mです。
たくさんたくさんある『オペラ座の怪人』について、Wikipediaにある情報をベースに、日本で見られるもの見られないもの、買うとしたらDVDはどれなのか、どんな映画なのか、原作とどう違うのかなどを頑張ってまとめました。
超絶長い記事となっておりますので、目次からそれぞれ飛んでください。
- 原作者 ガストン・ルルーのこと
- 原作『オペラ座の怪人』~原作のあらすじと特徴~
- 映画 1916年版(フィルム現存せず=DVDなし)
- 映画 1925年 ロン・チェイニー版『オペラの怪人』(DVDあり)
- 映画 1943年 クロード・レインズ版『オペラの怪人』(DVDあり)
- 映画 1962年 ハーバート・ロム版『オペラ座の怪人』(DVDあり)
- ミュージカル 1976年 ケン・ヒル版『オペラ座の怪人』(DVDなし、CDのみ)
- ミュージカル 1986年 アンドリュー・ロイド=ウェーバー版『オペラ座の怪人』(BD、DVDあり)
- 映画 1989年 ロバート・イングランド版『The Phantom of the Opera』【未見】(日本語版なし、Importのみ)
- 映画 1998年 ジュリアン・サンズ版 『オペラ座の怪人』【未見】(日本未公開・日本語版はVHSのみ、DVDはImportのみ)
- 映画 2004年 ジェラルド・バトラー版『オペラ座の怪人』(DVD、BDあり)
- おまけ:映画『Dance Macabre(1992)』を推理する【未見です】(国内版なし、英語のみ)
- おまけのおまけ:ミュージカル アンドリュー・ロイド=ウェーバー『ラヴ・ネヴァー・ダイズ』(DVDあり)
※題名に○○版とあるのは、映画はファントム役をやった俳優の名前、ミュージカルは作曲者の名前です。
※この他にTVドラマ化なども多数あるのですが収拾がつかないので割愛します。
原作者 ガストン・ルルーのこと
『オペラ座の怪人』は、フランスの作家ガストン・ルルーによって1909年に発表された小説です。のちの舞台化作品や映画化作品はすべてこの原作が元となっています。
ガストン・ルルーは推理小説界の初期を代表する人気作家で、密室推理小説の傑作『黄色い部屋の謎』も有名です。これは『黄色い部屋の秘密』と表記されることもありますが同じ作品です。
一方、『オペラ座の怪人』は推理小説ではなく怪奇小説とか幻想小説の類ですが、推理小説の祖であるエドガー・アラン・ポーがそもそも幻想・怪奇小説の大家なので、どちらのスタイルでも小説を書くというのは伝統的なあり方なのかもしれません。
ルルーは『オペラ座の怪人』『黄色い部屋の謎』の2冊を読めばとりあえずOKと言っていいくらいの代表作ですので、娯楽小説好きならぜひ手に取ってほしい作品です(はずれの可能性が低いと思います)。
これはkindle本。他にも色々な出版社や訳者でたくさんの版が出ています。
原作『オペラ座の怪人』~原作のあらすじと特徴~
この小説版は、作者のルルーがオペラ座にまつわる様々な噂を取材した「取材記録」みたいな体裁になっていることと、後半が ”謎のペルシャ人” の手記という構成になっているのが特徴です。
後半に登場してラウルと行動を共にするこの ”謎のペルシャ人” が出てくるものを、 映画や舞台(ミュージカル)などで、私はまだ見たことがありません。なので映像作品に親しんだあとで原作小説を読むと、このペルシャ人の存在にびっくりしたり、違和感を感じたりするかもしれません(「だれー」ってなるかも)。
原作のあらすじは大体こんな感じです(少し長いかもしれませんが)。
1880年、パリ・オペラ座(ガロニエ宮)。夜ごと華やかなオペラを上演するオペラ座だが、実は姿の見えない謎の男に悩まされていた。支配人は謎の男に毎月2万フランという多額の報酬を払い続け、さらに男の要求通り最上の席である5番ボックス席を男のために年中空けているのだが、男の姿をはっきり見た者がひとりもいないことから、いつしかファントム(幽霊)と呼ばれるようになっていた。
