エムログ

名作から駄作まで、見た映画の感想を正直に片っ端から記事にする、古い映画感想ブログです。驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「うっかり博士の大発明 フラバー(1961)」白黒映画のカラー化をどう考えようか

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題名 うっかり博士の大発明 フラバー
監督 ロバート・スティーヴンソン
制作 ビル・ウォルシュ
脚本 ビル・ウォルシュ
出演 フレッド・マクマレイ、ナンシー・オルソン、キーナン・ウィン、トミー・カーク、レオン・エイムズ
音楽 ジョージ・ブランズ
上映時間 96分
制作年 1961年
制作会社 ウォルト・ディズニー・プロダクション
制作国 アメリカ
ジャンル ファンタジー、コメディ、ファミリー、カラーライズ版



映画が公開された時はモノクロ(白黒)だったのに、どこかのタイミングでカラー化された映画の中の一本。調べてみると、1986年のビデオリリース時にカラー化されたらしい。

1997年にはロビン・ウィリアムス主演で大幅リメイクもされている。


反重力物質を発見した大学教授が、それが認められるまでの奮闘と悪ふざけが描かれるドタバタ・コメディで、ディズニー映画らしく相当ファミリー向け。

コメディは好きだけどドタバタコメディはあまり得意な方でもないし、おまけにファミリー映画はまったく縁がないのになぜか今回こいつを見てしまったw しかもお金を出してDVDを購入してしまった(笑) その理由は実写で撮られたディズニー映画をいくつか見たいなあと思ったから。

で見てみたけれど、はっきり言って映画自体にはこれといった感慨もなかった・・・ (-_-)すんません。


これ面白いんかなあ。なんか目鼻のはっきりしない、退屈な映画だと思ったがなあ・・・でも続編が作られてるらしいし、リメイクまでされてるところを見ると面白かった人が多かったんかなあ。私はいまいち楽しめなかったなあ。


無理矢理カラーにした映像は綺麗といえば綺麗だったし、不自然だとは思わなかったし、監督のロバート・スティーヴンソンがこの『フラバー』の後に撮った不朽の名作『メリー・ポピンズ』を彷彿とさせるような場面もあって、「ああ、撮影時もカラーで撮りたかったのかもしれないなあ」と思ったけど・・・

でもそれ以外の部分では私はあんまり感想がないので、この記事の方向性としては雑学的な情報で文字数を稼いで一記事とします (゜-゜)ショウジキナハナシ


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****** あらすじ ******
アメリカの弱小大学で化学教授をしているブレイナードは、同じ大学で学長の秘書をしているベッツィと婚約中。でもブレイナードは研究に没頭するあまり結婚式を2度も忘れてすっぽかしている。今回も式のぎりぎりまで研究をしていて、実験機材が突然大爆発しブレイナードは気絶。3度目の結婚式をもすっぽかしてしまう。

目が覚めたブレイナードは、自分が新エネルギーの開発に成功したことに気が付く。紫色の、スライムみたいな物質で、丸めて床に落とすとスーパーボールみたいにびょんびょん跳ねて、止まることなくむしろ跳ね方が大きくなっていく。ブレイナードはその反重力物質を「空飛ぶゴム(フライング・ラバー)」から「フラバー」と命名する。

大興奮のブレイナードだが、自分がまた3度目の結婚式もすっぽかしてしまったことに気が付き、早速大学までベッツィに謝りに行くがさすがに許してくれず、話も聞いてくれない。そこへ大学に多額の融資をしている大金持ちのホークがやってきて、息子のビフをブレイナードが落第させたことと、そのおかげで息子がバスケの試合に出られない事に腹を立て、大学への融資を止めるから金を返せと言いだす。守銭奴のホークは、大学なんかはつぶして住宅地にした方が儲かると考えていた。

ブレイナードは、自宅のガレージにあった古いT型フォードに「フラバー」を取り付け、空飛ぶ車に仕立て上げることに成功する。それに乗ってベッツィの家に向かうと、ベッツィは恋のライバルである隣の大学の英文学博士アシュトン教授と大学対抗バスケの試合に行くところだった。そこで自分も試合を見に行くが、小柄な選手が多い我が大学側がメタメタに負けたまま前半戦が終了。ブレイナードは選手たちの靴の裏にこっそり「フラバー」をくっつけ、後半戦に送り出す。すると選手たちはびょんびょんコート中を飛び回り、大逆転と相成る。

