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古い映画感想ブログです。驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「幻の女(1944)」~原作が超傑作ミステリー~

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題名 幻の女 
監督 ロバート・シオドマク
制作 ジョーン・ハリソン
脚本 バーナード・ショーンフェルド
原作 ウィリアム・アイリッシュ 「幻の女」(1942)
出演 アラン・カーティス、エラ・レインズ、フランチョット・トーン、トーマス・ゴメス
上映時間 83分
制作年 1944年
制作会社 ユニヴァーサル
制作国 アメリカ
ジャンル ミステリー、モノクロ

 

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************* あらすじ ***************
スコット・ヘンダースンは妻と喧嘩し、二人で見に行くはずだったショウにバーで知り合った見ず知らずの女を誘って連れて行く。ショーの後で女と別れ、帰宅すると妻が殺害されており、すでに刑事が3人、スコットの帰りを待っていた。妻殺しの容疑がかかるスコットは女にアリバイを証明してもらおうとするが、バーでも劇場でも、乗ったタクシーの運転手も、誰も女を覚えておらず、スコットは逮捕されてしまう。スコットの窮地を救うべく、愛人のキャロルがバージェス刑事やスコットの親友マーロウとともに捜査を開始する。キャロルは「幻の女」を見つけ、アリバイを証明し、スコットを救い出すことができるのか。
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原作が超有名な、ウィリアム・アイリッシュ「幻の女」(1942)の映画化。原作は映画化に不向きだと私は思っていて、それの映画化だから、たぶんうまくいってはいないだろうと予測。だから全然期待しないで見た。
 
 
 ※ 本の過去記事はこれ。 
だけど楽しめないのも嫌だから、できるだけ先入観なく見ようと努力したんだけど・・・(イッカイメハダメダッタ)。原作が名作の誉れ高く、それに自分の好きな作品というのもあって、ちょっと(だいぶ)色眼鏡で見てしまったかもしれない。


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映画は原作をかなりはしょって、ポイントポイントをつまんで「ぱっぱっぱ」と進んでいく印象をうけた。映画は83分しかないからなあ・・・仕方がないのかなあ。
 
原作との違いは多々あれど、重要と思われる事柄で言えば、まず女が全く幻じゃない。

原作では、主人公と一緒だった女を誰も覚えていなくて、「いた」と言っているのは主人公だけ。読者は物語の前半で散々女の話を読んでいるから、いることは分かっている。なのになぜ目撃者が口をそろえて「女などいなかった」というのか分からなくてすごく興味をそそる。しかも小説なので、当然読者は読んでるだけで「見て」はいないから「まぼろし感」がハンパない。

でも映画だから、女が「出てきちゃう」からさあ。
女のミステリアスな感じが皆無になっちゃって、予想通り興をそがれる。

さらに「幻の女」がかぶっている帽子が全然違う。原作だと、目の覚めるようなオレンジ色の、カボチャみたいな形の奇抜な帽子なんだけど、映画はモノクロ映画とはいえオレンジ色では絶対にない。そしてカボチャでもない。原作だと、奇抜な帽子を「見ている」のに「覚えていない」なんていうことがあるんだろうか、という興味をそそるようにもできているのだが、映画だとその要素はまるでない。

劇場でみたショウに出ている踊り子とまったく同じ帽子という設定は原作通り。でも、あのショウでの「幻の女と踊り子の対決」は、原作だとかなりスリリングで白眉なので、ここがすっぽり省略されてしまっているのは・・・やはり残念。
 
そして、スコットがつかまって、愛人のキャロルが捜査に乗り出して、そしてキャロルがバーテンダーを追い詰めていく「あの」くだり。原作では、「こんな追い詰め方するなんて・・・すげー、こえー」という感じで、ものすごく効果的で印象深いシーンなんだけど、それがやっぱり時間が足りなかったせいか、相当省略されちゃっていて、バーテンの味わったであろう怖さ、心理面がまったく伝わってこなくて、ほんと残念!
 
真犯人発覚へのくだりも原作とは相当違うけど、そこはいいや。もともと原作の方も、最後の方は「もやもや」しちゃっていたので、映画の方の終わり方(進め方)にはあんまり文句はない。
 

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これは原作と比べて、ストーリーはかなり同じだけどジャンルが違うのかなあ。サスペンスとかミステリーではなく、サイコスリラーとして観るべきなのかもしれないなあ。サイコスリラーのはしりとして観れば、それなりに楽しめる作品なのかも。
 
私は先に原作を読んじゃっていたから、上手に楽しめなかったのかも。

原作を読まずに、先に映画を観たという方がいたら、この映画をどう思ったか知りたいなあ。

まあ、傑作ではないことは明白なんだけれども。

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主役のアラン・カーティスは、男前だけどちょっと大根かもね。30代前半の役で、本人も同じくらいの年齢なんだと思うけど、もっと大人に見える。ひげのせいかなあ。ひげの部分を手で覆ってみると、うん、幼さの残る30代前半という感じ。私はひげ事情には詳しくないから、これが「なにひげ」なのかわからないけど、男の人のひげって興味深い。なんであんなひげの生やし方するんだろか(ヒトラーとか、ありえなくない?)。

原作でとても魅力的な女性だったキャロル役のエラ・レインズは可愛くてよかった。
でも残念ながら、日本で見ることのできる作品は他にはなさそう。
 
 

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あと、どうでもいいことだけれど、友人ジャックの名字が原作と違うんだよなあ。
映画はマーロウ、原作だとロンバート。ロンバートじゃだめなの。どした。何がダメだったのかな(文化的になにかあるんでしょうか)。