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【映画まとめ】「ケープ・フィアー(1991)」 と、そのオリジナル版「恐怖の岬(1962)」の両方を見た




マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デニーロ主演映画でも有名な作品『ケープ・フィアー(1991)』を今回初めて見て、さらにそのオリジナルである『恐怖の岬(1962)』の方も見たので覚書程度の雑感をまとめておこうと思います。

紹介するにあたってどっちを先にするかに関してちょっと考えましたが、これといった決め手がなかったので「制作順」にしました。

 

 

 

 

オリジナル版『恐怖の岬(1962)』★★


おすすめ度 ★★

題名 恐怖の岬(Cape Fear) 
監督 J・リー・トンプソン
出演 グレゴリー・ペック、ロバート・ミッチャム、ポリー・バーゲン、ロリ・マーティン、マーティン・バルサム
上映時間 105分
制作年 1962年
制作国 アメリカ
ジャンル スリラー、サスペンス、モノクロ

 

あらすじ

弁護士サムは妻娘と共に幸せに暮らす弁護士一家。サムは過去に少女暴行現場に遭遇。犯行を未然に食い止め、第一発見者として法廷で証言をした経験があった。そんな事件も忘れた頃、その時の犯人マックスが出所してくる。彼は自分が刑をくらったのはサムの証言のせいであると逆恨みしており、執拗にサムをつけ狙って追い詰めはじめる。命の危険を感じ、これは自分への復讐なのだと悟ったサムは、自分や家族を守るために様々な手段をとり、マックスと対峙するはめになる。

 

登場人物

サム・ボーデン(グレゴリー・ペック)・・・正義にあふれた優等生的な弁護士。

マックス・ケイディ(ロバート・ミッチャム)・・・レイプ犯で8年間服役していた。暴力性が強く、サムを逆恨みして執拗に追い詰めていく。知能犯の側面もあり、罪に問いにくい絶妙な嫌がらせを行う(サム宅の敷地の境界線上である塀の上に座っている、飼っている犬を殺すなど)。

ペギー・ボーデン(ポリー・バーゲン)・・・サムの妻。良妻賢母。

ナンシー・ボーデン(ロリ・マーティン)・・・サムの娘。14歳。いい子。

チャーリー・シーヴァーズ(テリー・サバラス)・・・サムが雇った私立探偵。

 

概要

『ケープ・フィアー(1991)』のオリジナル作品。女をレイプして服役していた男マックスは事件の第一発見者である弁護士サムを逆恨みし、出所後執拗に着け狙って復讐を遂げようとする、というスリラー。どちらも題名は同じ『ケープ・フィアー』なのだけれど、日本でのオリジナル公開時は『恐怖の岬』という直訳な題名で公開されている。

一見したところ、こちらのオリジナルの方はリメイク版と比較するとマックスのイカレっぷりが控えめなので、サイコ映画ではなくあくまでもスリラーだと思う。そしてまあまあの出来かと。


印象に残るのはマックス役をやったロバート・ミッチャムの個性。どろんとした眠たそうな生気のない目つきにマッチョな肉体が特徴的で、今回はそれが存分に生かされて、冷徹かつ不気味な雰囲気を醸し出していた。

私は今まで彼の作品を見たことがないと思う。かなり個性的な顔なので一度観たら忘れないと思うし、作品リストを確認してみたところ、間違いなく今回が初見(「ケープ・フィアー(1991)」を抜かして)。

あの目つきは・・・ちょっと格好いいかもしれん。これから注目してみよう。

👇 『恐怖の岬』のロバート・ミッチャム

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Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=1757924



もう一人の主役、グレゴリー・ペックは定番の優等生ぶり。なんかもう、いっつも優等生過ぎてつまらんのお。二枚目で優等生。つまらん。本人もつまらなかったのではないだろうか。彼にとってちょっと面白い役が回ってくる『オーメン(1976)』はまだまだ先のこと。

 

 

リメイク版『ケープ・フィアー(1991)』★★

 