帰り道、ペットの犬のチャーリーを助手席に乗せて空中からアシュトンをからかい、気持ちよく夜空を車で走っているところを運悪くホークに見られてしまう。「これは金になる」と思ったホークがブレイナードに取引を持ちかけてくるが、ブレイナードはこれを拒絶。代わりに大統領に売り込もうと政府に電話をかけ、軍事利用できるかもと思った陸海空軍の大将たちがブレイナードに会いにやってくる。ブレイナードは意気揚々と空飛ぶT型フォードを披露しようとするがなぜか飛ばない。T型フォードはホークとビフによって、ごく普通のT型フォードと取り換えられていたのだ。

ブレイナードはT型フォードを取り返そうと、今度はホークの靴の裏に「フラバー」をくっつけ延々とジャンプをさせたり、ホークの手下とすったもんだしたあげく、T型フォードを取り返して空路(?)ワシントンへ向かうが、軍のレーダーに引っ掛かってスクランブル発進した戦闘機に撃墜されそうになりながらも、最終的には軍のお偉いさんたちとも会えて発明は評価され、何に使われるかは分からないけど、とりあえずは一件落着となる。

ブレイナードとベッツィは今度こそ結婚式をあげて、二人仲良くT型フォードに乗ってハネムーンへと空高く舞い上がっていって大団円。
********************


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ラストで「平和利用を強く訴えます!」とかなんとか言ってほしかったが、それはこちらの都合というもので、たぶんもの凄く軍事利用されそうな感じで終わってた。まあブレイナードとベッツィは幸せそうだったからいいかあ。ハッピーエンドということで。

それにしてもあらすじだと面白そうだなあ。うん、面白そうじゃないか! (゜o゜)

でも、実際に見てるとやっぱり退屈なのだった。私は全く笑わなかった。

頭で考えて笑えるポイントとしては、やっぱりバスケットボールの試合シーンでしょうね。ブレイナードやベッツィらが勤務する大学の選手はみんな背がちっちゃくて、ライバルのアシュトン教授側の大学の選手はめちゃくちゃ背が高いから、まるで勝負にならないの。まさに大人と子供。完全に馬鹿にされて翻弄されてしまって、それを救ったのが「フラバー」というわけ。

「フラバー」のおかげで選手はみんな体育館を天井までジャンプして、びょーんびょーんと飛び回り、次々とゴールを決めて大逆転。

どっちかというと前半戦の「馬鹿にされてるくだり」が面白いんで、ジャンプ力で圧倒してからは別に面白くはなくなる。へええ、くらいな感じ。


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あと他の笑えるポイントは、やっぱ守銭奴ホークさんが靴の裏に「フラバー」をつけて、地面と空中を延々と行ったり来たり飛び上がり続けるとこかな、、、

・・・・他に笑えたとこは・・・うーんと、うーんと、ウーン ( 一一)ウーン  ←便秘か!


って、映画をいろいろ思い出していて思ったのだが、これ、もしかすると全編コメディだったのかしら。

映画冒頭の研究室でのブレイナードと家政婦とのやりとりとか、研究に没頭するブレイナードのドタバタした姿とか、3度目の結婚式もすっぽかしてしまったブレイナードとベッツィの大学でのやり取りとか、ダンス・パーティでアシュトン教授とベッツィを奪い合ってダンスで競い合うシーンとか、T型フォードを奪い返そうとホークの部下と丁々発止のやり取りをするところとか、もしかするともしかして、全部全部、全部が爆笑ポイントだったのかもしれないと思い始めた。

(゜-゜)

(-_-)

(・へ・)

そうか・・・・・・ (・_・)ウムム・・・・アメリカ人なら笑えるのかもしれない。

英語が分かれば・・・いや、日本語吹き替えで広川太一郎だったら笑えたのかも。


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あとたぶん、この主役のブレイナードをやった俳優、フレッド・マクマレイがあんまり好きなタイプじゃなかった。というより、ブレイナード教授のキャラ設定があまり好きではなった。

