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名作から駄作まで、見た映画の感想を正直に片っ端から記事にする、古い映画感想ブログです。驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー(1984)」 おしい。日本人としてはもっと悪ノリして欲しかった不完全燃焼作

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題名 バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー
監督 W.D.リクター
制作 ニール・キャントン
脚本 アール・マック・ローチ
出演 ピーター・ウェラー、ジョン・リスゴー、エレン・バーキン、ジェフ・ゴールドブラム、クリストファー・ロイド、クランシー・ブラウン、ヴィンセント・スキャヴェリ
上映時間 103分
制作年 1984年
制作国 アメリカ
ジャンル SF、おバカ


引用:バカルー・バンザイ 父 日本人 母 米国人 東洋と西洋の血を持つ天性のマルチ人間 天才神経外科医だがそれに飽き足らず 放浪しつつ 武道と素粒子物理学を学び 先鋭的な科学者仲間でロック・バンドを結成 その名は ”香港騎士団” バカルー・バンザイは今回 高速ジェット・カーで次元の壁に挑む そのころ地球のはるか上空では異星人の宇宙船が実験を見守っていた(映画冒頭より)



というわけで、日本とアメリカのハーフで万能の天才ヒーローが人類を救う話であるのだが、どうやら母国の米国ではコケてしまったらしく、制作費の半分しか回収できなかったくせに、本が出て、漫画化されて、ゲームにもなるという、変にカルトな人気を獲得してしまったというみょうちきりんな映画。

私は好きよ、そういう映画。

それにちょっと日本をパロってるらしいところも興味をそそる。日本を拝借してるっぽいのにバンドの名前が ”香港騎士団” っていうあたりも、白人にありがちな勘違いなのかしらと思って興味をそそる。

私は好きよ、全然怒ったりしないもん。

ということで兼ねてから見てみたいと思っていたのが念願かなったのだけど、ストーリーがなにがなにやら、なんかよく分からなくて2回見てしまったw 2回見た結果、「こんな感じかな」というストーリーがこちら ☟


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生活美ハチマキ



****** あらすじ *******
天才医師のバカルー・バンザイはヒキタ教授らと共にジェット・カーで物体を通り抜ける実験中。音速で走る車で山の中を突き抜ける偉業を成し遂げることに成功する。山を通り抜けている間、バンザイは自分が別の次元にいることを知り、なおかつ異星人の体の一部が車に付着していることに気が付く。

そしてその中継を精神病院のTVで見ていた男リザルドがいた。バンザイが実験に成功したことを知ったリザルドは精神病院を脱走。8次元に囚われている仲間の異星人らと接触し、自分の星に帰還しようと企む。

実はその技術は1938年にヒキタ教授とリザルド博士によって開発されたものだった。50年前、次元を超える実験をしていたヒキタとリザルドだったが、功を焦ったリカルドが実験を強行。危険を察知したヒキタが阻止すると、なぜかリザルド教授は別人のように狂暴になり精神病院へ囚われてしまう。それは8次元に囚われていた第10惑星の異星人の仕業であった。

実は第10惑星では長い間ヒトラーのような独裁者ジョン・ウォーフィンに支配されていたため、1938年にオーソン・ウェルズを使って火星人が攻めてきたかのように見せかけ、その隙にウォーフィンを地球の8次元に閉じ込めたのだった。その後偶然8次元に現れたリザルドにウォーフィンが乗り移り、リザルドを使って母星に帰るチャンスを虎視眈々と狙っていたのだった。

自分が行った実験がきっかけでウォーフィンの8次元からの逃亡を手助けしてしまったことを知ったバンザイは、第10惑星人から「もしウォーフィンが第10惑星に帰るようなことがあったら、地球を滅ぼす」と脅され、地球を、ついでに第10惑星を救うため、ウォーフィンの仲間たちが隠れ蓑にしてきたヨーヨーダイン社に乗り込む。
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楽器の編成といい、なにもかもが80年代ぽい



とまあ、こんなストーリーだと思う。とはいえ、本当はもっと大勢出てくるし、人間関係も入り組んでいて無駄に分かりにくいストーリーだったので、かなりシンプルなあらすじにしてしまった。


ところでキャスティングが結構豪華。

バカルー・バンザイ役のピーター・ウェラーは言わずと知れた『ロボコップ(1987)』のロボコップであれせられるマーフィ巡査役で有名なお方だし、

リザルド博士&ジョン・ウォーフィン役のジョン・リスゴーは『ガープの世界(1982)』とか『愛と追憶の日々(1983)』とか『フットルース(1984)』とか『メンフィス・ベル(1990)』とか『クリフハンガー(1993)』とか出演作は枚挙にいとまがないし、

ジョン・ビッグブーテ役のクリストファー・ロイドは『バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985)』のドク役で一躍有名になる直前だし、