おすすめ度 ★★

題名 ケープ・フィアー(Cape Fear) 
監督 マーティン・スコセッシ
出演 ロバート・デ・ニーロ、ニック・ノルティ、ジェシカ・ラング、ジュリエット・ルイス
上映時間 127分
制作年 1991年
制作国 アメリカ
ジャンル サイコ、スリラー、コメディ

 

あらすじ

16歳の少女をレイプして暴行した主人公マックス(デ・ニーロ)は、自分を担当した弁護士サム・ボーデン(ニック・ノルティ)が、その少女がひと月に男を三人もとっかえひっかえするようなアバズレだったことを隠して弁護していたと刑務所で知り、そのせいで自分は14年も服役する羽目になったと逆恨みして、出所後サムへの復讐に乗り出す。サムとその妻、娘を巻き込み、徹底的にサムを追い詰めていく、その復讐を描く。

 

登場人物

マックス・ケイディ(ロバート・デ・ニーロ)・・・常に葉巻をくわえ、体中に入れ墨をしたサイコ野郎。16歳の少女をレイプし暴行した罪で服役していたが、有罪になったのはサムのせいだと逆恨みしている。字が読めなかったにも関わらず、サムへの復讐に燃えるあまり、服役中に読み書きを覚えて法律からニーチェまで読みこなし、ムキムキマッチョに鍛え上げ、「さあ復讐の時だ」とやる気満々で娑婆に出てくる。ムショでは大勢の囚人に犯されていたらしい。

サム・ボーデン(ニック・ノルティ)・・・14年前マックスの弁護を嫌々引き受け、被害者の少女が男好きのアバズレだったことを隠して弁護を続け、マックスを有罪に追い込んだ過去がある。女好きでたびたび浮気をしており、当然妻とはうまく行っていない。15歳という難しい年齢の娘もいる。

リー・ボーデン(ジェシカ・ラング)・・・デザイナーで美人だが、夫のサムとの間は冷え切っている。犬を可愛がっている。

ダニエル・ボーデン(ジュリエット・ルイス)・・・歯の矯正器具をつけた15歳の女子高生。読書家で頭もいいが、両親の不仲で気持ちが荒んで反抗的になっている。両親を困らせる為か、問題行動を起こすことがある。途中でマックスの餌食になりそうになる。

クロード・カーセク(ジョー・ドン・ベイカー)・・・サムが雇った私立探偵。

 

概要

モノクロ映画『恐怖の岬(1962)』のリメイク作品。

監督がマーティン・スコセッシ、主演がロバート・デニーロときて、サイコ野郎を描いた作品となれば期待値もあがるというもの。実際当時も大きく話題になっていたし、ヒットもしていたと記憶している。

この二人のコンビは『ミーン・ストリート(1973)』『タクシードライバー(1976)』『ニューヨーク・ニューヨーク(1977)』、『レイジング・ブル(1980)』、『キング・オブ・コメディ(1983)』、『グッドフェローズ(1990)』ときて今回の『ケープ・フィアー(1991)』を経て、『カジノ(1995)』、『アイリッシュマン(2019)』と続き、実に9作品に上る。お互いの相性の良さと信頼の厚さがうかがえる。

私は決してスコセッシ好きではないし、デ・ニーロ好きでもないけれど、今回の作品は二人とも相当気合いが入っていて割と楽しめた(なのに★2つなのは後述します)。


オリジナルで出演していた俳優が別の役で出ているのも特徴で、前作で主役のマックスを演じたロバート・ミッチャムが本作では弁護士サムの友人の警部役で登場しているし、前作で弁護士サムを演じたグレゴリー・ペックが今回はマックスを弁護する弁護士リー・ヘラーを演じている。

前作ファンであれば懐かしくも嬉しい配役。スコセッシのオリジナルへのリスペクトということなんだろう。

 

 

両方を見ての比較

オリジナルだと弁護士サムはマックスの被害者の第一発見者で、リメイクだとマックスの弁護士だったなど、そういう細かい違いはあるけれど、基本的には同じ話。

これを見るとオリジナルの方が地に足がついた(?)スリラーで、よりリアリティがあって、スコセッシ版の方はあらゆる要素をセンセーショナルに煽り立てて娯楽性を高めていることが分かる。

