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名作から駄作まで、見た映画の感想を正直に片っ端から記事にする、古い映画感想ブログです。驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「ワイルド・パーティ(1970)」 エロが足りーん! と思った、ソフトポルノの鬼才ラス・メイヤー監督作品

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題名 ワイルド・パーティ
監督 ラス・メイヤー
制作 ラス・メイヤー
原案・脚本 ラス・メイヤー、ロジャー・イーバート
出演 ドリー・リード、シンシア・マイヤーズ、エリカ・ギャビン、エディ・ウィリアムズ、マーシア・マクブルーム、ジョン・ラザー、マイケル・ブロジェット、ジェームズ・イングルハート
音楽 スチュー・フィリップス
編集 ラス・メイヤー
上映時間 110分
制作年 1970年
制作国 アメリカ
ジャンル セックス、バイオレンス、おバカ


 
私にはあまり馴染みがないけれど、ソフトコア・ポルノの雄、ラス・メイヤー監督が放った作品で、わずか100万ドルの製作費で作った映画が1000万ドルのヒットとなって、ビデオ発売などの二次使用で4000万ドルを稼ぎ出すという、成人指定にも関わらず50倍も儲けてしまい、その上「1970年代の最高の映画」とか、「20世紀の最も偉大な100の映画」とか、そういうランキングにも顔を出すほどの映画に化けたという、思いがけずドラがいくつも乗っちゃったみたいな感じも否めない、カルト的人気を誇る作品。

私はポルノはまるで見ないのでまったく詳しくないにも関わらず、この作品の情報をキャッチしてしまったところを考えると、やっぱりかなり有名な、語り草になるような作品なんだろうと思う。

DVDの説明文を見ると『オースティン・パワーズ(1997)』あたりに大きな影響を与えているのではともあるし、実際映画を見ると「確かに大きな影響を与えたであろうなあ」と思うサイケデリックな美術がおしゃれ。

低予算でマイナー・ジャンルながら、俳優陣もなかなか魅力があるし、監督ラス・マイヤーのセンスが光ってた。


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巨乳バンド「キャリー・ネイションズ」のお三方



****** あらすじ ******
ケリー、ケイシー、ペトロネラの3人は「ケリー・アフェアー」というロック・バンドのメンバー。大都会LAへ行きたいケリーはバンド仲間と、マネージャーでボーイフレンドのハリスと共にアメリカを横断してLAへ向かう。そこで若き叔母のスーザンを訪ねると、スーザンは1憶円の遺産を相続しており、身内のひとりであるケリーは3分の1をもらえることになる。

さらにスーザンの招待で、Zマン(ズィーマン)と呼ばれる有名音楽プロデューサー、ロニー・バーゼルのパーティに参加したケリーは、一瞬でロニーに気に入られる。パーティには人気俳優や人気ミュージシャン、人気ポルノ女優などがわんさかいて、その華やかさにケリーはすっかり有頂天になる。そこへケイシー、ペトロネラ、ハリスも合流、「ケリー・アフェアー」はロニーに思いっきり気に入られ、「キャリー・ネイションズ」に名前を変えてデビューすることになる。

デビュー・イベントも大成功に終わり、とんとん拍子にスターになっていくケリーたちは、毎晩のように催されるロニーのパーティに明け暮れ、堕落した生活を満喫していた。

ケリーは恋人のハリスそっちのけで、あからさまに遺産目当ての俳優ランスに夢中になり、スーザンの遺産をめぐって対決する弁護士ポーターまで誘惑する始末。

ペトロネラはロニーのパーティで出会った真面目な法学生エマーソンと恋仲になるが、パーティに現れたヘビー級チャンピオンと簡単に一夜を共にしてしまい、その現場をエマーソンに見られて修羅場になる。

自分の居場所を失ったハリスは自棄になり、バンド・メンバーのケイシーと関係を持ってしまっただけでなく、ケリーへの当てつけのように彼女の目の前で自殺未遂をおこし下半身不随になってしまう。

唯一派手な世界になじめなかったケイシーだが、クスリでラリッてる間に、酔っていたハリスと関係を持って妊娠までしてしまい、元々男嫌いのケイシーは、レズビアンのロクサーヌといい仲になる。

