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名作から駄作まで、見た映画の感想を正直に片っ端から記事にする、古い映画感想ブログです。驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「宝島(1934)」 あのヴィクター・フレミング監督版

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題名 宝島 
監督 ヴィクター・フレミング 
原作 ロバート・ルイス・スティーヴンソン『宝島』1883年
出演 ウォーレス・ビアリー、ジャッキー・クーパー
上映時間 103分
制作年 1934年
制作会社 MGM
制作国 アメリカ
ジャンル 冒険、海洋、古典、モノクロ



「うーん、さすが」と思ったヴィクター・フレミング監督作。

物語自体は『宝島』はどう足掻いても『宝島』なので、「原作にかなり忠実だな」と思ったくらいだけど、カット割りがすごく良かった。特にエスパニオーラ号が航海に出てからの船員たちの動きを追ったカット割りが最高。

マストによじ登った船員たちを映すシーンが映画半ばに多く挿入されているけど、かなり意図的に入れていると思われて凄く私の気を引いた。大成功だと思う。

私は基本的にローアングルが好きなのだけど、今回は足元みたいな低い位置からのローアングルとかだけではなく、帆船のマストの高----い所で作業しているから、自然と物凄い仰望のカットになる、それを意図的に多く挿入している、という感じ。

この航海のシーンくらいまでは、誰が監督なのかを知らずに見ていたのだけど、この航海するエスパニオーラ号のくだりになって「は!!」と思ってスタッフを見てみたら、『オズの魔法使(1939)』とか『風と共に去りぬ(1939)』のヴィクター・フレミングだったので、「才能ってやつぁ、やっぱ他のヤツたあ違うんだな」と凄く感じ入ったよね。


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****** あらすじ ******
話は普通に『宝島』。ジム・ホーキンス少年と母親が経営する「ベンボー提督亭」。母親の誕生日を村のみんなと祝っていると、そこへビリー・ボーンズ船長が現れて宿の客になる。アル中のボーンズ船長がみんなに迷惑をかけていると、医者のリブジー先生が現れてボーンズを叱ってくれる。

その後ボーンズ船長を訪ねてブラック・ドッグが現れ、続けて目が見えないピューが現れてボーンズ船長に「黒丸(ブラック・スポット)」を渡す。裏に書いてあった時間までに自分のチェストを守ろうとするが、ひっくり返って死んでしまう。ジムと母親はボーンズ船長の首からチェストの鍵を取り、宿代だけでも回収しようとチェストを開けてみる。すると中は大したものが入っていなくてガッカリしていると、時間通りにブラックドッグらが戻ってくる。二人はとりあえずチェストの中身を握って外へ逃げ、そこへ折よくリブジー先生が通りかかって二人を助けてくれる。

ジムが握っていた包みがフリント船長の宝の地図であることを知ったリブジー先生は、地主のトリローニさんに見せ、トリローニさんはジムも連れて宝探しに行くことを決意。早速準備に取り掛かる。帆船イスパニオーラ号を手に入れ、大勢の船員やスモレット船長らを雇って出奔するが、その中には片足で松葉杖のロング・ジョン・シルバーもいた。

コックとして船に乗り込んだジョン・シルバーは、少年ジムを手なずけ、宝を横取りしようと画策していた。それに気が付いたジムがトリローニさんたちに報告し、トリローニさん側とジョン・シルバー側とで対立が始まる。

先に上陸したジョン・シルバーにジムはついていき、島に置き去りにされた男ベン・ガンと出会う。宝を巡ったジョン・シルバー側とトリローニ側の対決は激化し、何人もの死者やけが人が出るが、ジムの奮闘もあり、宝を発見した一行はエスパニオーラ号に乗って帰途につく。しかし吊るし首になるのを恐れたジョン・シルバーは、宝を少し持って、エスパニオーラ号を脱出する。
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ベンボー提督亭の看板



というわけで、おおむね原作通り。1950年にディズニーが制作した『宝島』より、かなり原作通りだった。

1950年のディズニー制作版の方は、映画が始まるとすぐにブラック・ドッグが現れるという状態で、「お母さんの姿がない」という端折りっぷり。

でも今回の1934年版はお母さんが最初から出てくるし、リブジー先生がボーンズ船長に「そんなに飲んでると死ぬぞ」と警告したり、ボーンズ船長がジムに「片足の男を見つけたら、こづかいやるから教えろよ」とジムを雇ったり、きちんと原作のポイントを押さえてるな、という感じ。

とはいえ映画のお母さんのキャラクターは、女性らしく気が弱くて、チェストから勝手にお金を抜き取ることをためらうような、”善良” を強調したキャラ設定になっていて、あんまり面白味はない。原作だと、お母さんは「結構ガッチリしてて、ボーンズ船長の残したお金から宿代を ”多くも少なくもなくぴったり貰おう” と執着するところ」とかも読みどころなのに、そういう個性はなくなっていた。やっぱりね、お母さんはね、やさしくてね、あんまり気が強くっちゃダメなのかしらね。子供向けですしね。

あとボーンズ船長が死んだあと、ジムが町まで走って大人達に助けを呼びに行くけど断られて、無駄足を踏んでベンボー提督亭に引き返す、というシーンはカットされていた。こちらもやっぱり、善良なる人々が自分可愛さで身を守り、ジムを助けようとしないのはよろしくない、という判断からかしらと疑っちゃう。そのせいでリブジー先生の登場があまりにも都合が良くて格好も良すぎて、ちょっと説得力に欠けるシーンになってしまっていた。


