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古い映画感想ブログです。驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「周遊する蒸気船 (1935)」~わーっと行って、わーっとなって、わーわーわーいとなるドタバタ・コメディ~

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題名 周遊する蒸気船
監督 ジョン・フォード
出演 ウィル・ロジャース、アン・シャーリー、ジョン・マクガイア、フランシス・フォード、ステピン・フェチット
制作会社 20世紀FOX
上映時間 81分
制作年 1935年
制作国 アメリカ
ジャンル コメディ、モノクロ、レース、30's
 
 

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***************** あらすじ *****************
舞台は1890年代のミシシッピ州。蒸気船クレアモア・クイーン号の船長ドクは、流暢な話術で、酒「ポカホンタス」を薬と称して売りつける、インチキ薬売りをして暮らしていた。

ある日、日ごろのライバルであるプライド・オブ・バドゥーカ号のイーライ船長と、いつもの軽口を叩き合ううちに、恒例の夏の蒸気船レースでお互いの船を賭けることになって帰宅すると、一緒に暮らしている甥っ子のデュークが若い女の子を連れて帰ってくる。なんと彼女を巡ってトラブルになり、男を一人死なせてしまったというのだ。

正当防衛なのだから自首すべきだと主張するドクと、自首したら絞首刑にされると反対する娘フリーティ・ベル。だがドクはデュークを連れて保安官のところへ行き、デュークは牢屋に拘束され、フリーティ・ベルの言った通りに絞首刑が決まってしまう。

ドクとフリーティ・ベルはデュークを救うため、もっといい弁護士を雇おうと、船で蝋人形館を催してお金を稼ぎながら、事件の唯一の目撃者である聖職者ニュー・モーセを探す。

デュークの絞首刑が明日に迫り、知事に嘆願しに行く途中、すっかり忘れていた蒸気船レースのスタート地点を通りかかる。レースに出る暇などないドクだが、イーライ船長の挑発に乗ってレースに参加することにする。どうせ知事はレースのゴール地点で1位の船を待っているし、そこではデュークの絞首刑も行われる。ニュー・モーセを探しながらついでにレースに参加して知事とデュークの元へ駆けつける、一石二鳥の算段だ。

レース開始は5分後。燃料を積む時間もなく、ドクはレースに挑む。************************************************
 
いえーい。ハイテンション・ドタバタ・コメディとでも言おうか。見終わった後、わーい、パチパチパチと拍手した。

当時のアメリカの国民的大スター、ウィル・ロジャース主演の蒸気船レース映画。ウィル・ロジャースいいねー。この映画の頃はもう初老って感じだけれども、まだ55歳くらい。Wikiに載っている若い頃の写真が格好いい。この映画での役どころはとっても優しい叔父さんで、甥っ子とそのフィアンセのためにむちゃくちゃをする。若い頃の映画も観たいけど、全然円盤化されてないみたい。
 

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もう一人の主演、女優のアン・シャーリーがすごく可愛い(赤毛のアンとは無関係)。当時17歳くらい。大根だけど可愛い。まだ演技に慣れていなくって、右も左も分からず、言われたまんまやっているような、ひたむきな感じが愛らしい。


映画の見所はやはり蒸気船レースで、トム・ソーヤに出てくるような蒸気船がミシシッピー河を抜きつ抜かれつの猛レースを繰り広げる。

ウィル演ずるドクが所有する蒸気船は小型のオンボロ船で、死刑にされそうな甥っ子を救うために忙しくて、燃料を積む暇もないままレースへの参加を余儀なくされる。案の定、途中で薪がなくなり、家具やら甲板やら片っ端から斧で切り倒して燃やしてしまうがまだ足りない。載せていたロウ人形を次々燃やすがやはり足りない。最後はドクが売り歩いていた酒「ポカホンタス」を投げ込むとさあ大変、ものすごい炎が舞い上がる。「これだ!」とばかりにポカホンタスを次々炉に投げ込み、炉は猛烈な炎をあげ、煙突からも炎が舞い上がる。水車はぐるぐるぐるぐる回って、ドクはレースに優勝、というドタバタぶり。
 

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さらに登場してくる脇役が面白くて味がある。アル中の年寄り機関士のエフェイ、悪魔の飲み物として禁酒を説いて回る聖職者ニュー・モーセ、ちょっと頭の弱そうな黒人奴隷ヨナ、超いい加減な保安官、ライバルのイーライ船長など、みなユーモアたっぷりで楽しい。
 
ニュー・モーセなんて布教活動中に、ドクの投げ縄で捕獲されてしまうのだが、彼は酒だけでなくレースも「悪魔の所業」とか言っていたのに、次のシーンではもう斧を手に船に薪をくべているばかりか、みんなにキビキビと指示出しなんかして、一番ノリノリ。なまくら坊主って、いいよね。ほんと笑わせる。
 

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こういう、これといった意味のない娯楽作って尊い。

監督は名監督のジョン・フォード。映画の前半はゆったりほっこり、終盤からラストにかけてぐんぐんスピードがアップしていく。もう、最後の終わり方とか大好き。描きすぎないところがいい。レースに勝ってからデュークを救うくだりなんてもう光速ですよ。無駄がないとかいうより、説明する気がないよね。ドクが知事になにやら訴えているけど何を言っているかはわからない。アップにもしないし声も聞こえない。でもちゃんと分かる。わーっと行ってわーっとなって、わーっと中止にして、わーわーわーという感じ。で、もう次の場面では蒸気船の上。若いふたりは仲睦まじく蒸気船を操縦し、ドクはゆったりと川を見ながら座っているだけ。いい終わり方だった。

一個だけ文句。映画の面白さには関係ないけど、字幕の預言者の字が間違ってるんだよね・・・予言と預言は違くてですね・・・ぶつぶつ
 
 

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