ファントムの名前はエリック。生まれつき骸骨のように醜い顔で生まれ、誰からも愛されたことがなく、少年のころに逃げ込んだオペラ座の地下迷宮に住み着き、誰よりもオペラ座を知り尽くし、様々な奇術をも身に着け、今では陰からオペラ座を支配するようになっていたのだった。
オペラ座のその他大勢の踊り子の中に美しい娘クリスティーヌがいた。クリスティーヌの美貌と美しい歌声に恋したエリックは、彼女の才能を開花させるべく、姿を隠し、陰から彼女に歌のレッスンを施す。クリスティーヌは、声だけの不気味な男ではあるものの、たぐいまれなる美声と音楽の才能を持つ天才ファントムを絶大に信頼し、歌のレッスンを重ねていく。
いよいよファントムがクリスティーヌを主役に添えようと動き出す。劇場の大スター、カルロッタを押しのけ、スタッフの命も犠牲にし、劇場のシャンデリアを落とすなど、強引な手を使ってクリスティーヌを主役に添えようと画策していると、クリスティーヌの前に若くてハンサムな子爵 ラウルが現れる。クリスティーヌとラウルは幼馴染であり、大人となって再会した二人は瞬く間に恋に落ちる。
恋敵となったファントムとラウル。ファントムはクリスティーヌを自分だけのものにしようと地下迷宮へクリスティーヌをさらい、自分を愛し、この地下で永遠に暮らそうと迫る。ファントムのあまりの醜さに衝撃を受けるクリスティーヌ。ファントムは自分の醜さからくる引け目から、「自分を裏切らない」との約束と誓いの指輪を渡してクリスティーヌを解放する。
劇場のスターとなったクリスティーヌ。その裏にファントムの存在があることを知ったラウルは、ファントムの正体を暴こうと奔走する。クリスティーヌとラウルの密会をオペラ座の屋上で見たファントムは、クリスティーヌの裏切りに傷つき、再びクリスティーヌを地下へさらう。ファントムは「拒絶したらガロニエ宮を破壊する」と脅し、無理やり結婚しようとするがクリスティーンは拒絶する。
ラウルがクリスティーヌ奪還に動き出す。ラウルはペルシャの国家警察である謎のペルシャ人と共にオペラ座の地下へ潜入するが、ファントムが仕掛けた数々の罠にかかって捕えられてしまう。ラウルの命を救うため、クリスティーヌはファントムの妻になることに同意する。ファントムはクリスティーヌが額にキスさせてくれたことを「母親でさえキスしてくれなかったのに」と言って感激する。ファントムはラウルとクリスティーヌを解放し、ペルシャ人に「自分が死んだらクリスティーヌに渡した指輪を自分の遺体の指にはめてほしい」と頼む。それ から三週間後ファントム死亡の新聞記事がでたのだった。
というストーリー。
自分勝手な男だけれど、それでもエリックの独白は心にくる。あまりの醜さに、母親にすらキスしてもらったことがないと告白するエリックを、抱きしめてあげたくなること請け合いです。
映画 1916年版(フィルム現存せず=DVDなし)
ドイツ制作、監督:エルンスト・マトライ、出演者:ニルス・オラフ・クリサンダー(エリック)、アウド・エゲーデ=ニッセン(クリスティーヌ)、エルンスト・マトライ(ペルシア人)。
この初映画化作品はフィルムが現存しておらず、幻の映画化作品となっています。
Wikipediaによるこの配役を見ると、この初映画化版にはどうやら ”謎のペルシャ人” 役が出てきていたらしいです。しかも監督自身が演じています。
たったの76分しかない作品でありながら ”ペルシャ人” を端折ることなく登場させているらしいことと、この配役の中にラウルがいない、という2点が興味をそそられます。
ですが、英語版Wikipediaによれば、監督自身が演じていたのはペルシャ人ではなく、ラウルだったことになっています。
なんとなく私には日本版Wikipediaの情報が誤っていて、監督が演じていたのはラウルだったように思えてならないのですが(その方が自然なので)、どうやらこの映画はフィルムはおろか、写真、さらにはポスターさえも残っていないようなので、詳細は藪の中ということになりそうです。
残念。