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左端にいるのがお母さまです



登場人物の中で最も注目されるのは、やはりロング・ジョン・シルバーでしょう。海賊の中の海賊、あらゆる海賊の原点ともいえる男。

のっけから言ってしまえば、私はディズニー版のジョン・シルバーの方が好き。あっちの方がバイタリティ旺盛!! って感じで、女にモテそうだった。

こっちのジョン・シルバーは、子供の心は捕えられても、女の心を捕えられる感じでは・・・ないと思った・・・(ごめん!演じた俳優さん!!)。


演じたのはウォーレス・ビアリーという俳優さんで、彼が演ずるジョン・シルバーは、1950年版のロバート・ニュートン同様、あっちを見たりこっちを見たり、目をぎょろぎょろさせて、顔中を動かして喋っていたところは共通していた。

もちろんビアリーのジョン・シルバーの方が先なので、ニュートンは彼を参考にして役作りをしたかもしれない。

でも、ビアリーのジョン・シルバーは前半、体が重そうだなと思った。後半はそうでもなかったけど、ニュートン演ずるジョン・シルバーは最初から最後まで、片足松葉杖でガシガシガシガシ動いてたもん。すごくエネルギッシュな感じが、私のイメージに合っていた。


ただ、ニュートンの方が、顔の演技が、見方によってはワザとらしいほど目まぐるしく動かしてたから、要するにすべてが過剰なのだった。そういう観点から見るとビアリーの方がリアリティがあるのかもしれない。

みなさんはどちらのシルバーが好きですかね。


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ところで話は一件それるようだけど、最近『スーパーマン』の映画化の話が出ていて、今度はスーパーマンが黒人になるらしいと。きっとカル=エルじゃない別のスーパーマンが主役になるんだろうと思うけど、ちょっとモヤっとしたね。「え?」って。黒人の人はこんな風にヒーローになってうれしいんだろうか。おこぼれ的な感じしない? 自分でヒーローを生み出せばいいと思うけどね。

なぜこんな話をしたかと言うと、実は主役のジム・ホーキンスを演じた少年ジャッキー・クーパーは、なんと『スーパーマン・シリーズ』に出てくるデイリー・プラネット社の編集長役の人だからなのだった!!

クラーク・ケントの上司ですよ。いやー、世間は狭い。しかもタイムリー。


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44年後のジャッキー・クーパーさん 

映画『スーパーマン(1978)』より(これしかなかった。ごめん!)



それにしてもジャッキー・クーパー演ずるジム・ホーキンスくん。

なんだかお尻がおっきくて、小さなおばちゃんみたいなのよ。外国にこんなお尻のおばちゃんいるよね、という。日本だとあんまり見かけないお尻。

可愛い・・・・んだろうか。私は可愛いとは思わないんだが、こういうのを可愛いと言う人も多いかなとも思う。

そんなことよりも、このお尻のジャッキー・クーパくんがジム・ホーキンスでいいんだろうか。なんかイメージと違うような。も少し賢そうで、行動力もありそうで、キビキビしたイメージなんだが、このジムくんには肉体的にも頭脳的にも機敏そうな感じがしない。

個人的にはジム・ホーキンスも、1950年版の方がイメージだったかなあああ。


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ジム・ホーキンスとリブジー先生



でも、可愛いところもある。

ジョン・シルバーと出会ってすっかりジョンが好きになっちゃって、ジョンの方は腹に一物持ってるんだけど、そうとも知らずに「航海が終わったら僕と一緒に住もうよ。ママと二人だし、潮風が吹き抜ける場所にあるよ」なんて言って、健気で子供らしくてかわいい。

ジョン・シルバーの方も、ジムを利用することは利用しているんだけど、それでもジムを可愛いと思ってることにウソはなくて、騙したり騙されたりするシビアな関係にもかかわらず、二人の間には何やら信頼関係のようなものがしっかりとあるんだよね。

男の人たち、って感じがしていいね。見ていて気持ちがいい。

利害は利害。でも俺はお前の事好きだぜ、みたいな。困ったことがあったら飛んでくるぜ(嘘だけど)って。


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ところで最後にベン・ガンの事。

1950年版のベン・ガンが白髪の落ち武者みたいで、しかも貧相で、それ以上にベン・ガンが動くときに「びよ~~ん」とか「ぴろろ~~ん」みたいな効果音が入るのがいきなりのコミカル路線すぎてちょっと乗れなかった、と前回書いた。

今回のベン・ガンはどんな感じかな、と思ったら、今回もそんな感じだった(笑)

これはベン・ガンのお約束なのかしら(ちょっと分からない)。

こう連続して「ちょっと間抜けなベン・ガン像」というものを見ると、原作もそうだったような気がしてくる。確かに頭がいい方じゃなさそうだった。原作でもこのキャラクターはコメディ・リリーフだったのかな


・・・また今度読み直してみないといかんかなあ。


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こっちのベン・ガン




総合して考えると、1950年版の方がそれぞれのキャラが立ってたし、カラーだったのも有利に働いて、印象に残ったかな。

キャスティングは1950年版、でも途中の航海シーンの帆船の魅力、迫力は1934年版が立ってたっていう感じ。


でも原作が一番。とにかく原作は面白い。


今回はこのくらいで。ほいじゃ、また。



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ロマン




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