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割と自己流で生きています

【本】 エドガー・アラン・ポー「黒猫・黄金虫」~ダークロマンの人~

黒猫・黄金虫 (新潮文庫)

題名 黒猫・黄金虫
作者 エドガー・アラン・ポー
出版年 1830年代~1840年代
出版国 アメリカ
ジャンル 短編集、推理、幻想
 

※ これはただの覚書。忘れてしまうので。

推理小説の開祖、かのエドガー・アラン・ポーの短編小説集。幻想小説系&推理小説系が収められている。

 

「黒猫」・・・子供の頃は優しく動物好きの慈悲深い性格だった主人公が、長じてからは酒のために(酒のせいにして?)性格が一変、残虐な性格になってしまう。まずは一番可愛がっていた黒猫を木につるし、罪悪感から飼い始めた別の黒猫を斧で殺そうとして誤って妻を殺し、その妻を壁に塗り込めて隠蔽するが、警官隊がやってきた時不思議な心理状態に置かれてベラベラと余計なことを口走り、そこへ壁の中から奇妙な声がし始めて警官隊が壁を崩すと、壁に塗り込められた妻の死体の頭の上に、主人公が死体と一緒に塗り込めた黒猫が目を光らせて座っていた、という話。


「アッシャー家の崩壊」・・・呪われた家系もの。古い由緒ある家系で、呪われた一族アッシャー家の最後の生き残りであるロデリック・アッシャーの元を、主人公である友人(私)が訪ねて数夜を共にする。ロデリックはすっかり死にとりつかれており、やはり病んでいる妹のマデリン嬢が死亡したために柩に入れて放置するが実はまだ死亡してはおらず、どうにか柩から出てきたマデリン嬢が血だらけで現れ断末魔の叫びととともに絶命する。思わず屋敷から逃げ出す主人公の背後で、満月の凄まじい月明かりの中アッシャー家の大きな屋敷が崩れ、跡形もなく沼に飲み込まれてしまう。


「ウィリアム・ウィルソン」・・・二重人格もののはしりか。主人公は金持ちの子息で、傲慢で我が儘な悪い性質の持ち主であるが、同姓同名で誕生日までが一緒の同級生がおり、その自分そっくりのもう一人のウィリアムが自分を嘲笑っているかのように思われて子供の頃から頭を悩まされていた。オックスフォードの学生となった主人公の邪悪さはあからさまとなりつつあったが、そこへもう一人のウィリアムが現れ主人公の悪行を暴露する。その時もう一人のウィリアムは、実は自分自身であったことを自覚する。


「メールストロムの旋禍」・・・「私」が「老人」から彼の恐怖体験を聞く。彼は、自分の頭が真っ白で老人に見えるだろうが実は決してそうではなく、ある恐ろしい出来事に見舞われたために一夜にして総白髪となってしまったと語る。その出来事とは、兄とともに船で海へ出た際、巨大な大旋禍(メールシュトローム)に見舞われたことであった。命からがら自分は助かった、その出来事を語る。


「黄金虫」・・・暗号解読物の草分け的作品。語り手の友人ルグラン君は、ある日黄金色に輝く虫を手に入れる。その虫の背中には黒い模様が書いてあり、さらに別のところで手に入れた羊皮紙は、偶然熱にさらされたために文字が現れてくる。この暗号と黄金虫がキャプテン・キッドの財宝のありかを示すものであると気づいたルグラン君は、語り手と黒人の召使ジュピターを伴い財宝を探し当て、そこに至った推理を明かすのでった。