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名作から駄作まで、見た映画の感想を正直に片っ端から記事にする、古い映画感想ブログです。驚くほど忘れてしまうので備忘録として。

【映画】「ジャバへの順風(1953)」 見どころ多数。ライデッカー兄弟の特撮もみごとな海洋冒険映画

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題名 ジャバへの順風
監督 ジョセフ・ケイン
特撮 ハワード・ライデッカー、セオドア・ライデッカー
出演 フレッド・マクマレイ、ヴェラ・ラルストン
上映時間 87分
制作年 1953年
制作会社 リパブリック・ピクチャーズ
制作国 アメリカ
ジャンル 冒険、海、宝探し



1883年に実際に起こった、インドネシアにあるクラカタウ火山の大噴火を舞台に、大量の巨大ダイヤモンドを巡ってフレッド・マクマレイ扮する船長とジャワ人の踊り子、敵の海賊が、陸と海上で競争を繰り広げるという冒険活劇。

「帆船」というだけでもロマンたっぷり。映画の前半は『宝島』みたいに船長と乗組員の仲間割れなんかも描かれて、そこにジャワ美人が絡んで来てラブシーンもあり、後半は敵と味方の駆け引き、行きつく先は火山島の大噴火&大津波というスペクタクルな特撮が楽しめる。それらがインドネシアという異国情緒あふれるエキゾチックなロケーションで描かれるという盛り沢山な内容。


フレッド・マクマレイ演ずるボーン船長は頭が良くて男らしく、人情あふれる人格者で魅力的だったし、脇役の船員たちも生き生きしていてチャーミングだったし、恋をする前と恋をした後のヒロインのキャラ変もいい味出してた。

そしてライデッカー兄弟が手掛けた、映画後半の火山の爆発シーンと、それからの津波に翻弄される帆船という特撮シーンは必見。

「おや」と思って思わず身を乗り出して画面に釘づけになったよ。1953年ですよ。かなり良かった。


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****** あらすじ ******
1883年、東インド諸島ジャワのクラカタウ島では、島の大半が吹き飛ぶ大噴火とそれに伴う津波で5万人近くの命が失われた。

その3週間ほど前、ボール船長が指揮を執る帆船ゲリマンダー号は、海賊プーロ・べサールに襲われていた。ベサールを退けたボールは進路をジャワ島北部のスラバヤへ取る。そこでボールはピーテルスゾーンの財宝への手がかりであるダイヤの指輪とジャワの踊り子キム・キムを手に入れる。

ダイヤのことしか頭にないボールにキム・キムは腹を立てるが、会話を重ねるごとにお互い惹かれあうようになる。キム・キムは父が殺され母は行方知らずなこと、金持ちや国王の踊り子を経て奴隷に落ちたことを告白。ボールは幼い頃に船員になり過酷な日々を過ごしてきたこと、ようやく船長になったが雇われ船長に過ぎないから、いつか自分の船を持つのが夢だと話す。

ボールはキム・キムの話から宝のありかをスンダ海峡に当たりをつける。しかし待ち受けていたのは同じくダイヤを狙うべサールだった。

ボールら一行はベサールに囚われてしまう。ベサールはまるで王族のような暮らしをしていた。拷問にかけられても口を割らなかったキム・キムも、ボールを人質に取られダイヤのありかを喋ってしまう。

キム・キムを連れ一足先にダイヤの島へ向かったベサールを、船を奪い返したボール船長らが追いかける。ベサールの元から逃げてきた仲間の情報で、ダイヤが眠るのはクラカタウ島であることを突き止めたボールは、ベサールより先に島へ着こうと競い合う。

いよいよ噴火が始まった。ボールはダイヤよりもキム・キムの命を優先し助かるが、ダイヤを優先したベサールは命を落とす。島を脱出するゲリマンダー号を今度は津波が襲う。それも乗り越えたボールはキム・キムと結婚を宣言し、大団円となる。
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火山の上にダイヤという、なんかすごいデザインなのよ



「勘違いするな 私は船長だ。船の上では仕事に徹する。船を降りれば別だ」

ボール船長がキム・キムに迫られて言うセリフ



主役のボール船長の男前なことと言ったら!

粗野すぎず、乱暴すぎず、かといって優男ではなく女を甘やかしたりおだてたりすることもない。女に媚びず言うなりになったりはしないけど、決して鈍感なのではなくデリカシーもある。

ちゃんと女心を分かっているのにその感じをすぐには出さず、ちょっと後出ししてくるところがいい。ちょっとしたツンデレ。

船長としても申し分ない。大砲の狙いは確かで、喧嘩も強い。何をやっても船員たちより上を行ってる。船乗りとして、船長としての美学があってとても真面目な男だけど、ルールやモラルで船員たちを縛り付けすぎることもなく、泥酔してキム・キムを襲った船員を最後は許す度量がある。寛大。

上司がこれなら文句のつけようがないんじゃないですかね。上司としても男としても完璧。


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演じたフレッド・マクマレイって、別に男前タイプじゃないと思うんですよ。見た目は普通のオジサンだと思う。だけど私が見た限りでは、いっつも男前を演じてる。

私は最近までマクマレイを全く知らなかったのに、当ブログで取り上げるのはこれが3回目。『アパートの鍵貸します(1960)』と『うっかり博士の大発明 フラバァ(1961)』の2本。それに記事にはしていないけど、『ケイン号の叛乱(1954)』も見てる(←これ大傑作)。いつのまにか彼の映画をそこそこ見てた。

