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【映画】「バワリイ(1933)」 男の友情が気持ちいい、人情コメディ映画の佳作。

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By http://i8.photobucket.com/albums/a44/moxievision/bowery.jpg, Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=21141236


おすすめ度 ★★★★

題名 バワリイ(The Bowery)
監督 ラオール・ウォルシュ
制作 ダリル・F・ザナック
出演 ウォーレス・ビアリー、ジョージ・ラフト、ジャッキー・クーパー、フェイ・レイ
上映時間 92分
制作年 1933年
制作国 アメリカ
ジャンル ドラマ、コメディ、友情、人情、モノクロ



ウォーレス・ビアリーとジャッキー・クーパーくんのコンビ作としては『宝島(1934』『チャンプ(1931)』ときて、この『バワリイ(1933)』が3本目の視聴(見た順)。二人のコンビ作はこれで3作品見たけどハズレなし。このコンビの『チャンプ』同様、今回も実に微笑ましい限りでファンとしては大満足。

とはいえ今作は二人が主役ではなくて、ビアリーとジョージ・ラフトの男の友情物語。そしてやっぱりビアリーとクーパーくんの友情物語でもあるという、二組の男の友情物語なのだ。

これがとても気持ちいい友情映画だったので、自信持ってお勧めしたい。

 

 

 

簡単なあらすじ

1930年代のアメリカ、マンハッタンにある下町バワリイで、町の有力者の座を巡って争い合う二人の男の物語。

ウォーレス・ビアリー演ずるチャック・コナースは地区一帯を取り仕切る下町の顔役。ジョージ・ラフト演ずるのはコナースにライバル心むき出しの男スティーヴ・ブロディ。二人はいつもいがみ合っては喧嘩ばかり。どっちの方が喧嘩が強いだの、火事が起きれば先に消すのはどっちだの、女をめぐって奪い合ったり、俺の方が上だ、いーや俺だと、それでお金を賭けたりして、とにかく競ってばかりいる。

そんなコナースに懐いているのがジャッキー・クーパー演ずる少年スワイプス。スワイプスは孤児の男の子で、コナースに拾われて面倒をみてもらっているから当然コナースの応援団だ。

ある日コナースは宿無しのルーシイと出会う。彼女に同情したコナースは自宅へ泊めてやり、翌朝ルーシイが用意した朝食にすっかり感動して惚れてしまう。そして行くあてのないルーシイを家政婦として雇うのだが、スワイプスはやきもちを焼いて「女なんか連れ込むなんて。必要ないやい」とへそを曲げ、大ゲンカの末出て行ってしまう。

一方、ルーシイの存在を知ったブロディは、最初はコナースへのライバル心からルーシイにちょっかいをかけるが、すぐに本気で彼女に惚れてしまう。しかもルーシイも伊達男のブロディに惚れてしまい、二人はすぐに相思相愛の仲になる。ブロディは「絶対にコナーズよりも大きな店を持って、コナースなんかよりも大物になる」とルーシイに誓う。そんなこととは知らないコナースは相変わらず仲間と遊んでいた。

そんな折ビール会社のオーナーが自社ビールの宣伝のため「なにか目立ったアイディアはないか、成功すれば支援する」とブロディに持掛けてくる。そこでブロディは「コナースを追い抜くチャンス」とばかり、ブルックリン橋から飛び降りるスタントをすると請負う。絶対に生きて戻れないと踏んだコナースは、ブロディが死ぬ方に自分の店を賭ける。ところがブロディには一計があり、うまくすり替えた人形を川に落とす計画を練っていた。

当日ブロディの計画は失敗し、本当に自分が飛び込む羽目になるがスタント自体は大成功。一躍町の名士になり、コナースの店も手に入れる。店を失ったコナースはみるみる落ちぶれ一文無しになり、折しも勃発した米西戦争に志願する。

一方、ブロディとルーシイは結婚して意気揚々だったが、ほどなく準備していた人形がコナースにばれて信用を無くし、二人は決闘することになる。

 

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By United Artists - eBaycard, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=32959324

 

登場人物たちのこと

実にカラッとした気持ちのいい映画で、最後はほろりと泣けた。イイ映画ダナー。「男の友情」とかいうと、「け、しゃらくさい。そんな簡単に騙されないぞ」とか思っちゃう私でも、この作品は好きだった。

なにが良かったって、3人の男たち(コナース、ブロディ、少年スワイプス)が揃いも揃ってチャーミング。3人とも好きになれたところが大きい。

 

ウォーレス・ビアリー演ずるチャック・コナース

👇ウォーレス・ビアリー

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By MGM studio photographer - eBay, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=19887421

 

まずウォーレス・ビアリー演ずるチャック・コナースは、ちょっと乱暴なとこあるけど、人情味あふれる情に厚い男。


少年スワイプスやルーシイ、ブロディとのやり取りなどを見ると、本当に面倒見のいい親分肌。孤児のスワイプスを拾って面倒見て、ついでにスワイプスが拾ってくる猫まで何匹も面倒見る羽目になってる笑 

眠るスワイプスの掛布団をかけ直してあげたり、ベッドに上り込んでいる猫をそっとつまんでどかしたり、とても愛おしいものを大切に扱っているっていう感じが伝わってきて、ほんと心温まる。

手下たちに「ほら50ドルやるぞ」なんて言ってちょくちょくお金をあげたりもしてて、もちろん「俺の方につけよ」っていうことなんだろうけど、そういう計算高さは全然感じさせない。最高にあったかいけど、でも女の子にはモテそうにないという役どころ。
 