ブレイナード教授と言えば、登場時に「研究の事しか頭にない学者バカタイプ」として強調されていたので、結婚式を忘れちゃうくらいなんだから、食事やお風呂などの日常生活もままならないくらいの専門バカタイプなんだと思うんだけど(私はそういう男の人は好き)、家政婦さんがいるとはいえ、あんまりそういうタイプに見えなかった。

割と器用で、口も達者っぽかったし、恋のライバルのアシュトン教授との駆け引きも達者、ホークとの交渉も巧みだし、ホークの手下とも勇敢に立ち向かうし、恋人のベッツィとのやりとりも優しい。

もし冒頭の「研究に没頭するあまり結婚式を3度もすっぽかしてしまう」という設定さえなければ、すごくスマートで頭のいい、口も達者で勇敢でもあって頼りがいがある男前なのではないの。ロケーションを研究所じゃなくてキッチンにすれば、スーツにエプロンが似合いそう。

「実はぜんぜん専門バカではない感じ」がなんか残念。専門の事以外はまるでオロソカで女の人の扱いとかニガテなコミュ障タイプであってほしかった。


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とはいえ、フレッド・マクマレイがダンス・パーティに行ってアシュトンとダンス対決する前に、別室で自分の靴の裏にフラバーを貼り付けて、華麗にダンス・フロアをびょんびょんしちゃおうと準備してるシーンは「演技うまいな」と思った。

椅子に座ってフラバーを靴の裏につけて、「そーっと」床に足を下ろすんだけで膝がはずんじゃう。それを両手で膝を押さえつけて止めて、そっと立ち上がってダンス・フロアに向かおうとするんだけど、踵をつくたびに「びょこんびょこん」と体がはずんじゃう。挙句の果てにはドタンバタンと服やハンガーごと倒れこむお約束も。

これがとても上手かった。ほんとに踵がはずんでるみたいだった。踵がはずむパントマイムが上手いのかなあと思って良くみてみたら、パントマイムももちろん上手いんだけど、それよりやっぱり顔が上手いのね。弾みはじめは「自分の意に反して」という顔をちゃんとしてる。「うわびっくりしたー。思ったより弾んじゃった!」みたいな。


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このフレッド・マクマレイの他の出演作を、私は『アパートの鍵貸します(1960)』と『ケイン号の叛乱(1954)』の2本しか見ていないのだが、『ケイン号の叛乱』の方は、映画は「大傑作!」と思ったがマクマレイがどの人物でどんな役だったかは全く覚えていない。でも『アパートの鍵貸します』の方は記事にしたこともあってしっかり覚えているぞ。

主人公の上司でヒロインの上司でもある、すごく女たらしな部長役。公私が完全に混同していて、既婚者のくせに自分の地位を利用して部下に手をだしまくる。しかも完全に遊びと割り切っていて、どの女にも同じセリフに同じ店、プレゼントもするのもお金を渡して「これで好きなものを買いなさい」と言うという、女と遊ぶのに余計な手間をかけないタイプ。女が自殺未遂をしても、なんとも思わない冷酷な男。でもオヤジ臭くなくて、スマートなのがまたムカツクの。そしてマクマレイはその役がすごくハマっていた。

この『アパートの鍵貸します』は傑作なので、まだ見ていない方にはおすすめします。マクマレイも含めて、傑作ですから。


・・・・とはいえ今回はあくまでも『フラバー』の話。残念ながら私はこの映画を観てまったくちっとも笑えなかったので、コメディとしてはイマイチだったなという感想。やっぱファミリー映画、苦手なんだと思う。


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ところでこの映画を観て一番思うのは、白黒で撮られた映画を、何故カラーにせねばならんのかというところ。

カラーライズされている映画はいろいろあるようなので、今回良い機会なのでさらっと調べてみたところ、実際結構あった。

★Wikiリンク

着色された映画の一覧 - Wikipedia



以下はそのごく一部(時系列順)。頭についている★は、当ブログで取り上げ済みの映画。

★『メトロポリス(1926)』
『キングコング(1933)』
『カサブランカ(1942)』
★『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ (1942)』
『素晴らしき哉、人生! (1946)』
『監獄ロック(1957)』
★『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ (1960)』 などなど多数。


これカラー化、必要?