この時代のドイツ映画は天才的傑作が多いので、『カリガリ博士(1919)』や『ノスフェラトゥ(1922)』『メトロポリス(1927)』などを頭に描いて、「もしフィルムが残っていたら、あんなんだったかな、こんなんだったかも」と想像するしかなさそうです。
映画 1925年 ロン・チェイニー版『オペラの怪人』(DVDあり)
モノクロ/サイレント/107分。ファントム役はロン・チェイニー。ファンの間で『オペラ座の怪人』と言えば、このロン・チェイニーなのです(ラミンではなく)。
若干の設定変更はあるものの、”謎のペルシャ人” を大幅に端折るなどしてコンパクトにまとめたところは高評価です。原作に割と忠実で、すごく真面目に作っています。メーキャップもちゃんと醜いです。
1925年版は別記事を立てているので、興味のある方は 👇 こちらもどうぞ。
映画 1943年 クロード・レインズ版『オペラの怪人』(DVDあり)
カラーになりました。そして92分でコンパクトな出来。ファントム役はクロード・レインズ。
猛烈に脚色してあって、かなりの異色作ですが良作です。ファントムはなんとクリスティーンの父親だったという、とんでも脚色が楽しめます。別物として手に取っていただけると、シリアスなストーリーの中にも微笑ましいシーンがちりばめてあって、隅々まで気を配った良作だなと思っていただけると思います。とても面白いです。
1943年版も別記事を立てているので、興味のある方は 👇 こちらもどうぞ。
👇 DVDです。
映画 1962年 ハーバート・ロム版『オペラ座の怪人』(DVDあり)
90分でコンパクト。ファントム役はハーバート・ロム。
制作がハマー・フィルム・プロダクションという異色作で、こちらもかなりの意訳が楽しめます。ファントムが全然クリスティーンに恋をしていないというところが新しいし、ファントムは復讐に燃える音楽家に徹しています。
そして昔の大映映画みたいにB級感がハンパないw それがこのバージョンの面白いところ。
1962年版も別記事を立てています 👇
👇 DVDです。
ミュージカル 1976年 ケン・ヒル版『オペラ座の怪人』(DVDなし、CDのみ)
時系列にしているので、ここで『オペラ座の怪人』初ミュージカル化であるケン・ヒル版が来ます。
私はこの作品を見てはいないのですが、Wikipediaの癖の強い日本語のあらすじによれば、ストーリーはかなり原作に忠実で、くだんの ”ペルシャ人” も出てくる様子。
そしてミュージカルなので音楽が重要なわけですが、ヴェルディ、グノー、オッフェンバック、モーツァルト、ドニゼッティ、 ウェーバー、ボーイトら、既存の音楽家たちが作曲したアリアなどに『オペラ座の怪人』としての詞を付けた、いうなれば替え歌版。
かなり評価が高そうでぜひ見たいのですが、これは残念ながらDVD化はされていなさそう。ただ、サントラCDは手に入ります。
ロイド=ウェーバーの方はオリジナル曲ですが、ケン・ヒル版はクラシックの名曲に歌詞を載せたものなので、聴いたことのある楽曲もあって、とっつきがいいです。
このケン・ヒル版の10年後に制作されるロイド=ウェーバー版がド派手な作品で、世界中の話題をかっさらってしまったために割を食ってしまった感のあるケン・ヒル版ですが、2018年には日本で5年ぶりに再来日して上演されていたようなので、今後ももしかすると3度目があるかもしれません。
これは未来に期待ですね!(舞台の円盤化お願いします。必ず買います)。
ミュージカル 1986年 アンドリュー・ロイド=ウェーバー版『オペラ座の怪人』(BD、DVDあり)
はい。『オペラ座の怪人』と言えばこれ! となった感がある、アンドリュー・ロイド=ウェーバー版のミュージカル『オペラ座の怪人』。1986年にロンドンのウェスト・エンドで初演されて大ヒット、1988年には海を渡ってNYブロードウェイに乗り、いまだに延々30年以上も上演され続けているという化け物的なミュージカルです(コロナ期間中は中止)。
