エムログ

名作から駄作まで、見た映画の感想を正直に片っ端から記事にする、古い映画感想ブログです。驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「ミュンヘンへの夜行列車(1940)」 脇役に大注目。隠れた戦争サスペンスの傑作

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題名 ミュンヘンへの夜行列車
監督 キャロル・リード
出演 レックス・ハリソン、ポール・ヘンリード、マーガレット・ロックウッド、ノウントン・ウェイン、ベイジル・ラドフォード
上映時間 95分
制作年 1940年
制作会社 20世紀FOX
制作国 イギリス
ジャンル 戦争、サスペンス、モノクロ



あとでじっくり触れるが、私はカルディコットとチャータース目当てで見たので、映画自体にはほとんど期待していなかったけど、これがかなり面白くて傑作だった。これは拾い物。

戦争が舞台だが歴史ものではなく、イギリスとナチスの工作員同士が騙しあいを繰り広げるサスペンスで、歴史的な経緯を知らなくても大丈夫な、かなり面白い娯楽作になっていた。

監督は今作の9年後に、ツィターの音が猛烈にうるさい映画史上に残る名作『第三の男(1949)』を監督するキャロル・リード、主演に『マイ・フェア・レディ(1964)』のレックス・ハリソン(の若い頃)と『バルカン超特急(1938)』で主役を張っていたマーガレット・ロックウッドという布陣。

マーガレット・ロックウッド的には『バルカン超特急』同様、またもや列車が舞台の映画。

今回のこの『ミュンヘンへの夜行列車』は、ヒッチコックの代表作のひとつである『バルカン超特急』に勝るとも劣らない、よくできたサスペンス映画だった。


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****** あらすじ ******
第二次世界大戦勃発直後の1939年、ナチスドイツのプラハ侵攻が始まる。防衛の要である ”GK装甲” を研究するボマッシュ博士は娘アンナとともに英国へ亡命しようとするが、アンナはナチに捕まり強制収容所送りとなる。

収容所で知り合ったマーセンの協力を得て脱走に成功したアンナは、マーセンと共に英国にたどり着くが、マーセンはボマッシュ博士を探すためにアンナを利用するナチの工作員だった。

そうとは知らないアンナは、マーセンの勧めに従い父を探す新聞広告を出すと、アンナに協力者が現れる。指示通り指定された場所へひとりで向かうと、そこには歌手に扮した英国の工作員ガス・ベネットがいた。

ボマッシュ博士と再会したアンナだったが、アンナと博士はすぐにナチに囚われてしまう。ベネットは二人を救出するためナチの将校に扮装して敵陣へ潜入。アンナと博士をめぐって英国工作員ベネットとナチ工作員マーセンの騙しあいが始まる。
***********************


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それにしても主役のレックス・ハリソン、登場した瞬間から軽いww やはり軽かったかあw (*´▽`*)

私は過去にレックス・ハリスンものとしては『殺人幻想曲(1948)』を記事にしているけど、まー、軽いんだよね。今回過去記事見直してみたけど(記事は駄目な出来ダナーしょぼん)、キャプチャ画像にレックスしか使っていなかったことに我ながら笑ってしまったが、その選んだキャプチャを見ただけでも「軽さ」がガンガン伝わってくる。

この軽さは前向きにとらえてですね、彼の持ち味ですからね、ちょっと好きでもあるしねw

今回は英国の工作員ということで、ナチの軍服もビシッと決まっているし、軍靴を鳴らして敬礼する姿も決まってるし、ちょーーっと甘いところもあるけど、有能な工作員だから自信満々で頼りがいもあるし、最後は二人をスイスに送り届けるために大活躍をするしで、見せ場がたくさん。でも軽いww

ラストのスイスへ向かうロープウェイでのマーセンとの攻防で、ロープウェイの箱から箱へと飛び移るアクション・シーンがあるけれど、そんなアクションまで披露して、かなり男前な役だった。


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レックス登場シーンは体重も軽そう



・・・ところでそのロープウェイなんだけどおおお (;´Д`) 木でできてるのよー。怖いよー。スイスのめちゃくちゃ高い山から山へロープウェイが通ってるんだけど、大した距離ではないとはいえ、木造はいかにも怖い。

高度が高い、小さい、木の箱、私は高いところがキライなので無理! (>_<) 

あんな高いところで、向こうからすれ違うゴンドラに飛び移るだなんて、私なら諦めて真っ逆さまに落ちていくだろう。(T_T)/~~~さようならわたし。


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次いでマーガレット・ロックウッドだけど、『バルカン超特急』の時の方が、怒ったり叫んだり笑ったり気を失ったりと、表情が目まぐるしく変わる役だったけど、今作では「スパイに真意を悟られないようにする役」だからか、やや表情が硬いシーンが多くて、『バルカン』の方が魅力的だったように思う。

