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名作から駄作まで、見た映画の感想を正直に片っ端から記事にする、古い映画感想ブログです。驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「砂漠街道(1935)」 ジョン・ウェイン(28歳)が割とクズっぽかった

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題名 砂漠街道
監督 ルイス・D・コリンズ
出演 ジョン・ウェイン、エディ・チャンドラー、メアリー・コーンマン、ポール・フィックス
上映時間 54分
制作年 1935年
制作国 アメリカ
ジャンル 西部劇、アクション、モノクロ



女の子が大好きなロデオ乗りのジョン・スコットと、女の子が大好きなギャンブラーのカンザス・チャーリーが、いつも通り女の子に関する無駄口を叩きながらロデオ大会やポーカーの大会に出ているうちに、強盗に間違われて保安官に追われてしまうという話。

ジョン・ウェインが売れる前にたくさん出ていたB級西部劇の中ではまあ ”ましな方” だと思う。



****** あらすじ ******
ジョン・スコットとカンザス・チャーリーはロデオ乗りとギャンブラーの、女の子大好き親友コンビ。賞金目当てにロデオ大会へ出場するが、賞金が額面通りに払われないことを知り急いで賞金を受け取りに行くと、900ドルの予定が250ドルしか払えないと言われてしまう。納得いかないスコットは銃を突きつけ、予定通りの900ドルを奪って二人は立ち去る。

それと入れ替わりにピートとジムが残りの金を全部巻き上げようと強盗に入るが、ジムは抵抗しようとした事務局員を撃ち殺してしまう。銃声を聞きつけ集まってきた保安官らは、ピートの口車に乗せられスコットとカンザスの仕業と思い込み、二人を追い始める。

いつの間にか馬車強盗や銀行強盗までもが自分たちのせいにされていることを知ったスコットとカンザスは、喧嘩したり女の子を口説いたりとじゃれつきながら、保安官らの追っ手をかわし、真犯人を突き止めようと奮闘する。最後はジムの自白で二人は救われ、スコットはジムの姉アンと結婚して、大団円。
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軽いタッチで深刻さは皆無。割と危機的状況なのに、飄々と女の子を口説いているうちに真犯人も捕まって解決するのだけど、コメディというほどのこともなくて、ちょっと中途半端。

話は大して面白くないし、絵的にもいつも通りジョン・ウェインのバストショットとかアップとか、馬に乗って走ったり、いつも通り馬車に飛び移ったりするばっかりで、見栄えのするカットやシーンはない。アクションというほどの事もないし・・・あ、でも、超後半でジョン・ウェイン(のスタントマンだと思うけど)が、走る馬から小屋の窓めがけて走る馬の勢いそのままにダイブするというアクションは「おや (゜0゜)」と思ったけど、割とアクションだったのはその一瞬だけだった(ちなみに今作では、ジョン・ウェインのスタント担当であり、単独でも有名なスタントマンのヤキマ・カナットは出ていません)。


だけど、ジョン・ウェイン以外の登場人物のキャラがちょっと立っていて、彼らの魅力に支えられて最後まで見られる感じになっていた。

まず、映画が始まってすぐに出てきた女性キャラが ”ファニータ” という女性なんだけど、あからさまに娼婦然としていたので(外でスカートをたくし上げてストッキングを直すし、自宅を娼館みたいに使っているという)、「え、え、今回のヒロイン攻めるなあ。ずいぶん進歩的じゃん」と思ってしまったが、本物のヒロインは中盤から登場して、ちゃんと安心の雑貨屋の女の子だった。

で、ファニータはどうでもよくて、この雑貨屋を営む女の子アン役のメアリー・コーンマンという女優さんが、ちょっと面白い顔してて可愛いんだ。


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真ん中がメアリー・コーンマンさん



なんか、すぐにシンディ・ローパーを思い出した。表情を ”くしゃっ” と崩す感じがシンディぽいなと。

小っちゃくて、華奢で、胸なんかも大きくなくて少女っぽくて、美人じゃないけどチャーミングな感じ。一緒にいると楽しそうな、周りを幸せにしてくれそうな、そんな感じで好きな雰囲気だった。ショートカットも似合ってた。


