキラキラキラするように撮影されているから、そういう特殊撮影をしてもらえない現代女優、蒼井優の方が凄いということになるのかもしれない。

でも、デ・ハヴィランドも、ちゃんと「恋する乙女」になっていた。すごいよ、たいしたもん。

こういうの見ると「俳優ってすごいなあ」「女優ってすごいなあ」と思うのだった。

必見です。


じゃねー。


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ウィルくん、ニワトリみたい(笑)





今作はDVDもたくさん種類が出ているけど、Amazon Prime Video でも観られます。





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