一言で言うとリメイクの方が下品。


弁護士サムは、「妻子を愛する優等生的弁護士」から「妻子がいるのに何度も浮気を繰り返す浮気男」へ変化し(グレゴリー・ペックだしね)、

犯人マックスは、「ただの逆恨みレイプ魔」から「元々字が読めなかったのに刑務所で独学して聖書からニーチェ、マルクスまで読みこなすインテリになり、体中を意味ありげなインテリっぽい文言の入れ墨を入れまくり、オカマを掘られまくったあげく、ほぼ不死身の復讐の鬼」へ変化し、

妻は「良妻賢母」から「キャリアウーマンだけど旦那が浮気性で欲求不満な妻」へ変化、

娘は「フツーのいい子」から「両親の不仲もあってやや反抗的かつ冒険好きそうな、親のコントロール下から抜け出そうとしている手のかかる思春期の娘」へとキャラ変してる。

そんな風にそれぞれが問題児化したために、当然ストーリーや個々のエピソードも下品になっていったのがリメイク版なのだということが分かった。

現代は下品な時代になったのだなあ、と言うべきか。


印象的だったのは、娘や妻、つまり女の描き方。オリジナル版では、娘が闘うそぶりを少しだけ見せるけどすぐに諦めるなど、基本的に女はギャーギャー叫ぶだけの受け身の描かれ方だった。

でもスコセッシのリメイク版では、妻こそ役立たずだったけど娘の方が実に勇敢で、頭の回転が早い女の子として描かれていて、最後はマックス打倒の立役者になっていた。

女も自立して強くなるのよみたいに時代が女の時代になって、特にリメイク版で活躍するのは若い娘の方であることから、ああ徐々に時代が変わっていくのだなあと思わせる作りになっているんだなと思った。


いずれにしても、オリジナルを「今も起こりそうな現実的なスリラー映画」として評価するか、リメイクの方を「荒唐無稽ながらも娯楽性が高いサイコ映画」として評価するかは意見が別れそう。

 

 

リメイクの『ケープー・フィアー』が★ふたつな訳

オリジナルの方が★2つなのはいいとして、リメイク版が★2つなのは異論がある方も多いかもしれない。

なぜ★2つなのかというと、だってリメイク版はゾンビ映画なのかもしれないんだもん笑。

それも、サイコ → スリラー → ホラー → ゾンビ となって、最後はコメディで終わるというとんでも展開なんですよ。

わたしゃ目を疑いましたよ。っていうか、最後の川のとこワロタ。あそこ絶対笑わせようとしてたでしょ。


それに先にも書いたけれど、私は決してスコセッシ好きではないし、デ・ニーロ・ファンでもない。特にデ・ニーロに関しては色々と思うところがある。

だからかこの『ケープ・フィアー』も、相変わらずのデ・ニーロの力の入った役作りと芝居に疲れ、スコセッシのやりすぎ演出に疲れ、後半デ・ニーロが女装してきたあたりからの不死身っぷりに呆れ、最後は爆笑演技&爆笑演出に持っていくあたり、「結局二人は思いっきり遊びたかっただけなのかもしれない」という印象を持った。


いやデ・ニーロは凄いのよ、凄いんだけどさあ、力が入りすぎてるのよ。「やってます」「力いっぱい演技してます!」っていう感じで笑っちゃう。スコセッシに対しても「デ・ニーロのためだけに映画つくってんじゃないよ」と説教してやりたい。


とはいえジェシカ・ラングも上手いし、ジュリエット・ルイスの役どころ(困ったちゃんで、事をひっかきまわして父親を窮地に追い込むのかしらと思わせておいて、実は一番冷静で賢いという)と演技力は一見の価値あり。ジュリエット・ルイスは若いのにこれでオスカー候補になったというけれど、それも納得。

だから総評は、見る価値ありの★3つ付けたいんだけど、もう一度見るかと言えば私は見ないので、★2つにしました。




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