mです。
以前「「仕事辞めたい病」がとりあえずおさまった理由をご報告」という駄文をあげました。
内容は、「この数年仕事が嫌すぎて人生で二番目の底な気分で、自分がみじめで、仕事を辞めたい仕事を辞めたいと思って2~3年働いてきたけど、”自分働き方改革” に勤しんだことと、この2年の ”疫病騒ぎ” のおかげで仕事を辞めたいと思わなくなった」という内容なのですが、
今回はその「人生で二番めのどん底」の最中に読んで励まされたり、「目からウロコ」という感じで新しい視点を得る事ができた本を3冊ご紹介したいと思います。
- どこかに答えが落ちているとすればそれは本屋である! と割と思ってる話
- 「ピーターの法則」ローレンス・J・ピーター、レイモンド・ハル/著
- 「リアル人生ゲーム完全攻略本」架神恭介、至道流星/著
- 「絶望名人カフカ×希望名人ゲーテの対話」頭木弘樹/著
- まとめ
どこかに答えが落ちているとすればそれは本屋である! と割と思ってる話
私は深刻に悩んでいる時は本屋に行きます。
私の悩みを解決してくれる答えがどこかに落ちているとすれば、それは本屋であると、割と真剣に思っているからです。
「本さえ読めばすべてが一発解決する」などとお花畑なことを信じているわけではありません。ただ、あるとすれば本屋だろう、と思うのです。
なので悩んでいればいるほど、本屋に行きます。そしてそれっぽい本を片っ端から手にして立ち読みをします。しっかり読みたい本は買います。
もちろん「この1冊がすべてを救う」などという魔法はこの世界にはないので、何冊も何冊も読みます。
そうやって何冊も何冊も読んで、一冊のうちでどこかにヒントがあれば、一行だけでもいいからヒントがあれば万々歳です。
たとえ「これ!」という本に巡り合えなくても、乱読しているうちに状況が変わって「辞めたくて仕方がない気持ち」も収まってくるという仕組みです。それを今までに何度も繰り返してきました。
でも直近の「辞めたい病」は長かった。最近はそこまで思わなくなったとはいえ、あれからもう4年が経ちました。
今回はその最もつらかった2年半くらいの中で、大変助けられた本3冊を紹介します。
「ピーターの法則」ローレンス・J・ピーター、レイモンド・ハル/著
有名な作品です。すでに古典と言っても過言ではありません。
これは読みながらかなり笑えます。笑いながら世の中を「ナナメ下」から見ることができるようになって、客観的視点が身につきます。
本を乱暴に要約すると、「人間は出世していくと、必ずどこかで能力が頭打ちにあって必ず無能になり、無能レベルに達した人間ばかりになる」ということが書いてあります。
簡単に言うと、
「平社員として有能だから主任にしたけど、主任としては有能ではなかった」
「主任として有能だから課長にしたけど、課長としては有能ではなかった」
「課長として有能だから部長にしたけど、部長としては有能ではなかった」
「部長として有能だから専務に・・・・」という具合に、
人は出世していくとそれぞれの能力に応じて、必ずどこかで能力の限界を迎えて、無能をさらけ出します。
そして頭打ちになったあとも、大抵はクビになるほどの事件も起こさないので無能のままその役職に落ち着くわけです。すると「無能だけど永遠に部長」ということが起こってしまう。
するとそのうち、その職場には無能レベルに達した主任とか課長とか部長しかいなくなります。
全員が無能。それが現実である、ということを面白おかしく証明していきます。
でも考えてみれば、人はあらゆるレベルやシチュエーションで有能ということは有り得ないので、これは当然のこととも思われます。
この、「人は必ずどこかの段階で無能に至るので、世の中は実は無能だらけ」という、笑っちゃうくらい的を得た真実を、事例を上げながら分かりやすく丁寧に、ユーモアたっぷりに展開してくれる作品です。
これを読むと、職場の「あの上司」も「あの上司」も「あの上司」も、みんな「無能レベルに達したヤツラなのかもしれない」と思えて、ニヤニヤと笑えるようになります。
もちろんそういう時は自分の事は棚に置いて、溜飲を下げましょう。
ただし、「主任になっても有能で、課長になっても有能で、部長になっても有能で、まだ無能レベルに達していない、登っている最中の上司」もいるので、全員を「無能レベル」と決めつけてしまわないように気を付けましょう。
「リアル人生ゲーム完全攻略本」架神恭介、至道流星/著
これも自分の人生を客観的に見られるようになる逸品です。