 
 
ジャッキー・クーパーくん演ずる少年スワイプス
👇ジャッキー・クーパーくん

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By Trailer screenshot - Broadway to Hollywood trailer, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3489243
 
 
ジャッキー・クーパーくん演ずる少年スワイプスも「男の子というものはかくありたいね」という、理想的な男の子。

ちょっとやんちゃだけど根は優しくて寂しがり屋で、でも「僕も男だもんね」みたいな背伸びしたとこも可愛いし、大の大人のコナースやブロディのことを心底「友達!親友だろ!」って思ってる感じがいい。

コナースは「男だけの世界で仲良く楽しくやろうぜ!」って言ってたのに、ルーシイなんて女を連れ込んじゃって面倒なだけじゃんか、なんてすねてコナースの邪魔をしている一連のシーンは必見。いい顔するの。

クーパーくんは私が今まで見た子役の中では群を抜いた名子役だと思う。私が見たクーパーくん映画を好きな順に並べると、『チャンプ』『バワリイ』『宝島』の順で完璧な男の子だった。
 
 
ジョージ・ラフト演ずるブロディ
👇ジョージ・ラフト

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By Trailer screenshot - Invisible Stripes trailer, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3559443
 
 
ライバルのブロディを演じたのはジョージ・ラフト。私は彼を初めて見たと思ったけど、『八十日間世界一周(1956)』とか『007 カジノ・ロワイヤル』に出ていたらしい。私は彼を知らなかったし、この2作の特徴を考えるとおそらくかなりのチョイ役だと思われるので印象に残らなかったんだろう。でも今回いい役だったからしっかり覚えた。

コナースと比較すると意気でダンディ、そしてモテそう。コナースもダンディにしてるんだけど、どうしてもセンスではブロディが勝ってしまう。こればかりは仕方ない。

このジョージ・ラフトの粋なセンスは、もともとダンスが踊れてブロードウェイにも出ていたというエンターテナー気質にあると思う。

特にいいシーンは、あーんなにライバル心むき出しでコナースに食って掛かってばっかりいるブロディなのに、ブロディに加勢しようと「いい話がありますぜ」と毒薬をすすめてきた男に、「これを飲めば死ぬんだな」「そうでガス、げへへ」で、ボカッ!!ってぶん殴っていたところ。好き。

ルーシイを口説く最初のシーンでは、ちょっと乱暴に口説いた上にひっぱたき、私なんぞには意味不明な理屈でルーシイをなだめ、これまた意味不明な理屈で口説き落とし、ルーシイはルーシイで私なぞには分からん理屈で惚れてしまうという「男と女は謎だねえ」みたいなシーンになってて良かった。理屈じゃないのよね、わかるわかる(ウソつけ)。
 
 

感想と簡単な解説

「火事だ!」でみんなで店ほったらかしテンションMAXで駆け付けるあたり、そして到着すれば到着したで今度は火事をほったらかして喧嘩してるあたり、まるで江戸っ子みたい。そして実に楽しそうw 下町の男たちはどこの国でも火事と喧嘩が好きなんでしょうか。建物の中の中国人は完全に放置されてたけど、ま、喧嘩だもん仕方ないよねw


監督のラオール・ウォルシュは、いわば地元監督とでも言うか、ずっとバワリイに関する映画を監督していた監督らしく、今作も実際バワリイでロケをしているらしい。

実際、前半の建物関連はセットなのだろうけれど、ビーチでのデート・シーンとか、ブロディがブルックリン橋から飛び降りるだの人形を投げ込むだの、とやってる場面は完全にロケ。開放感があっていいロケーションで、白黒映画なのに青空が広がっているような、夏の日差しが感じられる明るく強い画面になっていてよかった。


映画の最後はちょうど「米西戦争」が始まる時期。メディアのねつ造記事に煽られて世論が盛り上がり、それーっと戦争してしまったアメリカ。この映画は社会派とかじゃないので詳細に語られるわけではないけれど、もしかするとこの盛り上がり方は大袈裟ではないのかも。

二人はまるで何かのスポーツに参加するかのように、「二人でいっちょやったるぜ。俺たち二人ならやれる」と意気投合して、実にポジティブに胸を張って、誇らしげにキューバまで戦争しにいくのだ。これぞアメリカンだわ。



話は変わるけど、相変わらず可愛くて芝居がうまいクーパー君。でもお尻が・・・。

だから「おや!もしや『宝島』の前の作品では」と思って調べたら、やっぱり前年の作品だったw 『宝島』ではもっと太って「お尻ちゃん」みたいになっていたけど、その兆候がすでにありありと。
 

今回は許容範囲内でさほど気にならないレベルだったけど、「ははあ、このあとああなるのか、ほほう」と思って感慨深かった。


ウォーレス・ビアリーとジャッキー・クーパーくんのコンビ作は実際にはもう一本あって、1935年に製作されたリチャード・ボレスワフスキー監督の『O'Shaughnessy's Boy』という映画でもコンビを組んでいる様子。サーカスが舞台で、ビアリーが片腕のライオン調教師で、クーパーくんとは親子役だった様子だけれど、残念ながらDVD等にはなっていなさそう。なので二人のコンビ作はこの3本で打ち止め。




👇 DVDはこのBOXに入っています。

 

 

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