そんななか、プロデューサーのロニーは、パーティの常連たちを集めて、ある余興を計画していた。集めたランスやケイシー、ケイシーのレズビアンの恋人ロクサーヌらにスーパー・ヒーローのコスプレをさせ、彼らを一人一人斬殺し始める。
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左から、ハリス、ペトロネラ、ケイシー、ケリー



というようにストーリーを語る映画というよりも、ファッションとか美術セットとか、無意味な会話の”妙” とか、はちゃめちゃな展開みたいなのを楽しむ映画だと思うけど、それでも一応ストーリーと主題を要約すれば、

「若くて美しい女の子3人組バンドが、一花咲かせようと大都会ロサンゼルスに行くが、派手な業界特有の華やかさに幻惑されて自分を見失っていき、バンドの成功とは裏腹に実生活は荒れた悲惨なものになっていき、最後は極めて大きな代償を払うことになる」

という、良くある典型的な業界物語といえば言えて、ありがちだからこそ「地に足をつけなくちゃいけないよ」と、そんなメッセージがあるのだと思う(たぶん)。

実際、当時の音楽業界をモデルにした映画ともいわれていて、ロニーはあの伝説のフィル・スペクターを、ランディはモハメド・アリをモチーフにしているんだとか。なるへそ。

そういう真面目な主題を、おっぱい満載でお届けしますよ! という軽い感じで映画はスタートする。


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ロニー(ジョン・ラザー)はミステリアスで個性的で格好良かった



映画の前半はとにかく軽めのタッチでテンポよく進んでいく。出てくる人たちがみなとにかく察しが良すぎて展開が速すぎるくらい。

例えばスーザン叔母さんの超大盤振る舞いぶりにはのっけから笑った。ケリーは遺産のことなんて良く知らないし、話題にもしていないのに、えらく気前よく分けるのよ。「三分の一あげるわ。あなたにはその権利があるのよ」ってやけにやさしい。いいなあ。

それだけでなく有名プロデューサー、ロニーのパーティにも呼んでくれるし、服も「私のを着ていいわ」って言って自由にさせるし、もうとんとん拍子に話が進む(笑) あんまり優しいからレズビアン系近親相姦の展開になるのかしらと思っちゃった。

弁護士の下司野郎ポーターなんて、ケイシーの名字がアンダーソンだと知ると「あのアンダーソン議員の一族かね」って言いだして、ケイシーは「父よ」と返事してたけど、アンダーソンなんて平凡な名前聞いて ”議員一族” って超能力かよ(笑) 田中って聞いて「田中角栄の身内かい?」って聞いてるみたいなもんじゃん。はっや(笑)

そういうおおざっぱさがことごとく前向きにマッチする作品だった。


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「きゃー、楽しそー」的な


と・こ・ろ・が、後半になると突如として雲行きが怪しくなり、暗いくらーい影が差し始めて悲惨すぎる展開に。

笑えたのはロニーのパーティに参加していたヘビー級チャンピオンのプロボクサー、ランディが上半身裸だったことくらい。「ボクサー・アピール 乙!」みたいなw 肉体が自慢なのよ。

でもペトロネラとベッドにいるところを、本来の恋人である法学生エマーソンに見られて、最初はきれいに帰ろうとするんだけど、エマーソンが嫉妬してランディが出そうとしている車の前に立ちはだかったあたりから、徐々に暴力的に。

ランディはそのままエマーソンに向けて車を発進させるし、しまいには殴ってましたけど。ヘビー級のチャンピオンとは思えない所業。死ぬよ、エマーソン(生きてたけど)。


登場人物の人間関係が全員ぐちゃぐちゃになっていって、三角関係、四角関係化してどろどろ。

目先の欲望に忠実というか、みんな勇気あるなあ。


そして最後はロニーがとち狂って、何が何だか。

途中までは「セックス&バイオレンス」という触れ込みだけど、バイオレンスはどこ?と思っていたが、最後に一気に爆発する。

急すぎて私には何が何やら。


そしてほんとの最後はハッピーエンドみたいになってたけど、少なくともケリーとハリスは特に ”ハッピー” 無理なんじゃないかなああ (゜-゜)イロイロアリスギ


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はい、チーズ!



