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1999年までの映画しか取り上げないブログ

【映画】「ジェリー・ルイスの底抜け大学教授(1963)」 自分を愛そう! ほんとそう。


おすすめ度 ★★★

題名 ジェリー・ルイスの底抜け大学教授(The Nutty Professor)
監督 ジェリー・ルイス
脚本 ジェリー・ルイス
出演 ジェリー・ルイス、ステラ・スティーヴンス
上映時間 107分
制作年 1963年
制作国 アメリカ

ジャンル コメディ
 
 
引用:「自分を愛そう 長く付き合うんだから 自分で自分を嫌っていては人生は悲惨だよ」 ジェリー・ルイス
 
このセリフに泣けた。
 
 
 

あらすじ

科学が専門の大学教授ケルプは生徒からも同僚からもいつも馬鹿にされている、全くイケてない冴えない男。でも自分の生徒の女学生ステラだけはなぜか優しくしてくれる。ある時研究室で実験していると、偶然自分がイケメンのモテ男に変身する薬を発明する。薬を飲んだケルプは最高にいかした男”バディ・ラブ”に変身し、優しいステラを口説き始めるが効果はわずかしか続かない・・・
 
 

 

映画の解説

この映画を簡単に一言で言えば、かの有名なロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説『ジキル博士とハイド氏』の翻案です。

『ジキル博士とハイド氏』は、本当は堕落的な性格なのにそれをひた隠して真面目に生きてきたジキルが、人格をふたつに分ける事ができる薬を発明し、ハイドに変身して堕落を貪り、素知らぬ顔で元のジキルに戻って世間にいい顔をしていたら、だんだん元に戻りにくくなって最後はハイドに自分を乗っ取られてしまうという、自分が自分に復讐されるという至って深刻な恐怖すら覚える文学的SF作品ですが、

こっちの映画の方はブサイクでどん臭くて全くモテない ”表の自分” と、イケメンで万能でモテモテの ”理想としての裏の自分” を行ったり来たり。「やばい!元に戻りそう!」と慌ててドタバタすることになってジャンルはコメディ作品となります。

1996年にはエディ・マーフィー主演で『ナッティ・プロフェッサー クランプ教授の場合』という題名でリメイクもされているので、そちらを見た方の方が多いでしょう。巨大デブのエディ・マーフィーが薬を飲むとイケメンになるという、あれの元映画です。

エディ・マーフィー版を見るか、このジェリー・ルイス版を見るか。

私は『ジキル博士とハイド氏』を読め!と答えますw
 
 

やりたい放題、大活躍のジェリー・ルイス

クレジットを見てもらえば分かるのですが、もうジェリー・ルイスが何もかも自分でやっています。ジーン・ケリーなんかもそうですけど、昔の芸人系スターはそういう人が多いですよね。
 
👇 ジェリー・ルイス

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By According to Bonhams, the reverse side was stamped with "Paramount Photo by Bud Fraker". According to mptvimages.com, Fraker was born in 1916, died in 2002, and worked as Director of Still Photography at Columbia and later Paramount. - Scan via Bonhams. Retouched by uploader to remove Lewis's autograph, remove minor damage, convert to black and white rather than faded orange, and other minor changes., Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=92664882



映画での設定だけでなく、結構イケメンですよね。いや、そりゃあこの時代の二枚目スターは他に沢山いるわけで、そういった本職の二枚目たちと比べたら「ちょっと庶民的かしら」って思うけど、でも充分二枚目ですよ。

今作ではその二枚目ぶりを存分に発揮しまくります。

お薬の力でバディ・ラブになった途端、歌うわ踊るわピアノは引くわ、格好よく咥え煙草で運転するわ、喧嘩も強いわ、いい男感丸出しで鼻につくほどw なんなら嫌な奴まである。

でも、映画だと「悪くて嫌な男。でもそこが魅力的なのよ~♡」って女の子たちがなる設定。

でも本来の姿であるケルプ教授は、背も低くて、姿勢が悪いし、眼鏡はずり落ちてるし、髪の毛は寝癖だし、出っ歯だし、ペロペロ舌出して唇なめる癖があるし、滑舌は悪いし、どもりだし・・・ということで二枚目とは程遠くて落差が激しい。

みなさんは・・・どっちかと問われればどちらを選びますか? 強いて、強いてですよ。どーしてもどちらか一方を選ばなくちゃいけないとなった場合です。

私は一人で生きていきます。

 

