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割と自己流で生きています

【映画】「泣きぬれた天使(1942)」 やり甲斐が先か、愛が先か。それが問題だ。

おすすめ度 ★★★
題名 泣きぬれた天使(L' ANGE DE LA NUIT)
監督 アンドレ・ベルトミュー
出演 ジャン=ルイ・バロー、ミシェール・アルファ、アンリ・ヴィダル
上映時間 87分
制作年 1942年
制作国 フランス
ジャンル メロドラマ、青春、ラブロマンス、モノクロ


引用:
「耐えるのよ じっと耐えるの 世界が暗闇でも あなたの世界はきっと明るくなるわ 私たちに必要なのは 光と喜びよ 暗闇は消えるわ」 
ジュヌヴィエーヴのセリフより


戦争と青春、芸術、愛と恋、幸福とはなにか。 そんな映画。

87分しっかり引き込まれる。印象的だし、見終わって、何年経ってもちゃんと覚えている。だから中々の傑作かも。いや傑作まで言えなくても、佳作くらいは十分ある。


だけど私はジュヌヴィエーブに共感できなかった。

愛かなあ、それ。

それ、愛なのかなあ。
 
 

あらすじ


若く貧しく孤独な娘ジュヌヴィエーブは、逞しい青年ボブと恋に落ちるが、戦争が始まりボブは戦場へ行ってしまう。やがて戦争も終わり、男たちが戦場から戻ってくるがボブは戻ってこず、手紙一つこない。学生仲間のひとり、彫刻家でリーダー格の男ジャックは戦場から戻ってくるが、ジャックは怪我で盲目となっていた。

ヤケになるジャックを励ましているうちに、二人はお互い支え合うようになる。彼女の献身に支えられ、創作への意欲を取り戻したジャックは、心優しいジュヌヴィエーブを愛し依存するようになる。しかし心の中ではボブを忘れたわけではないジュヌヴィエーブ。下宿屋の主人にその迷いを打ち明ける。「ジャックといると心が落ち着くわ。でもボブに見つめられると胸がときめくの」。主人は「ジャックとの関係が本当の愛だ」と諭す。

「盲目の彫刻家」としてデビューを果たしたジャックはジュヌヴィエーブに結婚を申し込む。ジャックにとってジュヌヴィエーブの存在はなくてはならないものとなっている。そんななかボブが戦争から帰ってくる。彼は戦争捕虜となり、手紙を書けなかったのだ。ジュヌヴィエーブを忘れたことはなかったと迫るボブ。揺れるジュヌヴィエーブ。

揺れたジュヌヴィエーブは、盲目の彫刻家ジャックを選択する。
 
 

なんで?


・・・なんで? ここはボブでしょ。

どう見てもジュヌヴィエーブはジャックに恋していない。ただ「役に立っているだけ」。

それはそれで自分の存在意義を確認できるかもしれないけど、でも愛じゃない。

ここは衝動的にボブと寄りを戻してジャックを捨てて欲しかった! 見た目もボブの方が逞しくて頼りがいがあるし。


・・・まあ、、、全編を通じてジュヌヴィエーブはすごく真っ当な女性だった。

この ”真っ当” が足を引っ張って、選択を誤った感じか。

不幸な方がやり甲斐があるような気がしてしまうというのは分からなくもない。

でもそれは間違っているんだと思う。幸せになって、そしてやり甲斐を感じるのが正解だと思う。

モラルや世間体に囚われた、愚かな女の子の話なのかなあ。やっぱりメロドラマは性にあわないなあ。



・・・でもまてよ。

やりがいを得て、それに取り組んでいくうちに幸せを感じるということもあるか。ジュヌヴィエーブはこっちなのか。

やり甲斐が先か、愛が先か。それが問題だ。

 

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