長いこと上演されているのでキャストは時々で変わっていますが、そもそもウェーバーは自分の妻でもあった歌姫サラ・ブライトマンのためにこの舞台を作り、ロンドンで上演し、ブロードウェイに進出するときはそのままブライトマンをごり押しして ”強引に” クリスティーヌ役にねじ込むなどしています。
嫁(の才能)にべた惚れ、という感じ。まるで自分がエリック=ファントムであることを告白しているようだなと思います。
1990年に2人は離婚、その後のブライトマンは90年代を代表する歌姫にのし上がり、盲目のテノール歌手アンドレア・ボチェッリとのデュエット「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」がこの手の楽曲としては空前の大ヒットとなり、キャリアのピークを作っています。この時代はクロスオーバー系の音楽が流行っていたとはいえ本当に大ヒットで、私もアルバム持ってます。
とはいえ、BDやDVDで見るということになるとブライトマン時代のものは無いのか手に入らなくて、自動的にこの『オペラ座の怪人 25周年記念公園 in ロンドン』を選択することになります。
クリスティーヌ・ダーエ役がシエラ・ボーゲス、ファントムがラミン・カリムルーですね。
見るとわかると思いますが、シエラ・ボーゲスの歌唱力もさすがプロの貫禄ですし、やっぱりラミンのカリスマ性は無敵かなと思います。
25周年を記念した公演なので、最後には歴代のクリスティーヌ役やファントム役が集結し、歌唱も披露してくれますし、サラ・ブライトマンもアンドリュー・ロイド=ウェーバーも登場して見応え十分。
物語はもちろん、音楽、歌、オーケストラ、セット、美術、衣装、舞台効果、どれをとっても度肝を抜く豪華さで、はっきり言って見ないで死ぬのがもったいないレベルです。いやもうホントすごいです。
当然サントラもおすすめ。私は何種類か持ってます。
これはCD。お間違えなきよう。
映画 1989年 ロバート・イングランド版『The Phantom of the Opera』【未見】(日本語版なし、Importのみ)
残念ながら日本語版はDVD、BD共に発売されておらず、英語版のみで手に入れることができるのが現状です(2020.12.28 現在)。ファントム役はロバート・イングランド。
監督はドワイト・H・リトルですが、彼はスティーヴン・セガールとか、ブランドン・リーとか、ウェズリー・スナイプスとか、割とそういうアクション映画を撮る監督です。
そして『エルム街の悪夢』のフレディ役でおなじみロバート・イングランドがファントムを演じて いるということで、いわばロバート・イングランド版です。
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日本語版がないということで【未見】となりますが、色々と調べたところ、作品の概要はホラー・テイストでグロくてエグイ、かなり残酷な作風のよう。別にロバート・イングランドが影響しているわけではないのでしょうが、ホラーつながりになっているようです。
エリックは仮面をかぶるのではなく、死体の皮を自分の顔に縫い付けているというキャラです(えぐいです)。それにカルロッタの首は切るわ、他の犠牲者の内臓を引きずり出すわ、もう殺人鬼。
物語は、現在のオペラ歌手であるクリスティンが、100年前にエリックという人物が書いた楽譜「勝ち誇るドン・ジョヴァンニ」を発見します。それでクリスティンがその楽譜のことをいろいろと調べていると、どうやらこの楽譜を書いたエリックは、数々の殺人を犯しており、彼が思いを寄せていた若き女性オペラ歌手の失踪にも関係しているらしいと気が付きます。そしてその100年前の楽譜から歌が聞こえはじめ、血が流れてクリスティンの手が血だらけになるという怪奇現象も起こります。その後クリスティンが舞台で稽古をしていて事故にあっ て気を失い、目が覚めるとなんとそこはエリックのいる1885年のロンドンでした、と。
なんかめちゃくちゃ面白そうではないですかー ヽ(^o^)丿 タイムスリップもの大好き!
