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【映画】「カリガリ博士(1919)」~過激で奇抜~ 一度見たら忘れられない


おすすめ度 ★★★★ 

題名 カリガリ博士(Das Cabinet des Doktor Caligari)
監督 ローベルト・ヴィーネ
出演 コンラート・ファイト、ヴェルナー・クラウス
上映時間 48分 
制作年 1919年
制作国 ドイツ 
ジャンル モノクロ、サイレント、ドイツ表現主義
 


大正8年の作品。ドイツ表現主義映画といえばまずはこれ、というくらい絶対見るべき映画。
 
演技も美術も、映画に描かれるものすべてが誇張されていて、過激で奇抜。

芸術です。
 
 

Von Autor/-in unbekannt - J. Willis Sayre Collection of Theatrical Photographs, Gemeinfrei, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=80631839

 
 

あらすじ

物語はフランシスの回想からはじまる。
 
フランシスは友人のアランと共にカーニバルへ行き、カリガリ博士の見世物小屋へ入る。そこでアランは、見世物になっている夢遊病者で預言者のチェザーレに死の宣告を受けたあと、何者かに殺されてしまう。フランシスはチェザーレの持ち主であるカリガリ博士がアランを殺したのではないかとにらみ、自分の恋人ジェーンの父親であるオルセン医師と共にカリガリ博士の調査を開始する。
 
自分に疑いがかかっていることを察知したカリガリ博士は、ジェーンを殺そうとチェザーレを向かわす。ところがチェザーレはジェーンに一目惚れし、殺すのをやめて連れ去ってしまう。そしてその逃亡中、チェザーレは心臓麻痺で死亡する。

そのころ見世物小屋では、チェザーレが眠っているはずの箱の中身が人形であることをフランシスに見抜かれ、カリガリ博士は逃亡する。
 
山の上にある精神病院へカリガリ博士を追い詰めたフランシスは、実はカリガリ博士がその精神病院の院長であることを知る。チェザーレの遺体と対面したカリガリ博士は取り乱し、拘束され独房に収容される。なんと彼は10世紀ごろの人物カリガリを模倣し、彼の悪行を再現していたのだった。
 
すべての真相が明らかになり、事件に決着がついたかに思えたのだったが、フランシスに思いもよらない結末が訪れる。
 
 
 
 

感想

最初はフリッツ・ラングが監督する話もあって流れたらしいけど、それはそれとして、この作品はこれでいい。 
 
映画は、精神病院に入れられた恋人ジェーンの見舞いに来たフランシスの回想、という形で始まるが、すでに最後のどんでん返しを予想させる不穏な雰囲気を醸し出していて秀逸。

最初から最後までを貫く不気味な空気も、ただの雰囲気づくりではなく、すべて「伏線」なのだった。


そして時系列に沿って直線的に語られることの多いサイレント時代の映画にもかかわらず、「現在→過去→現在」と時間が流れる構成で複雑だし、

物語も、連続殺人の模倣犯が現れて捜査を混乱させたり、カリガリ博士自身が過去の人物の模倣犯だったりしてなかなか複雑。

説明不足になりがちなサイレント映画としては、めいいっぱい入り組んだ作品になっている。
 
その上、一度見たら忘れられない美術セットがすばらしい。建物から扉、窓、壁など、あらゆるものが歪んでいてアートが炸裂。センスが飛んでいる。

この時代のドイツ映画は独創的で、見るべき作品が多い。

個人的には、役所の職員が向かう机と椅子がやたらと高いところが一番のお気に入り。なんかカフカぽいと思う。
 
 

By Robert Wiene(Life time: n/a) - Original publication: The Cabinet of Dr. Caligari, PD-US, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=45636108
 
 
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