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割と自己流で生きています

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

【本】 ウィリアム・アイリッシュ「幻の女(1942)」~江戸川乱歩先生 ご推薦~ 映画化できない系

とても有名な書き出し『夜は若く、彼も若かった。が、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。』で始まる、アイリッシュの代表作。好きな作家。映画化できない系の小説(されてるけど)。 冒頭の文体のテンポが漱石の「猫」っぽい。短短長とセンテンスが長…

【本】 エドモン・アロークール「原人ダアア(1914)」~空想科学小説の異色作~【絶版】

これは買いだった。当たりだった。とても興味深く、心に残る作品。こういう本は今まであまり読んだことがないように思う。 空想科学小説の一形態で、人類の進化がテーマ。手法は神のごとき作者が、ある原人夫婦の行動を観察し、彼らの感情や思考を想像すると…

【映画】「十二人の怒れる男 (1957)」~疑わしきは被告人の利益に~ 密室劇の頂点 

おすすめ度 ★★★★ 言わずと知れた傑作、シドニー・ルメット監督の「12 ANGRY MEN」。撮影はたったの19日間。密室劇といえばこれ、脚本の書き方のお手本、と言われる作品。 窓から見える景色は絵だし、ほぼすべてのドラマが起こる舞台はたったの一室。絵的には…

【映画】「最後の人 (1924)」 最後の粋な計らいは余計。悲惨な物語は悲惨なままがいい

老いて現役から追われる主人公の悲しい姿は決して他人事ではない。いたって日常的に繰り広げられている出来事だし、誰にでも訪れる、回避できない人生の必然的イベントだ。とはいえ誰にでも訪れるからと言って悲劇じゃないわけじゃない。