2025/5/24(土)曇り肌寒い
朝は9時に起床して、映画館に『八甲田山(1977)』を見に行った。シネマサンシャイン系でやってる「午前十時の映画祭」ってやつ。
これ中学か高校生の時にテレビでやってるのを見たことがあって、それ以来の鑑賞。あの時、とにかく余りの寒さに発狂して裸になり、ふんどし一丁で体が紫色に染まって死んでいくシーンが怖すぎてトラウマになり、それ以降なんとなく避けていた。
今回はもう大人だし、日本の近代史にも興味があるから見に行ってみた。
結論は大変すばらしかったね。迫力満点、よくぞここまで撮影したなと感心するスケールで、それこそ瞬きもしないで見た。2時間くらいかなと思って行ったけど、瞬きもせず食い入るように見て、終わってスマホ見たら3時間経ってた。びっくりした。あまりにもあっと言う間だったもんで。
ストーリーは日露戦争が予想される時期が舞台で、戦場になると予想されるのが極寒のモンゴル。そのため極寒の環境で戦うための装備と訓練が必要で、その予備調査として2隊に分かれて真冬の八甲田山に登ろうというもの。ようするに訓練に先駆けてお試し踏破を試みたわけ。
で、片方は高倉健率いる27名10泊11日のスケジュールの隊で、もう片方が北大路欣也率いる2泊3日で210名の大部隊。この2隊が同じ時期に違うルートで八甲田に挑む。
高倉健側は順調に踏破していくのだけれど、北大路欣也の方が苦難続きで遭難しまくり、ほぼ全滅となる。
「主役は雪吹雪の八甲田」とも言われるほど荒れ狂う八甲田山と、それにはじき返され凍死していく北大路欣也隊が見ごたえ抜群。
後半なんて、もうホラーですよ。猛吹雪の雪の中、寝たら死ぬということでみんな集まってじっと立って吹雪をこらえている映像だけでもうホラー。よくぞこんなロケをしましたなあ。2年かけたらしいよ。
そして北大路欣也隊は雪だけでなく、内部にも大きな問題を抱えていて、それがクソ上司の三國連太郎。こいつが途中からシャシャリ出てきてテキトーなことを言い、それがすべて裏目裏目に出て隊はますます泥沼にはまり、隊を壊滅状態に追いやる。
北大路欣也はもう少しうまくやれたんだろうけど、上意下達の軍隊なので結局は飲むしかなく、中間管理職的な悲哀がにじんでいた。
この三國連太郎がさあ、私は思わず笑ってしまったよ。笑う映画じゃないんだけど。
だって最後まで生きてるんだもん。あんなにすごい猛吹雪で、途中で沢登りの場面があって、隊員たちはみな雪の中、手を血染めにして氷の崖を登り、滑落して命を落としていくというのに、登り切った隊員の中に一番ジジイの三國連太郎の姿があったのをみて、心の中で「おめえすげえな」ってつぶやいたね。失笑したよ。
その後も、周りの助けもあってだけど、とにかく最後まで生きて、最後は「ごめんなさい、ぜんぶ私が悪かったです」って言って自害したたけども、私は「まだおるー!」って感じで苦笑を禁じえなかったよ。すげえよ連太郎と。
あの時何が何でも連太郎を支えていた隊員たちは助けてたんじゃなくて、「こいつに何が何でも責任を取らせたる!」っていう執念だったんじゃないかとさえ思ったね。
それからスターの高倉健と加山雄三は、さすがに格好いい役を与えられていたね。
健さんが、隊を先導して見事に任務を成し遂げた案内人の秋吉久美子に花を持たせ、彼女を先頭に村に入り、任務を完了した秋吉久美子にむかって全員で敬礼&捧げ銃をするシーンを見て、「さすがスター」と感服した。ちょっとウェットだけど、いいんじゃないかなこれで。
そして北大路欣也隊の方に参加していた加山雄三も、迷惑すぎる連太郎に困惑する北大路欣也に寄り添う役で、おいしい役であった。
全体的に芥川也寸志の音楽がウェットで感傷的過ぎたのは好みじゃないけど、総じて大迫力の傑作だった。
見た方がいいよ。私は近いうちに原作も読むよ。
実に感心しながら、近所のホテルの喫茶店でデカフェとケーキを嗜み、そのあと北海道展で大枚をはたいてウニ丼を買って帰る。一人前5500円のと2800円のウニ丼と、2700円のイクラ丼。その他にも少し買って、たぶん15000円くらい使っちゃった。
こいつが最高に美味しかった。ウニまじでうまい。母も喜んでいた。ウニに比べてイクラは味が穏やかで個性がないから、ウニに負けとった。
今日は一杯お金を使ったけど、実に充実した一日だった。