なのに映画は、公開してみると酷評の嵐にあい、盛大にコケて、続編の予定もあったのにそれも立ち消えになったのだとか。
でも・・・プロットは面白そうです。英語が得意な方はぜひ見てみてほしいです。私も日本語字幕版とかがあれば、ホラーは苦手だけどがんばってみたかもしれないのですが・・・残念。
映画 1998年 ジュリアン・サンズ版 『オペラ座の怪人』【未見】(日本未公開・日本語版はVHSのみ、DVDはImportのみ)
イタリアとハンガリーの合作映画で、監督はダリオ・アルジェント、ファントムにジュリアン・サンズ。
監督はホラー界の雄、ダリオ・アルジェント。『サスペリアPART2(1975)』とか『フェノミナ(1985)』とか、ホラー映画嫌いの私でも聞いたことがある有名作を手掛けています。『オペラ座の怪人は』怪奇ものなので、やはりホラーとは相性が良いみたいです。
ただ残念ながら日本未公開、VHS版で発売されたのみで、あとはimportだけ。なので私は【未見】です。
これはVHS版。写真をクリックするとAmazonに飛びます。
英語版WikipediaをGoogle翻訳で翻訳してみたところによると、大まかに、非常に大まかには原作を踏襲しているようですが、設定が凄まじくて、なんとファントムは捨て子で、川を流れてきた(!)赤ちゃんファントムをなんと ”ネズミたちが” 拾って、オペラ座の地下で育て上げるらしいです。
ネズミたちが育てる!!!! (゚д゚)!
そして街にいるネズミが人間に殺されるのと同じ理屈で、逆にオペラ座の地下にきた人間をファントムは殺すようになります。そんなある日、ファントムはクリスティーヌ・ダーエの歌声に魅了されて恋に落ちます。ライバルのラウル男爵も登場しますが、ファントムはクリスティーンの愛を得て、地下湖でラブラブになります。
でもファントムがネズミに囲まれている様子を見てびっくりしたクリスティーンが地下湖を逃げ出し、今度はラウルとくっついてしまいます。ファントムはクリスティーンがラウルとラブラブなのを見て涙して、クリスティーン奪還作戦を開始しラウルと奪い合って、最終的にはクリスティーンはファントムを選びますが、ファントムは警察に撃たれて息絶えてしまいます。ファントムの死を嘆き悲しむクリスティーンの姿を、ネズミたちが遠く見守ります。
みたいな話でした(Google翻訳はそのように読めました)。
オペラ座、地下、地下湖、オルガン、カルロッタ、シャンデリア落下、クリスティーンの歌という具合に、『オペラ座の怪人』を構成する要素はちゃんとおさえているようです。
でもファントムは顔が醜くつぶれていたりはしなさそう。でももしかすると途中でクリスティーンに岩で顔面をつぶされているかもしれません(笑) なぜかというと、Google翻訳でそう読めた部分があったのです。「え?」と思って、でもGoogle翻訳の日本語が分かりづらすぎて確信が持てなかったので、あらすじからは省きましたけども。
しかしどういう理由があると「ネズミに育てられる設定」にするのかが私には理解しにくいですが、なんだかすごく面白そうw
VHSなら日本語版があるみたいなので、機会があったら見てみたいものですなあ。
こちらはDVD、importもの(英語、イタリア語)。クリックするとAmazonに飛びます。
映画 2004年 ジェラルド・バトラー版『オペラ座の怪人』(DVD、BDあり)
これは大ヒットしていたので観た方も多いと思います。ガストン・ルルー原作の映画化というよりは、アンドリュー・ロイド=ウェーバー版のミュージカルを映画化した作品です。ほとんどミュージカル通りに映画化していると言っていいレベルだと思います。
監督は『セント・エルモス・ファイアー(1985)』や『フラットライナーズ(1990)』『フォーリング・ダウン(1993)』など数々のヒット作を持つ、ジョエル・シュマッカーです(蛇足ですが『フォーリング・ダウン』はめっちゃ面白いです。おすすめ)。