するとどの作品でも結構二枚目を演じているのだよ。

『ケイン号の叛乱』は女が出てくるような映画ではないので、二枚目かどうかとかそういう役ではないけれど、

『フラバー』の博士役は典型的な「博士バカ」というか「研究バカ」なキャラクターで決して二枚目役ではないのだけど、美人の奥さんをゲットして、彼女に未練たらたらのライバルがいまだに彼女を狙ってる。そんなモテモテ美人の奥さんにちゃんと理解されて愛されている役柄だった。大学か何かのパーティで踊る場面なんか、十分二枚目っていう感じだった。

『アパートの鍵貸します(1960)』の部長役なんて、男前とか二枚目とかを通り越してクズだったもん。奥さんがいるのに、会社の女の子たちに次々と手を出して、ポイって捨てる部長の役。愛人へのクリスマス・プレゼントを現金で済ませようとするような男。でも結局女の子たちにはモテてるわけだし、すごくモテるからこそクズにもなれるってな感じで、結局モテてた(とほほ)。

別にハンサムではないのに二枚目を演じてちゃんと二枚目に見えてくるのは、二枚目の様式を身に着けているからなんだろうな。顔ではなくて行動が二枚目というやつ。


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ヒロインの方はどうかというと、このキム・キムというジャワ美人を演じた女優はヴェラ・ラルストンという方で、チェコスロバキア出身で、全然アジア系でもないのだった(昔の映画あるある)。

肌の色はお化粧なのね。

元々フィギュアスケートの選手で、ヨーロッパ選手権で7位になるなど結構強かったらしい。それでヒトラーに会って話しかけられたこともあるんだとか。その後アメリカに渡ってから女優になった。ジョン・ウェインといくつか共演しているみたいだけど、私はどれも見ていない。


このキム・キムの良かったところは、最初は結構荒ぶっていてギラギラした印象だったのが、ボーン船長といい雰囲気になっていくと結構しおらしくなっちゃって、控えめかつ従順といった風情に変わっていくところ。

生い立ちが過酷な上に、奴隷としてお金で売買されて男(ボール船長ね)に買われたあげく箱に詰められ、出してもらったら帆船の上。自分を買った男にすぐに懐く気分になんてなるわけないから、最初反抗的なのは妥当なところ。

おまけに自分は美人でセクシーで、それも王様が見初めるレベルだっていうのに、ボールは自分の事よりダイヤモンドのことばっかり聞いてくるのが面白くない。ちょっと科をつくって気に入られようとしてみても、簡単には関心を引けそうにないのも面白くない。

だからわざと困らせようと反抗的な態度も取ってみたりして。


でも途中から本格的にボール船長にホレちゃうんだけど、やっぱりあれかなあ。

殴られたからかな (;´д`)

それも拳骨で(拳骨に見えた)。

その上髪を掴まれて部屋まで引きずっていかれるという荒っぽい扱いを受けてたけど、あれが良かったんかな。

悪いことをした自分を本気で怒ってくれた。そういう「私のための本気」というのは恋に発展する可能性が高いとは思うね。


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や、やっぱり拳骨ですよね (;´Д`)ヒャー



その後ボールに対してはしおらしく忠実&従順、健気な乙女心全開! っていう感じになっていくけど、敵のベサールへの食ってかかり方なんて女豹ですよ。かなりワイルド。

落差が結構あってラストシーンの結婚する場面では、映画を通して一番の淑やかな美しさで、彼女はなかなかの華を添えていたのだった。ギャップ萌えっていう感じ。


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神父役も自分で務めるスタイル



そして忘れてはならないのが、後半を占める噴火&津波の特撮シーン。担当したのはハワード・ライデッカー、セオドア・ライデッカーの兄弟コンビ。彼らはミニチュア撮影のプロフェッショナルで、当時としては最高水準にあったらしい。

撮影場所はカリフォルニアで、インドネシアにはぜんぜん行っていない。でもカリフォルニアのモノ湖にミニチュアの火山を作って撮影し、そのセットは2014年まで残されていたのだとか。

モノ湖の端に火山島のモデルを作り、8メートルの大きさのゲリマンダー号と海賊べサールの大三角帆船を浮かべて撮影したらしい。火山の噴煙はセメントの袋をぶちまけ、津波のシーンはカリフォルニアでミニチュア模型を使って撮影されたとのこと。

彼らの手法は、ミニチュアと言ってもとにかく大きくて精工な模型を作って、それを自然光で撮影するのが特徴で、強めの遠近法を使って登場人物と模型の撮影することで位置関係を増幅し、実際以上に巨大に見せたらしい(すべてWikipediaによる)。


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実際、火山のシーンも津波のシーンもかなりリアルで迫力があって、私はとても感心した。

どちらも「当然ミニチュア模型だろう」とは思ったけれど、それでも火山流とか噴煙とか(流れてくる溶岩がちと速い・・・ような気はしたが)大爆発を起こしているようには見えた。

そして特に感心したのが津波の場面。帆船で大津波を乗り越えるシーンは模型特有の ”軽さ” ”ちゃちさ” を感じなかった。ちゃんと重心がしっかりあって、海を、波を ”帆船が押さえ込んで乗り越えていく感じ” があった。リアル。

過去にYoutubeで、船が沖に向かって津波を乗り越えていく映像を見たことがあったのだが、リアルと比べても劣らないと思った。


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そんな彼らは『宇宙家族ロビンソン』や『原子力潜水艦』などアーウィン・アレンの映画にも携わっているらしいから、もしかすると他の映画でもお目にかかっていたのかも(いないかも)。

CG映画好きとは言えない私にとって、こういう「古き良き特撮映画」というものは、それだけでも見ていて嬉しくなるのであった。

おしまい。



クラカタウ島 Wiki まさにここが舞台

ja.wikipedia.org



モノ湖 Wiki

ja.wikipedia.org

 

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ほんとそれ



☟『ジャバへの順風』はこのBOXセットに入っています 

 

 

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