○ピエール・ブール『猿の惑星』読了
2025/5/4(日)晴れ
ずっと布団の中で、寝たり覚醒したりを繰り返しながら映画『猿の惑星』の原作小説を一気読み。私が持ってる版が1972年版で、とにかく字がちっこくて、おまけに印字が薄くて拡大鏡なしには読めない代物。なので仕事の行き帰りなどで読むのは困難なので、このGW期間中に読もうと思ってた。
で、読み終わったんだけど、まあ3点てとこかしら。映画は見てるからストーリーは分かってるし、娯楽小説だから難しいこともないし、十分面白く読んだけど、これは映画の方に軍配があがる。それも圧倒的に。
地球人の主人公が、宇宙船に乗って遥か彼方の惑星へ飛び立ち、ある星に着陸するとそこは猿が支配する惑星だった、という展開は同じ。
そこで出会う猿のジーラ、コーネリアス、ザイウス、それから人間のノヴァなどが出てくるのもおんなじ。
違いと言えば主人公の職業や、ゴリラ、オーランウータン、チンパンジーの役割分担が違っていたりもするけれど、最も違うのは「そのオチ」。映画で感じるインパクトがまるでない。
この原作は入れ子構成になっていて、宇宙を漂うカップルが、手紙入りのビンを拾ってそれを読む、その手紙が「猿の惑星に降り立ったある地球人の体験談」になっている。
その手記のラスト自体もインパクトがない上に、入れ子になっているせいで本当にあったことではなく小説かなんかなんじゃないかと思えてしまう。
実際小説内でも、これを拾って読んだカップルは「ぽい」って感じでその内容に重きをおかない。
つまり小説版で描かれるインパクトは、短編小説にありがちな「どんでん返し的なオチ」、ネタバレしてしまえば「その手紙を拾ったカップルも猿だった」というオチにとどまっていて、映画のような哲学的なショックには程遠い。
というわけで、映画化した監督やスタッフたちの志の高さに感謝感謝。