ファントム役はハリウッド・スターのジェラルド・バトラーで、ちゃんと自分で歌っています。彼は歌は専門ではないのですが、このファントム役のために1年半ほどもボーカル・トレーニングを自らに課してこの役に挑んでいます。
私のイメージでは割とマッチョなアクション俳優なのですが、ファントム役もなかなか良かった。歌に関してはどうしてもアンドリュー・ロイド=ウェーバー版のラミンと比べてしまうし、比較するとさすがに素人目(耳)でもラミンには負けるのですが、でも決して悪いわけではなかったです。超・大役のファントム役ですから、相当な意気込みで打ちこんでいることが伝わってきて良かったと思います。
クリスティーヌ役にはエミー・ロッサム。このお方は歌は本職で、子供のころからオペラを習い、カーネギー・ホールに立ったこともあるというので本物です。
しかもルックスが可憐でかわいらしいという、今までのあらゆるクリスティーヌの中で一番幼い、まだ少女の面影を残した設定になっていて、かなり日本人好みなのではないでしょうか。
カルロッタ役のミニー・ドライバーは吹き替え。この女優さんは歌えるのですが、この映画では歌っていません。やはりオペラを歌うというのはそんなに簡単なことではないということなんでしょう。でもエンディング・テーマを歌っていて、決して歌えない訳ではないことを証明しています。面目躍如です。
監督のジョエル・シューマッカーは、アンドリュー・ロイド=ウェーバー&ラミン版の『オペラ座の怪人』の大ファンのイメージを決して損なわないよう余計なことをせず、かなり忠実に映像化したとみえて、ファンの期待を裏切らない安心の出来です。
おまけ:映画『Dance Macabre(1992)』を推理する【未見です】(国内版なし、英語のみ)
Wikipediaの『オペラ座の怪人』の記事の中には、1991年版として『The Phantom of the Opera 2』という作品が載っています。しかもそれは1989年版のホラー・テイストである、ロバート・イングランド版の続編という扱いになっています。
でもこれが見つけられなくて。
私が調べた限りだと、ロバート・イングランド版『オペラ座の怪人』の続編は、そういう話はあったけどキャンセルになった、ということになってました。
それで英語版Wikipediaに切り替えてグレイドン・クラーク監督を検索したり、俳優のロバート・イングランドで探したりして、これはどうやら『Dance Macabre(1992)』という題名の映画の事なのではないかと気づきました。
でもおそらく、ガストン・ルルー原作の『オペラ座の怪人』の映画化あるいは続編としては制作されていない模様です。
『Dance Macabre』を直訳すると「死の舞踏」。英語版Wikipediaの『Dance Macabre』のあらすじをGoogole翻訳にかけ、やたらと読みにくい翻訳をがんばって読み解いてみると、どうやら物語の舞台は現代で、マダム・ゴルデンコ率いるロシアのバレエ団と、ダンス講師のアンソニーとオルガ、バレエ団の若きアメリカ人ダンサー、ジェシカのお話っぽいです。
アンソニーがファントムに対応して、ジェシカがクリスティンに対応していると思われます。
どうやらジェシカはアンソニーの昔死んだ元カノ(スヴェトラーナ)にそっくりだったらしく、ほどなくしてジェシカはアンソニーの個人教授を受けることになるけれど、ジェシカの周りではバレエ仲間のクローディン、アンジェラ、ナターシャ、イングリッド、さらにはジェシカのボーイフレンドで写真家のアレックスといった具合に次々と死んでいきます。連続殺人です。ジェシカは途中で、オルガが犯人なのではないかと思ったりしているようです。