そしてジョン・ウェイン演ずるジョン・スコットの相棒である、カンザス・チャーリー役のエディ・チャンドラーが良かった。

エディ・チャンドラーは、英語版Wikipediaによれば生涯で350本もの映画に出ているけど、そのほとんどがクレジットなしで出演しているんだとか。ということは彼はせいぜいB級俳優で、もっと言えば売れない俳優だったということか。

でも、私は興味を持ったけどなあ。ハゲ、わりと好きだし(人によるが。いやハゲ方によるが)。


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100年近く前からハゲの常套句だったのね



この映画では、女とみれば声をかけずにいられず、それでいつもトラブルを起こしてきたらしいカンザス・チャーリーを軽快にコメディ・タッチで演じていた。ジョン・ウェインに「お前は女と口をきくな」と言われて、口がきけない芝居を引き受けたもんだから、先に紹介した娼婦ファニータと喋りたくても喋れない、でもすぐに我慢できなくなってしゃべりだすという役だった。

途中、神父のふりして(牧師かも)街に舞い戻るけど、その神父の格好もよく似合っていたし、結構存在感があって印象に残ったけど・・・私は好きな感じだった。

でもまあ、演技力があるとは思わなかったから、そのあたりに売れなかった原因があったんだろうか。

とはいえアカデミー賞を受賞した映画、『或る夜の出来事(1934)』『我が家の楽園(1938)』『風と共に去りぬ(1939)』に、どの程度の役かは分からないが出演しているらしいから、いつかお目にかかることもあるかもしれない。

いや、この3本を見る時には目を皿のようにしてエディ・チャンドラーを探そう。

ただし覚えていればだが。


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ところでジョン・ウェインはだいたい28歳。

いつも通りのジョン・ウェインの役のように見せておいて、実はこれまでのジョン・ウェインが演じた役では一番クズだったかもしれない。

だって、女好きなのはいいとして、強盗に間違われて追われる役なんだけど、彼は実際「250ドルしか払えない」と言っている賞金を「いーや、900ドルのはずだから俺は900ドルじゃなくちゃ嫌だ」と言って、銃を突き付けて金庫から900ドルを奪ってしまうのである。

ロデオの主催者側も、別に騙そうとしたわけではなくて、出場者があまり集まらなくて賞金を用意できなかったみたいだし、それでもそれなりに公平に、みんな少なく受け取れるよう配慮していたりもして、決して悪質なわけでもなんでもない。

法律上はどうだか知らないが、私はロデオの主催者側に同情したね。


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銃を片手に凄むジョン・ウェインさん



おまけに娼婦のファニータの家で、すっかりキャバクラに慣れっこな男みたいな風情でくつろいで、「こいつ相当通ってんな」って感じ。オッサンじゃんか。

それだけでなく一番よろしくなかったのは、雑貨屋の娘アンを気に入ったのはいいとして、そのアンのお尻を眺めたいがために、一番高ーいところに置いてある必要でもない品物を「あれが欲しい」と言ってアンに脚立を上らせ、それを後ろからニヤニヤと眺めるという悪趣味さ。

しかもそれを二度繰り返し、二度目には脚立の脚を蹴り飛ばして、上から降ってくるアンを受け止めて「うひゃひゃ」と喜んでいる悪質さ。

いけませんな。

これでは西部のヒーローではなく、ただのスケベオヤジじゃないですか。女がらみが汚い男は、女からの評価が下がりますぜ。


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お尻を眺めるジョン・ウェインさん



それにしても、ジョン・ウェインのB級映画は一向に面白くなっていく気配がない。

なんか、初期の方がちょっとは面白かったのに、完全に惰性で作っていて、中だるみ的にどんどんつまらなくなっている感じがする。

私は西部劇ファンではないので良さが分からないのかしら。いや、そんなんじゃなくて、やっぱり面白くないんだと思う。

これじゃあジョン・ウェインがどんなに格好良くてもスターになんかなれないよー。だんだんオッサン化してきているし・・・


でも、あともう少し我慢すれば(私が)『駅馬車(1939)』で大スターになれる。

がんばれ私。



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スケベオヤジすぎた




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☟ 「砂漠街道」はこの中に収められています