ローハイド役のクランシー・ブラウンは『ショーシャンクの空に(1994)』のハドリー役が印象深かったし、

ペニー役のエレン・バーキンは後のキャメロン・ディアス風のルックスで『シー・オブ・ラブ(1989)』とか『ジョニー・ハンサム(1989)』とか『ボーイズ・ライフ(1993)』ではレオナルド・ディカプリオのお母さん役でも知られているし、

ニュージャージー役のジェフ・ゴールドブラムはなんと言ってもハエ男を演じた『ザ・フライ(1986)』を筆頭に(超怖い映画だった)、『ジュラシック・パーク』シリーズのマルコム博士とか、『SF/ボディ・スナッチャー(1978)』とか大活躍俳優だし、

ジョン・オコナー役のヴィンセント・スキャヴェリも一度見たら忘れられないルックスの超個性派俳優で、『アマデウス(1984)』ではサリエリの従者役をしていたし、『ゴースト/ニューヨークの幻(1990)』では地下鉄に出てくるゴースト役もやっていたし、いいところでちょいちょい出てくる。

というわけで、登場人物がすごい豪華。元々豪華というよりは、『ガープの世界』で名を上げていたジョン・リスゴーと、『SF/ボディ・スナッチャー』に出ていたジェフ・ゴールドブラム以外は、この『バカルー・バンザイ』の後でガツンと出世していったという感じ。

とはいえ『バカルー・バンザイ』で有名になったわけでは、ないだろうけれど。


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ブラックすぎるジョン・リスゴー氏


この俳優陣の中で印象的だったのは、ウォーフィンに乗っ取られたリザルド役を、ジョン・リスゴーがむやみやたらと生き生きノリノリで演じているところと、

ジョン・オコナー役のヴィンセント・スキャヴェリが、異星人メイキャップをしててもヴィンセント・スキャヴェリだったのが笑えた。


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ヴィンセント・スキャベリ(右)

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異星人メーキャップのスキャベリ



だけどエレン・バーキンが演じたペニー役の設定がまるで理解できなかった。

なんかあ、バンザイの死んだ妻の生き写しという設定で出てくるんだけどお(急に文句たれになる)、実は死んだ妻とペニーは双子で、ペニーは養女に出されてしまったので自分が双子だとは全く知らなかったんだって。

ところがこの設定が物語に重要な役割を持っているわけでもないし、あとで設定が生きてくるということも、まるでない。何の伏線にもなっていない。

必要でしたかね、この設定。

別にバンザイが独身で、初めてペニーと知り合って意気投合したでも物語的には全然構わないと思う。そんなに複雑な設定にしないで、ヒロインが必要なら最初からチーム・バンザイの一員で、捜査中に異星人にさらわれちゃったとかで良かったと思うんだけど。

無意味に複雑な設定にしてしまったがために、逆に浮いた存在になってしまっていて、私なんかは設定がどうというより「この役いらなくね?」とまで思ってしまいましたわよ。


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キャメロン・ディアズぽいでしょ



でもこの映画で一番残念だったのは、日本人を揶揄して遊ぶ映画は数あれど、この映画は日本人を小馬鹿にしたいのか、リスペクトしてるのか、ちと分からないところ。せっかく日本文化をネタにした割には中途半端で不発に終わってしまってる。

映画が始まってすぐ流れる、冒頭に引用したバンザイの設定を見れば、日本人だったらワクワクすること請け合いでしょう。はちゃめちゃだし、破天荒だし、うわあ、なんだか馬鹿みたいで面白そう、って思うもん。実際私はすごく期待した。

それで映画が始まったら、ジェット・カーの運転席の機器に(昔の)テプラで「つける」って貼ってあったり(英語だと「ON」なのかな?)、バンザイがしてる鉢巻に「生活美」って下手な字で書いてあったり(元の英語はなんだろう)、バンザイの基地のひとつであるバスの中が畳敷きで、布団が置いてあって、バンザイは日本刀持って正座して土下座したり、何かと「日本」をアピールするシーンが続くから、わくわく、すごく期待した。


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つける



でも、それは最初の10分くらい?だけで、あとは全然日本かぶれな設定が出てこなくなった。なんでー。つまんないの。

バカにするならバカにする、愛するなら愛する、リスペクトならリスペクトする、たとえ「日本のことなんも分かってないなー、勘違いもはなはだしい」というような理解度であっても、それを導入からラストまで貫く、みたいな感じで徹底してほしかったナー。

最初だけというのがなー。一体バンザイのハーフ設定はどこ行っちゃったの。8次元?

私としては「日本を馬鹿にしてんのかナ?」くらいに悪ノリして、もっと徹底的にふざけてほしかった。そうすれば『バカルー・バンザイ』はバンザイ第二の故郷である日本でも、もっと知られたカルトのヒーローになれたかもしれないのに。

「もう二度とこの映画を見返すことはないのだろうな」と思いつつ、つくづく「ああ残念、もったいない」と思うのだった。

 

 

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ぱーわー

 

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