アンソニーの方は、ジェシカがアレックスと仲良くキスするのを見て悲しくなったり、とうとう深い仲になったと知ってぽろりと涙を流したりもします。
バレエ団のダンサーが次々と死んでいくと、恐れをなした他の団員も辞めていき、とうとうジェシカがトップ・ダンサーになる時が来ます。するとアンソニーはジェシカが自分の元カノそっくりにみえるようにブルネットのかつらを着用させて舞台に立たせようとします。でもジェシカは「自分は自分」とばかりにブルネットのかつらをはぎ取って、自分が「元カノ(スヴェトラーナ)ではない」ことを宣言します。
するとアンソニーはそのジェシカの様子に大ショックを受け、自分の内面が崩壊していきます。なんとアンソニーは二重人格で、もうひとつの人格であるマダム・ゴルデンコの方が数々の連続殺人を起こしていたのです。アンソニーはジェシカを守るために、自らバルコニーから身を投げて自殺し、ゴルデンコの魔手からジェシカを守りました。ジェシカはアンソニーの元に駆け寄り、「私はあなたのために踊っていたのよ」と優しい言葉をかけました。
・・・みたいな話っぽいです(おそらく)。あくまでもWikipediaの『Dance Macabre』のあらすじをGoogle翻訳にかけたものから推理したあらすじですので、間違っているかもしれません。というか、間違っているでしょう! 自動翻訳がとにかく読みづらかったので!!! でもGoogle翻訳をベースにした話ですから、そこはなにとぞお許しいただきたい(一応がんばった)。
オルガという女性が重要な役どころで出てくるようですが、彼女の役割が私には良く分かりませんでした・・・誰なの? オルガ。どういう関係なの。アンソニーの講師仲間なだけとも思えないし、かといってアンソニーの恋人って感じも読み取れなかったです。
このレベルの、ほとんど ”解読” と言っていい私の要約があっているとすれば、なんていうのかしら、『オペラ座の怪人』+ヒッチコック監督の『めまい』みたいな作品かなと思いました。
オペラ座の怪人っぽさは、あるといえばある気もするけど、でもそれはこちらが「オペラ座の怪人の映画化なのかどうか」という目線で一生懸命オペラ座の怪人ぽさを探してるからそれっぽい気がするだけで、先入観なくまっさらな気持で見たら全然オペラ座の怪人ではないのではないかしら。仮面要素も読み取れなかったし。
私の ”解読” ではあるけれど、たぶんまっさらな気持で見たらミステリー色が強くて「連続殺人犯はアンソニーかしら、オルガかしら、マダム・ゴルデンコなのかしら」って思うだけだと思うし、次々と登場人物が残酷に殺されていって「ぎゃーー」ってなって、最後「二重人格オチきたー」みたいな感じなのではないかしら。もしかするとアンソニーの倒錯した愛に感情移入して、「アンソニー可哀想」とはなるかもしれないですが。
アンソニーは男で、ゴルデンコは ”マダム”っていうくらいだから女なんだと思うのですが、すると男と女の二重人格ということになるので、映画では女装が見られるのかしら。
あと、マダム・ゴルデンコがジェシカをトップに据えるために団員を次々と手にかけていて、アンソニーはジェシカが元カノに似ているから執着していただけ、みたいに読めるけど、とするとマダム・ゴルデンコの動機がさっぱり分からないですね。
一生懸命Google翻訳の結果を読み解こうと頑張ったんですけど・・・難しかったです。DVD等は日本語版が出ていなさそうだから、私にとっては永遠の謎になりそうです。
とはいえこれを小説『オペラ座の怪人』が原作の作品とするにはちょっと難しい。だから原題は『Dance Macabre』にしたのに、勝手に日本サイドがヒットさせたいがために、名の通った『オペラ座の怪人2』にしちゃったんじゃないかしらと予測しました。
日本語字幕化乞う! もし全然違う内容だったらごめんなさい。
DVD、Importもの(英語)。写真をクリックするとAmazonに飛びます。
