先日珍しく体調が良くない日があった。家を出る前からお腹が痛くて、でも私はたいてい丈夫だから、今回も通勤中に良くなるだろうと思って家を出た。
ところが職場近くのバスの中、みるみる気持ちが悪くなって、脂汗は出るわ目の前が白くなってくるわ、コートの首のところから自分の体温で温まった熱風が立ち上ってくるわ、これは良くない、バスを降りたほうが良いのだろうか、しかしなあ、あと10分我慢すれば職場に着くしなあ。
しかしこのような時の10分は長い。これは耐えられないかもしんない。いやー、どうしようかなー、、、
そのタイミングでバスがバス停に停車した。降りる人はいなかったが、ええい!ままよ!降りよう!とスックと立ち上がり、ピンポンしてなかったので運転手さんに「あのう、すみません、ここで降りていいですか」と声をかけて降ろしてもらう。遅刻決定。
雨の寒空の中、絶望的な気持ちで駅にトボトボ歩く。きっと顔も絶望的な顔だったろう。外は寒いのに汗をかいてコートの中はモワッとしてる。
下痢ではないからゆっくり歩いて駅へ向かう。こいつぁまずいなあ。しんどいなあ。このまま帰っちゃおうかな。
で、駅のトイレに入って座っていたら若干具合が良くなってきた。でも帰っちゃおうかな、、、どうしよっかなー、と思いながら職場に電話する。
しかし私はなぜ、仮病じゃないのに仮病みたいな響きを出してしまうのだろう。ほんとに具合が悪いのに、なんかイマイチ表現できない。嘘ついてるみたいになってしまう。
「駅まで来てるんですけどぉぉぉ、具合が悪くってぇぇぇ、、、、少し休めば大丈夫だと思うんでぇぇ、少し遅れますぅぅぅ」
結局行くんか。度胸ねえな。向こうも「来るんかーい」と思ったことだろう。
で、駅のベンチに座っていたら本当に割と良くなってきたから、バスに乗り直して1時間の遅刻。
まあほぼ改善していたから、それなりに仕事はした。そして私は知ったのだ。
さぼるのも健康第一だと。
マシになったとはいえ、体調は完璧ではない。サボるためにはサボりに集中しながらも、人の気配に気を配り、誰かが近づいてきたらサッとモニター画面を切り替えるなどの技を繰り出さなくてはならない。
しかし体調が良くないので100%のパフォーマンスを出せないのである。
頭が若干ぼーっとしているので、視野が狭くなるらしい。
仕方ない、仕事に集中するか、、、とはいえ複雑なことはしたくないから、単純作業に近いルーチンワークにいそしみ、結局はそこそこ働いてしまった。
上手くサボるのも技術だけでなく体力も必要なのだなあと、と学んだ53歳なのであった。