私が勤務する病院の先生が全職員に向けて言っていた。
煙草を吸うと術後感染になりやすい気がするから、なるたけ煙草をやめさせたいと。
術後感染は人によっては何年も治療にかかる。そのコストはお金だけではなく、患者の時間も奪うことになるし、精神的にもつらい状態になる。
さらには患者だけでなく、医療者(要するに自分)のメンタルもやられてしまう。
だから出来るだけ煙草はやめてもらいたいと。
でも糖尿病などと違って数値が出るわけではなく、口頭で「やめてね」「やめました」と口約束でしか確認できない。ということは嘘を言っているかもしれない。すると術後感染は防げない。彼らを信用することはできない。
そこで色々調べてみた結果、アルコール検知器のようにニコチン濃度を測る機械がAmazonで売っているのを発見した。これを購入して診察で使おうかと割と本気で検討している。
と、極めて優しい言葉と優しい声、優しい喋り方で言っていた。
こっわ。優しい独裁者じゃん。
なんて恐ろしいんだろうと思ったね。彼女は美人で素敵な先生だから余計に怖い。
穏やかに、善良な気持ちで、良かれと思って人を縛っていく。他人に批判されにくい方法で、他人から自由を奪っていく。
彼女は無自覚な、笑顔のビッグ・ブラザーなのだった。