監督のラス・メイヤーというお方はどうやら「おっぱいが大好き」らしくて、中でも「巨乳」とジャンル分けされる系のおっぱいが大好きだったらしい。

しかも女性が活躍(?)する女性上位の構成の映画をつくる人らしく、おっぱいの大きな女の人が、男の欲望を押しのけ所狭しと全裸で駆け回り、自らの欲望を充足させていく映画を作るらしい(笑) 

かと言って、ドギツイ「ハードコア・ポルノ」は趣味じゃないらしく、「ハードコア」大全盛の70年代にあっても「ソフトポルノ」にこだわり抜いた「男気のあるお方」とのことで、確かにこの『ワイルド・パーティ』のエロ描写も、これがちっともエロくない。

主人公たちが脱ぎまくったりセックスしまくったりするシーンが続出というよりは、脇役とか、名もなきエキストラとかが、背景のようにおっぱいを出していたり全裸だったりしてる方が印象に残る。


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それにその佇まいがあまりにも堂々としているがゆえに、見ていてちっともエッチな気持ちにならないのだなー。

ただ「裸がある」という感じ。

セックス・シーンもただ「裸で抱き合っているからセックス・シーンなのだな」と思うだけ。

全然えっちじゃないんだなー。

あっけらかんと陽性で、堂々とした裸だと、なんか・・・隠そうとか、恥じらうとか、そういうのないの? と思っちゃった。

いや、いいんですよ、私は。えっちな気持ちにならなくて。でもこれを「スケベな映画らしい」と期待してみてしまうと、かなり目的を達せられないだろうなと思った次第。

言い換えると、エロすぎるとやだなと思う人には「そんなでもないから安心して見ていいし、買って大丈夫よ、恥ずかしくないよ」と言える。


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ひとりだけおかしいよー(笑) しまいましょうね。


それにしても「俺はおっぱいが好きだー!! それも巨乳が好きなんだよー!!!!」と叫ぶかのように自分の性的趣味嗜好を全開にしまくるラス・メイヤーのこの性格、ちょっと羨ましいとすら思ったよ。馬鹿みたいに正直。うらやましい。

この『ワイルド・パーティ』の公開直後にラス・メイヤーが嫁にしたのが、本作でポルノ女優役をやって、盛んにハリスを誘惑しようと「いーっ」「いーっ」と歯をむき出しにしていたエディ・ウィリアムズだから、分かりやすくて彼のピュアさは本物(5年で離婚というのもピュア)。


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妻になりました

 

調べてみると、ラス・メイヤーの代表作は『女豹ビクセン(1968)』という映画で、異常性欲の女主人公ビクセンが、近親相姦とか人種差別とか、男か女かとか、そんなのまーーったく気にせず、カナダの大自然を舞台に全裸で駆け巡って好き放題やりまくる映画だと書いてある。

これは振り切れてて面白そうではないですかー  (*´▽`*)

監督はソフトポルノにこだわりがあるということだし、『女豹ビクセン』もこの『ワイルド・パーティ』程度のおっぱい(とか)だったらちょっと見てみたいなあ。

そう思ってAmazonで探してみたが見つけられない。あー、Amazonってポルノは扱わないのかしら(良く知らない)、と思ってもう少し粘って調べてみたら、なんと『ヴィクセン』というタイトルに代わっていた。ほほーう。

しかもそれだけではなーい。めちゃくちゃシリーズ化されてるではないですかー!!!

しかも題名が振るっていて、第一作が『ヴィクセン』だったのが二作目以降『スーパー・ヴィクセン』『メガ・ヴィクセン』『ウルトラ・ヴィクセン』とパワーアップしていくという、ヴィクセン三段活用ww  

ラス・メイヤー、楽しそうだなあ。いいなあ。



この『ワイルド・パーティ』の終わり方の、こんなにおバカな展開の映画でありながら、最後は意味ありげに教訓めいたエンディングにしているところや、巨乳が好きで分かりやすい巨乳を嫁にしているところを見ると、もしかするともの凄く真面目なお方なのかもしれないなと思ったので、確認のためにもう一本くらい見てみるかもしれません。

『ヴィクセン』見たら感想を記事にします!  ( `ー´)ノヤルゾ



 

 

 

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