「底抜けシリーズ」について

ジェリー・ルイスの出演作を調べると、とにかく「底抜けなんとか」「底抜けなんちゃら」ばっかりで、どんだけ「底抜け」なんだよと思うと思います。でも、これは日本人が勝手に「底抜け」という題名をつけているだけで、本当は底抜けでもなんでもありませんw

ジェリー・ルイスはディーン・マーティンとコンビを組んで活躍していたのですが、ただ単に「ルイスとマーティン」みたいな感じで、特にコンビ名はありません。なのにそれも勝手に「底抜けコンビ」とか付けちゃって、その上ふたりが出ている映画を「底抜けなんとか」「底抜けなんちゃら」と勝手に底抜けシリーズにしてしまいました。

どの「底抜け映画」も、原題を見るとフツーの題名がついているだけでシリーズではないし、今作なんてディーン・マーティンなんて出てすらいないんですよ。なのに勝手に『底抜け大学教授』。

べつに私は文句を言っているわけではありません。「牧歌的だな」って思うくらいです。


私はこの「底抜け」たちの中では、『底抜け艦隊(1952)』だけを見ています。

なぜ見たかというと、10代のころの私の一番のアイドルがジェームズ・ディーンで、ディーンはこの『底抜け艦隊』の端役でデビューしているからです。ボクシングのシーンで、セコンド役でちらっと出て、それでおしまいです。私はこの一瞬映るジェームズ・ディーン見たさに映画を観たので、話とかは全く覚えていませんw

他の底抜けシリーズの中で、題名だけで判断して見てみたいような気がするのは、『底抜け慰問屋行ったり来たり(1958)』かなあ。なんなんですかね、この題名。あとは『底抜けもててもてて(196)』かな。

ジェリー・ルイスは他の作品で見たいのがあるので、こっちはお金が余って余って仕方がないような身分になれた時か(絶対に来ないけど)、Prime Video で只で取り扱われたら見てみると思います。

 

 

日本のコメディアンへの影響について。特に田代まさし。

相当あるでしょうね。

私はお笑い好きではないのでそれほど詳しくないのですが、でも80年代にはもうフツーに生きていた経験から言って、このジェリー・ルイスを見れば加藤茶や志村けんなどが影響を受けていることは一目瞭然です。明らか。ドリフは間違いなく影響を受けてる。

じゃあクレイジー・キャッツを見ていてジェリー・ルイスを感じるかというと、私はあまり感じない。

たぶんクレイジー・キャッツはジェリー・ルイスと同時代のコメディアンだからで、ドリフはジェリー・ルイス後のコメディアンだからだと思われます。

中でも私がジェリー・ルイスを見ると一番最初に思い浮かべるのは加藤茶なのですが、実はもう一人いて、それが田代まさしなのでした。

というのも、80年代の後半くらいに田代まさしが主演した深夜ドラマがあって、私は大変楽しみに見ていたのですが、それがこの『底抜け大学教授』のリメイクとも言うべき作品なのでした。

当時はもちろん知らずに見ていたのですが、ブ男の田代まさしが、確か香水(コロン)だったと思うのですが、それをシュシュと吹き付けると俄然都会的な洒落た男に変身して、意中の彼女といい感じになるんだけど時間切れでブ男に戻っちゃう、という展開で、ヒロインは可愛かずみなのでした。

田代まさしがはまり役だったのと、そのアイディアが面白くてすごく印象に残っている。

なのに題名は失念してしまいました。「H and 1/2」か「H' FOR MEN H'END 24」のどちらかだと思うけど自信ない。

この頃の田代まさしって都会っ子って感じで、洒落てて格好良かったんですよ。今や残念なことになってしまいましたが、イケてたことも事実なのでそれはちゃんと認めてあげたいと思います。

 

👇 ラッツ&スターの「ランナウェイ」「街角トワイライト」
田代まさしは左から二番目、歌っている鈴木雅之の左側です。リズム感とか、なにかこう他のメンバーとは頭ひとつ抜けた格好良さがあるんですよね。とはいえ鈴木雅之の格好良さも際立ってますけど。

www.youtube.com

 

 

映画の感想

冴えないダメ男の演技が現代だと批判されそうw

👇 これだもん

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だけど、思いがけずラストの告白に感動させられて涙。冒頭に引用したセリフがぐっときました。

なので見終わった後味は悪くないのです。



👇 DVDでどうぞ