でもまあ、ちょっと気が強そうで普通にかわいいし、可もなく不可もなく。

失敗して作戦をかき乱すこともなく、うまく立ち回るあたりは賢い女性なんだろう。私だったらこうはいかない。私、鈍いからww 私の辞書に「機転」という文字はないのでね、絶対に「???」ってなって、とんちんかんなことをやらかして、作戦が水泡に帰すね。そして後になって「ああ、そうか、そうだったんだな」と気が付くと言う悲しいパターン。機転の利く女性に憧れる。


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さて、一番書きたかったカルディコットとチャータースに話題を移そう
(*´▽`*)ワーイダイスキ


カルディコットとチャータースというのは、ヒッチコック監督の『バルカン超特急』に出てきた登場人物で、言ってみれば偶然居合わせただけの、ただの通行人にすぎない。にも関わらずこの二人は、全く同じ役のカルディコットとチャータースとして、この『ミュンヘンの夜行列車』にも出ているのだ。

以前『バルカン超特急』を見てカルディコットとチャータースの二人を特別に気に入った私は、ぜひともこの『ミュンヘンへの夜行列車』見たいと思い、DVDを購入したのだった。

※『バルカン超特急』の方は、以下のリンクを参照されたい。

【映画】「バルカン超特急(1938)」ヒッチコック、イギリス時代の傑作 - エムログ



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二人の登場シーンは、出てきた瞬間の佇まいを見ただけで、前回の『バルカン超特急』と全く同じキャラクターであることが分かる。俳優ってすごい。

『バルカン』の時は映画冒頭からラストまで出ずっぱりだったが、この『ミュンヘン』では映画半ば過ぎから登場。今回も前回同様、基本的にはストーリーと関係がない二人なのに、結局は事件に巻き込まれて、真面目でとぼけた顔つきで引っ掻き回したあと、ちゃんと活躍もするのだ。


今回のカルディコットとチャータースは、アンナや博士、ベネット、マーセンらが乗る汽車に、やっぱりたまたま乗り合わせてしまう。

まさかイギリスとナチスの工作員が、丁々発止の駆け引きを繰り広げる汽車に乗り合わせてしまうなんてねえ。

しかもカルディコットはイギリス側の工作員ベネットと知り合いだったらしく、すれ違う時「あれ?」みたいな顔して話しかけようとしてしまう。イギリス人だってバレちゃうじゃん!! どうやらベネットは学生時代はクリケットの選手で ”紳士チーム” のスターだったらしい。

まさか知り合いと乗り合わせるとはね。ベネット危うし。


その時は事なきを得るのだが、カルディコットは再び、今度は思いっきり「クリケットの選手ディッキー・ランダルだろう」と話しかけてしまうのだ。

空気読めねーなーw

戦争前夜なんだし、ナチの軍服着てるんだし、「なんかあるのかな」って思ってスルーしろよww

ベネット、超危うし。


でも途中で「重大任務の邪魔しちゃったのかも」って気が付いて、責任も感じて、「責任取るぞ!」と勇敢な活動を見せていくあたり、このコンビは奥深い。ただのコメディ・リリーフではないのだ。


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とはいえコメディ・リリーフとしてもちゃんとしっかりやってる。まだイギリスとナチスドイツはお互い戦争状態にはないとはいえ、戦時下は戦時下なのである。いつ宣戦布告がなされてもおかしくない状況下なのに、二人は相変わらず(?)結構のんきでとぼけてる。


二人は登場から、どこに行っても急かされて小突き回されてちっとも落ち着けない。ベネットたちに客車を追い出されたのを皮切りに、あっちに座ればどかされ、向こうに移動すれば邪魔扱いされ、ウロウロウロウロと。

しかもチャータースの方はその間、小脇にずっとヒトラーの「わが闘争」を抱えているというねww 律儀にずーっと抱えてるのw 

でも別にチャータースはヒトラー信奉者じゃなくて、ただ「気が向いたから読んでみようかな」くらいの感じ。そしてその本の最後の用途は・・・うん、あれは実に役に立ってた。


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そんなチャータースだけど、とうとうイギリスとナチスが戦争状態に入ったことを知って真っ先に頭に浮かぶのは、なんとゴルフ・クラブの事。ベルリンにいるドイツ人に貸しているらしくて、戦争が本格化する前になんとか取り戻そうと、長距離電話をかけてやっきになってた。

ま、それが結局ベネットを救うことにもなるんだけど、二人を見てると戦争という危機感がぜんぜん感じられないw

まるで他人事のような顔をして、可愛くてとぼけてて、やるときはやる。今回の二人もとても良かった。


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カルディコットとチャータースを演じた俳優ノウントン・ウェインとベイジル・ラドフォードは、カルディコットとチャータース役ではないけれど、二人でいくつもの作品に出ているらしい。

コンビなのかな。

私はその中の一本の『夢の中の恐怖(1945)』を持ってるので、近々記事をあげたいと思ってます(需要があるとも思えないけど)。

じゃねー。



ちなみにレックス・ハリスンは『マイ・フェア・レディ(1964)』が一番有名だと思うけど、『殺人幻想曲』もすごく面白い傑作なので、未見の方にはぜひおススメしたい一本です。

じゃねー。





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