エムログ

名作から駄作まで、見た映画の感想を正直に片っ端から記事にする、古い映画感想ブログです。驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「踊るアメリカ艦隊(1936)」 軟弱系大スター、ジェームズ・スチュアートが歌って踊る希少価値

f:id:msan1971:20201109214550j:plain



題名 踊るアメリカ艦隊
監督 ロイ・デル・ルース
制作 ジャック・カミングス
出演 ジェームズ・スチュワート、エレノア・パウエル
音楽 コール・ポーター
上映時間 106分
制作年 1936年
制作会社 MGM
制作国 アメリカ
ジャンル ミュージカル、ラブコメデ



ジェームズ・スチュワートと言えば、『スミス都へ行く(1939)』とか『フィラデルフィア物語(1940』とか『素晴らしき哉、人生!(1946)』とか『グレン・ミラー物語(1953)』とか『裏窓(1954)』とか『知りすぎていた男(1956)』とか『翼よ!あれが巴里の灯だ(1957)』とか『めまい(1958)』とか、もう代表作が枚挙にいとまがないほどのハリウッドが誇る大スター。

マッチョに偏りがちなハリウッド・スターの中では珍しい、「すごく喧嘩とか弱そう」「気も弱そう」「ふらっと倒れて失神しそう」な運動神経ゼロな感じの軟弱系で、言うなれば母性本能をくすぐるタイプ。

それでもデビューして数年で大スターになって、それからブランクらしいブランクもなく、ほぼまんべんなくコンスタントに名作に出続けて大スターの地位を確固としたお方。

そんなジェームズ・スチュワートがスターになる前、まだ20代の時に出た映画の一本が、この『踊るアメリカ艦隊』。

ジェームズ・スチュワートとしては極めて珍しい、歌って、踊る姿が拝めるのが本作最大の見どころ。


f:id:msan1971:20201109214845j:plain

ちと頼りなさそうな

 

****** あらすじ ******
ブロードウェイのスターになることを夢見てNYへ出てきたノラは、ホテルの郵便係をしているジェニーと出会い、彼女の家に居候することになる。そこへたった今帰港したばかりの潜水艦乗りの海軍水兵テッドがホテルにやってくる。テッドはノラに一目ぼれし、二人はいい雰囲気になる。

つかの間の休息も終わって潜水艦に戻ったテッド。そこへブロードウェイの大スター、ルーシーが愛犬と共に潜水艦見学にやってくる。ルーシーの大ファンの艦長はほくほくしていたが、艦長の不注意でルーシーの愛犬が海に落ちてしまう。愛犬救出のために海に飛び込む水兵たち。結局、愛犬を助けたテッドは新聞の一面に大きく取り上げられ、世間の注目を集める。

それに目を付けたルーシーのマネージャーは、話題作りのためテッドとルーシーの身分違いの恋をでっちあげることを思いつく。最初は反対していたルーシーだったが、次第に素朴なテッドの魅力に気づき、テッドに本気になっていく。

ルーシーとテッドの仲は新聞に取り上げられ、それを見たジェニーはテッドを信じられなくなり、二人は疎遠になってしまうのだった。
***********************

f:id:msan1971:20201109215156j:plain



踊るといっても、全編を通してガンガン踊ってるのは本職のエレノア・パウエルと仲間の水兵たちで、ジェームズ・スチュワートはいくらも踊ってない。でも歌に関しては吹替なしで、ちゃんと自身で歌っていて、うまくはないけど別に下手でもなかった。

でも、この映画の後のスチュワートは歌ったり踊ったりする映画には出ていない(たぶん)ことからも分かる通り、ミュージカル・スターとしての才能はあまり持っていなくて、当時も「彼はこれじゃない」と評価されたみたい。

今作でのスチュワートは真面目で誠実そうな人柄のテッド役なので、彼の本領発揮というところ。

そして超~若い。若いって可愛い。



そもそもこの映画は、どっちかっていうとすでに「タップの女王」としてスターになっていたエレノア・パウエルの方がメインで、まだほぼ新人クラスのスチュワートの方が添え物的な立場なのだと思う。

歌って踊れるスターばかりの時代だし、ヤツもこれでスターになれるか使ってみよう、とりあえず色々やってみよう、みたいな時期。でも歌と踊りはハマらなかった。


f:id:msan1971:20201109214935j:plain

踊るジェームズ・スチュワート

 

