エムログ

名作から駄作まで、見た映画の感想を正直に片っ端から記事にする、古い映画感想ブログです。驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「パラダイス・キャニオン(1935)」 見どころはジョン・ウェインとヤキマ・カナットの喧嘩シーンだけ

f:id:msan1971:20210514225744j:plain



題名 パラダイス・キャニオン
監督 カール L. ピアソン
出演 ジョン・ウェイン、マリオン・バーンズ、ヤキマ・カナット
上映時間 52分
制作年 1935年
制作国 アメリカ
ジャンル 西部劇、アクション、モノクロ



まるで金太郎飴のようにありがちな西部劇映画。

たぶん、日本で言うところの「東映太秦撮影所」とか「松竹撮影所」に作られた江戸時代村で毎日時代劇が撮影されるように、それの西部劇バージョンのようなセットがあって、そこで毎日のように西部劇が量産されていたのだろうなあと思われる(たぶん)。そんな感じの映画。

いつもだいたい50分くらいの、今で言うTVドラマくらいの長さで、物語は「男前のヒーローが、悪者をやっつけて、ついでに女の子もゲットする」という話。

女の子に関しては、ヒーローは別に女をものにするために悪者を退治するわけではなく、悪者を退治する過程の中で偶然可愛い子と出会ってゲットするパターン。

あくまでも「ついで」。女がゴールではなく、正義がゴールで、あくまでも「ついで」です(☜ここ大事なんだと思う)


f:id:msan1971:20210514225947j:plain

今回のヒロインは可愛かった



****** あらすじ ******
メキシコ国境近くで偽札が大量に使用される事件が勃発。薬売りが二人、偽札所持で捕まる。そのうちの一人であるカーターが警察に協力することとなり、ジョン・ワイアットはカーターと合流して犯人を追うことになる。ジョンはカーターを探してあちこちを訪ねまわるがなかなか会えず、ようやくアリゾナとメキシコの国境間近でカーターを発見、メキシコの警察に追われる彼を救ってうまく取り入り同行することとなる。カーターには娘のリンダがいた。一行はラスベガスへ向かう。

その頃町では偽造犯のジョーが、カーター一座がやってくると報告を受けていた。自分の顔を知るカーターが来るのを阻止しようとするジョーだったが、ジョンの活躍で失敗。今度は町から追い出そうとジョンを買収しようとするが、ジョンは誘いに乗らない。

そこでジョーはカーターのワゴンに盗品を仕込み、盗みの容疑をかけてワゴンを調べるよう保安官に進言する。保安官たちがカーターのワゴンを調べると盗品が出てきてジョンたちに疑いがかかる。ジョンは一旦逃げ出し、あらためてジョーの元へ戻り政府の捜査官であることを明かす。ジョンはジョーをしこたまやっつけたあと、リンダもモノにして映画は終わる。
***********************


f:id:msan1971:20210514230024j:plain

鏡越しに撃たれるなんて絶対ごめん




薬売りというから薬を売っているのかと思いきや、酒を「人生の薬」として売っているのだった笑 ウィスキーかな? 映画内で「薬草がたくさん入っててうんたらかんたら」とカーターさんが力説していたから、養命酒みたいな位置づけで売りつけようとしている感じ。

カーターさんは悪い人ではなさそうだけど相当の飲んだくれで、自分が商品にしている ”薬” をがぶ飲みしてた。アル中あるある。確かにアル中の人からすると「命の一滴」って感じなんだろう。

それにしても、薬売り(それが酒であっても)が、ほとんど旅一座みたいな、的屋のような商売の仕方をしているところが時代を感じる。今まで特に考えてみたことはないけれども、言われてみれば「ああ、そうだったかもしれないなあ」と思った。