必要かなあ、カラー版。

元々、白黒で撮影された映画だとしても、最初から一部分だけ二色法カラーになっている映画というものもある。例えば『ベン・ハー(1925)』のキリストさま関連のシーンとか、『オペラ座の怪人(1925)』の舞踏会シーンとか。


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オペラ座の怪人(1925)より 二色法カラーの部分



今回はそういうのではなくて、例えばその『ベン・ハー(1925)』なり『オペラ座の怪人(1925)』なり、その映画全体をカラーにしてしまおうという試みのことで、そういう行為は必要なのか。最初っからカラー映画だったかのような顔をして流通することは許されるのか。

個人的には「モノクロだったものはモノクロだったのだからモノクロのままでよい」という、そのままで手を加えないで欲しい派なのだが、その理由はというと大げさに言えば「歴史修正主義につながりそうな気がするから」(大げさだが)。

そういうことが少しでも始まると、今度は「煙草を吸っているシーンから煙草と煙を消してしまおう」とかが始まって、どんどんエスカレートしてそのうち私の存在も消されるんじゃね?

まあ、私はどうせ近いうちにこの世から消えて、私が存在していた証拠みたいなものは秒で跡形もなく消え去るのだからどうでもいいが、「煙草を吸っている人が大勢いた」とか「煙草を吸う姿が格好いいと思われていた時代があった」ことは事実なのだから、絶対に消してしまってはいけないのである(私は喫煙者なのであるからして)。


「・・・でもカラーはいいんじゃないの? だって世の中は実際カラーなんだから、白黒になってる方がおかしいんだから、カラー化することは真実を保存することになるのだから良いではないか」という人もいそうだが、それはそうじゃあない。

映画は、まずは ”白黒映画” の時代というものが長いことあって、そしてその時は音声が無い”無声映画”であったりもして、徐々に”トーキー”という「出てくる俳優がちゃんと喋る映画」が出てきて、そして次に”カラー”になって、”特撮映画”なんかの技術もどんどん高まっていき、”CG映画”だの”3D映画”だのと発展してきたわけで、それはそれでそのままでいいじゃないかと思うのである。


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『フラバー』カラーライズ版

 

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元の白黒だとこんな感じかなあ



・・・気持ちはわかる。ディズニーだし、芸術作品じゃあないんだから、彼らのセンスからすればさぞかし最初からカラーで作りたかったであろう。

でも、でも、こういうカラー化をOKしたら、20年後くらいにはこの『フラバー』も3D映画になってしまうかもしれないのである。

そして『メトロポリス』とか『キングコング』とか『カサブランカ』とかまでもが3Dになって、あらゆる映画が3Dになるかもしれないのである。

もっと言えば3Dどころか今後”立体映画”の時代が来ると予想すると、50年後くらいには『カサブランカ』が ”立体映画化” されてしまう未来もくるかもしれないのである。


・・・それはそれで見てみたい気もする(迷ってんのかよ!)。見てみたい気もするけど、でもやっぱり引っ掛かる。

この『フラバー』がカラー版しか手に入らないところを見ると、せめて、せめてやるなら両方見られるようにしてもらいたいものだなあ、「白黒オリジナルか、カラーライズ版か」を選べるのならカラー化してもいいかなあ、と思うのでした。

まる。



余談:ちなみにこの『フラバー』は大ヒットしたようで続編も作られているらしい。2年後の1963年に『Son of Flubber(フラバーの息子)』という題名で公開され、キャストもほとんどみんな同じ俳優が出ている。

でも日本未公開のようだし、DVDもimportものしかなくて、日本語で見ることは出来なさそう。

この続編ではどういうわけかベッツィはブレイナードと離婚しようとしているらしく、すると早速アシュトン教授が再びベッツィを口説き始めたりするらしいw そして今回ブレイナードが発明した「フラバーの息子」と呼ばれるものは、なんと天気を変えることができるシロモノのよう。そしてその「フラバーの息子」を使用して、アシュトン教授がベッツィを口説くのを邪魔したり、今度はサッカー・チームの勝利に貢献したり、裁判にかけられたりしながらも無罪になって、ベッツィとも仲良しに戻る、みたいな映画とのこと。

そしてやはりこちらもカラー化されているみたいでした。

 

 

 

 

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