エレノア・パウエルは前年の1935年に公開された『踊るブロードウェイ(Broadway Melody of 1936)』で一躍大スターになり、ダイナミックなタップと、延々と踊れる体力が売り物で、この後『Broadway Melody シリーズ』として『踊る不夜城(Broadway Melody of 1938)』『踊るニュウ・ヨーク(Broadway Melody of 1940)』と、ほぼおんなじ題名の映画に出演している。

そしてありがちなことだが、日本では今作のような『Broadway Melody シリーズ』じゃない映画にも関わらず『踊る~』『踊る~』って、やたらと『踊るなんとか』という題名にされてしまったっぽい。


個人的には私はエレノア・パウエルは興味が持てなかった。最大の売りのダンスというかタップダンスも、力強いけどアクロバティックなだけと感じて、もう少し柔らかさというか女性らしさ、可憐さが欲しかった。

そして何よりも笑顔が好きじゃなかった。あれは笑顔とかではなく、ただ口を開けているだけなのではないかしら。

とにかくずーーーっと口を開けているんだよね・・・笑ってるように見えるように口を開けているという感じ。ひたすら大口を開けている。ただただひたすら大口を・・・

私はきれいとも美人とも思わなかったし、タップも可憐さがなくて大味な感じがしたし、華もないように感じて、「ふうん、この時代はこういう人がスターだったんだ、へえ」という印象で、魅力がよく分からなかった。

だって踊ってる間ずっと大口をあけているんだもん。

とはいえ『踊るニュウ・ヨーク』ではあのフレッド・アステアと共演して評判だったらしいから、見てみたら良さが分かるのかもしれない。


f:id:msan1971:20201109215832j:plain

ずーっとこういう感じの大口

割と脇を固めているコメディ・リリーフ陣の俳優さんもそれほど好きになれなかったし、コール・ポーターの音楽も、タップシーンなどの振り付けも、それを見せるカメラワークも、すべてが中途半端に感じてしまった。

そしてなにより物語が俄然つまらなくてですね・・・(-_-;) ツマンナイエイガダッタ・・・

途中でスター女優のルーシーが出てきたときは、ちょびっとだけ ”性悪” ぽくも見えたから 「恋敵キター! これはここから面白くなってくるかも!」って期待したんすけどね・・・まったく盛り上がらなかったっすね・・・


f:id:msan1971:20201109220025j:plain

どうもカッコ良くはなりにくい、ずぶ濡れのジェームズ・スチュワート


ところでこの頃のハリウッド映画で時々見受けられる、ストーリーとは何の関係もない登場人物が、ストーリーとは何の関係もない馬鹿な事を延々としゃべり続けたり、やりつづけたりすることがあるけれど、あれってなんだろう。

例を挙げると『イースター・パレード(1948)』でのジュールス・マンシン的なやつ。レストランの給仕役で出てきて、メニューにある「フランソワ風サラダ(だったかな?)」の説明を延々とする最高に面白いシーンがあるんだけど(もう爆笑なのね)、玉ねぎをむいて泣く小芝居を延々として、それはもう延々とする上に抱腹絶倒なんだけど、ストーリーとはなんの関係もないシーンなんだよね・・・

この『踊るアメリカ艦隊』でも似たような趣旨のシーンがあって、公園でテッドが指揮者のまねごとをして、それに合わせてノラが歌って踊って、要は楽しそうにいちゃいちゃしていると、警官らしき男が現れて、怒られるのかしらと思いきや、「そんなんじゃだめだ! ( `ー´)ノ」的にテッドからタクトを奪ってへし折り、帽子を取って髪を振り乱しながら自分が指揮者のまねごとをする、というギャグ・シーンがあったけど、それが延々3分半続くんすよ・・・

しかもジュールス・マンシンの玉ねぎ男は最高に面白いんすけど、こっちのタクト男はそれほどでもないんすよね・・・

私はこういうの好きな方なんですけどね・・・「意味わからん!」って思う人も多いだろうなと。面白ければともかく、つまんないんじゃね・・・なんか見る人を選ぶシーンになっちゃったかなと思いましたね。


f:id:msan1971:20201109220204j:plain

これ

というわけで、水兵仲間やタクト男といったコメディ担当の方もイマイチ不発で、結局は「あのジェームズ・スチュワートが歌って踊る、珍しい映画」という域を出ないで終わってしまったのでした。

残念。

 
 


☟ こちらにも収録されています(お買い得)