大道芸人みたいに、奇抜な芸で人を集めて楽しませ、ここぞというところで「さあ!」とばかりに物を売りつける、アレね。昭和も50年代くらいはそういうの結構残ってたと思う(体験談)。


f:id:msan1971:20210514230107j:plain

カーター博士の薬用養命酒




ところでこの映画を見ていて「なんか立地がよく分からない・・・」と思ったあなた、正解です。

リンダが「ラスベガスに着いたわ」って言ってる割にはメキシコとお隣な感じもしたりして、どうなってるの?と私は混乱したので調べてみた。

その結果、おそらく、たぶんなんだけれど、この映画の舞台になっているラスベガスは、私たちが頭に浮かべるラスベガスではなく、別のラスベガスなのだと思う。

たいてい思い浮かべるラスベガスはネヴァダ州のラスベガスだけど(カジノで有名)、これだとメキシコとはぜんぜん接してない。

でもニューメキシコ州にあるラスベガスだと、思い切りメキシコと国境を接している。するとストーリーと矛盾が生じない。

というわけでラスベガスと言っても、(ストーリーから推察すると)ニューメキシコ州にあるラスベガスなのだと思われるのだった。


f:id:msan1971:20210514230243j:plain

ヤキマ・カナット スタント技術の立役者



それにしても冒頭でさっそく愚痴ったように、映画として見る価値があるかと問われれば・・・コアな西部劇マニアでない限りは、無い。

きっぱり ”無い”。断言していい。

見どころとして強いて挙げれば、今回は悪役ジョーという大きな役どころで出ていたヤキマ・カナットとジョン・ウェインの喧嘩のシーンかしら。

どこかで書いたかもしれないが、このヤキマ・カナットという方は、俳優としてみれば地味だけれど、実際は俳優というよりはロデオ・スター出身のスタントマンで、映画界に多くの実績を残している。

アクション・シーンのテクニックの多くを、このヤキマ・カナットが発明したと言っていい。

たとえば、安全にスタント・シーンを撮るためにハーネスを使ったり、馬から落ちるスタントではあぶみが足に絡まらないような仕組みを考えたり、馬のお尻側から走って行って跳び箱みたいに馬に飛び乗るアクション(時々ジョン・ウェインがやっている)を考案したりしている。

それにジョン・ウェインのスタントほか、『風と共に去りぬ(1939)』ではクラーク・ゲーブルのスタントもやっているらしいし、ジョン・キャロル版の『怪傑ゾロ(1937)』ではゾロのスタントを一手に引き受けて、主演のジョン・キャロルと同じくらいの時間フィルムに映っていたらしい。

他にもあの『ベン・ハー(1959)』の戦車競走のシーンのセカンド・ユニットの監督としても参加しているという、映画界、スタント界では超人なのだった。

今作でも、ジョン・ウェインと一緒に編み出したと言われている「本当は殴ってないけど、殴っているように見えるアングル」を使った喧嘩シーンが見られる。

今となっては当たり前すぎて新鮮味はないのだけど、「この二人が考えだしたのだなあ」と思うと感慨深いものは、ある。


f:id:msan1971:20210514230318j:plain

こういうアングル



ところで主役のジョン・ウェインはこの時28歳くらいなんだけど、20代後半にしてじわじわとオッサン化の入り口に入っているように感じられるし、この「女の子に甘い」という設定を何度も何度も繰り返し見させられると、ただの「だらしない女の子大好き男」に見えてきた。

どの映画もハンコで押したみたいに「かわいこちゃん」に弱くて、すぐにニヤニヤデレデレしてしまうのですよ。こればっかり見させられて、さすがに辟易してきた。


このままでは私が「ジョン・ウェイン、おや!?  超絶格好いい男だなあ!」と感心したのは、彼が初めてクレジットされた23歳の時の主演作『ビッグ・トレイル(1930)』ただ一本ということになってしまいそう。

でもジョン・ウェインはまだスターになっていない不遇の時期だから。彼は30過ぎて大スターになるわけだし、その後はもっと脚本も予算もテーマも一流の映画に出るようになっていくはずだから、その時には若さでは出せない、お腹の出た中年の男の魅力、格好良さをきっと見せてくれるのだろう。それに期待するしかない。

とはいえ、そこに至るにはまだまだこのB級西部劇を見なければならない。

私は耐えるぞ(見なきゃいいじゃん)。


f:id:msan1971:20210514230405j:plain

あっという間に尻に惹かれるウェイン氏




☟ 「パラダイス・キャニオン」はこのBOXに入ってます




【関連記事】
☟格好いい 若きジョン・ウェインはこちら

www.mlog1971.com


☟ヤキマ・カナットはこれも

www.mlog1971.com