作者さんの名前が二人して「中二病感満載」なのもあって、一見するとふざけた価値の低い本のように感じる方がいるかもしれませんが、決してそうではなく、これはかなり高度で真面目な内容だと思います。高度な内容を、ユーモアたっぷりに展開している感じです。
前半と後半に分かれていて前半が白眉です。
この本は、いま私たちが生きている人生は神が創ったコンピューター・ゲームであり、私たちはそのゲームで遊ぶユーザーであるという設定で、「そのゲームをいかに攻略するか」「どうすると効率よく高得点を狙えるか」を、制作者である神がイヤイヤ教えてくれる、という構成です。
イヤイヤというのはどういうことかというと、この私たちがログインしてプレイしている「人生ゲーム」を作ってくれた神Aにも上司に当たる神Bがいて、神Aはその上司に「おまえが創ったゲームのトリセツ(取扱説明書)を作れ!」と怒られて、神Aはイヤイヤながらトリセツを作るのです。
トリセツというのは遊ぶためのルール・ブック、あるいは攻略本でもあるので、ゲーム美学がある神Aはそんなものを作りたくない。でも命令だから、仕方なくイヤイヤ作る。ボヤキながらつくる。
そのボヤキがすごく勉強になる、という構成です。このボヤキが人間臭くて、上司である神Bにゲームバランスを怒られたり、自分が創ったゲームで遊ぶユーザーたちが勝手な事ばかり言うのに腹を立てたり、自分の意図と違う遊び方をするユーザーが現れたり、チート野郎が登場してゲームが荒れたりして、ストレスいっぱいでボヤキまくります。
それがすごく面白くて、笑いながら読んでいくうちに勉強になるという仕組みです。
これを読むと、客観的に自分の人生や日々の生活が俯瞰できて、すごく客観的に見られるようになると思います。
本の後半は、ユーザー(私たち)が神の想定以上の展開を見せてしまって、制作者である神A自身にもコントロールできないところまで行ってしまいます。
そこで別の作者さんが登場して「神の意図を超えた今のこの現実を解説します」と言って、ほとんどビジネス本とか自己啓発本みたいなテイストになって、いきなり現実的で真面目です。
そしてこちらも大変勉強になります。
前半は「人生とはなにか」を考える哲学を、後半は「アップトゥデートな今を生き抜くための知識」が語られるという、一冊で二度おいしい作品になってます。超おすすめです。
「絶望名人カフカ×希望名人ゲーテの対話」頭木弘樹/著
職場環境に絶望して、その原因が改善される見込みがなく、未来に希望の灯りが見いだせない、暗闇の中にいるような気分の時でした。
例によって「解決策は落ちてないか」と本屋をウロウロしている時に、何気にふと手に取ったのがこの本でした。
パラパラと立ち読みの段階で、「カフカwww」と思えて気持ちが晴れてきたのです。ぱああ~っと明るい気持ちがよみがえる感じ。
なぜかというと、カフカがあまりにもネガティブなので、悩んでいる私をして「暗!!www」「カ、カフカどした。なにもそこまで・・・」と、思わず失笑してしまったのです。
引用:カフカ「朝の希望は、午後には埋葬されている」
どした!! ここまで極端に暗いこと言われると、「なぜそこまで。カフカ、やりすぎ」と思って妙に冷静になれました。
この作者さんはカフカ専門というか、他にも同じ主題で手を変え品を変えして何冊か本を出していますので、そちらを読んでみるのも良いのですが、
ここで取り上げた本の特徴は「超絶ポジティブ・シンキングのゲーテくん」と比較しているところがミソ。
先ほどのカフカの希望に関してのつぶやきに対して、ゲーテは
引用:ゲーテ「希望は、わたしたちが生きるのを助けてくれます」
と言っています。
笑ってしまうくらいネガティブなカフカと、超ポジティブなゲーテ。
同じテーマで、こうも違う反応をしますかあ、と思うくらい、全く真逆の反応をするお二人。その対比がまた面白いのです。
暗い気分の時に暗い音楽を聴く人はカフカに励まされ、暗い気分の時に明るい音楽を聴く人はゲーテに励まされるでしょう。
私は暗い気分の時に暗い音楽を聴くタイプなので、カフカ好きですよ。
笑っちゃうくらいネガティブでネクラなところが萌えます。
まとめ
こうして振り返ってみると、結局3冊とも「自分を客観視できるようになる本」でした。
悩みというものはそれが仕事であれプライベートのことであれ、極端に視野が狭くなって自分や物事を客観的に見られない状態にあるのだな、ということが逆説的に分かります。
とはいえ客観的に自分を見つめることができる冷静さがあれば、そもそも悩まない訳です。
そこで、どうにかして冷静さと客観性を獲得したいところ。
今回ご紹介した3冊は、その力があると思います。おすすめです。