おまけのおまけ:ミュージカル アンドリュー・ロイド=ウェーバー『ラヴ・ネヴァー・ダイズ』(DVDあり)
なんとアンドリュー・ロイド=ウェーバーが、自身の名作ミュージカル『オペラ座の怪人』の ”続編” を作ってしまったのが、この『ラヴ・ネヴァー・ダイズ』です。この続編制作のために、わざわざ ”あの” フレデリック・フォーサイス(!)に原案となる原作の執筆を依頼して、そして出版されたのが『マンハッタンの怪人』(1999年出版)。
顔ぶれもファントムはラミン、クリスティンはシエラ・ボーゲスということで、1986年版ミュージカル『オペラ座の怪人』と同じ。ヒットさせる気満々のキャストですよね。
最初は2010年にウェスト・エンドで上演されて、その後あちこちで上演される予定だったけれどイマイチ評価されなくて、ブロードウェイでの上演が立ち消えになってしまっています。『オペラ座の怪人』ファンから不評だったのだそう。
その後オーストラリアで公演が始まり、ブラッシュアップされた舞台が人気となったおかげでDVD化もされ、CDも出て、それを私が持っているという次第ですw
でも、いまだブロードウェイでは上演されないところを見ると、ざっくり言えばやはり不評だったのでしょう。
このDVDを観た私には分かるんですよ・・・不評だろうなって(笑)
簡単に一言で言うと、いったい誰が、カリスマ性ゼロのファントムを見たいのか、と。
ここでのファントムは、以前クリスティンにフラれて傷心し、あまりにも傷心したのでそばにはいたくなくてNYに渡ってクリスティンの前から姿を隠していたわけです。健気な話ですよ。それはいいんです、姿を隠しているのは。子供のころからずっと隠していたのだし。
ところがこのファントムは、もう生きる希望もなにもなくして、「がっくり肩を落としてうなだれているだけ」というね。行動力ゼロ。すっかり燃え尽きちゃったみたいな。
私かな? w(恋愛が原因ではないが)。
先日Youtubeで「セルフ・ネグレクト」の特集を見て、「これは私の未来なんじゃないのか」「すでに”セルフ・ネ”くらいまで来てるぞ」と思ったのですけれど、ファントムもそんな感じです。ソファに座ってがっくりと、何もしたくないみたいな。酒のんだくれちゃう、みたいな。
そこへクリスティンがラウルと一緒にNYにやってくるのですが、今度はこのラウルがいけない。「役立たずのいいとこの子」って感じで身代を食いつぶして落ちぶれてる有様です。
男性陣どうしたのと。
ファントムは、クリスティンと再会できたし、憎っくきライバルであるラウルは落ちぶれてるしで、俄然盛り上がって生き生きしていくわけですが、いかんせん昔は有ったカリスマ性やミステリアスな雰囲気はすでにまるでないです。
舞台がNYに移ってしまったせいもあるのか、なんかやたらと現代劇すぎて、『オペラ座の怪人』の時の時代錯誤的なゴージャスさがまったく感じられないです。
例えば、ヨーロッパの二頭立て馬車に乗るファントムならば似合うであろうけれど、アメリカ西部開拓時代風二頭立て馬車に乗ってるファントムから神秘的な雰囲気を感じますか、ということです。
場所が良くなかったのではないかなあー。アメリカねえええ。アメリカかああ。うーん。
でも! でもね、やっぱりさすが音楽は良かったですよ。キャッチーで、アンドリュー・ロイド=ウェーバーっぽくて。「さすが音楽は落ちぶれていない!」と思いました。
ですので、やっぱりアンドリュー・ロイド=ウェーバーの『オペラ座の怪人』のイメージにとらわれずに、ひろーい心を持って、やさぐれるファントムや役立たずなラウルを受け入れる度量がある方は、この続編らしい『ラヴ・ネヴァー・ダイズ」を見てみるのもいいのではないでしょうか。
私は「あれはあれ、それはそれ、これはこれ」的に見ます。
興味のある方はぜひもっと調べてみてください!
では! 長くてごめん! (;´д`)