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割と自己流で生きています

【本】 エドモン・アロークール「原人ダアア(1914)」~空想科学小説の異色作~【絶版】

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題名 原人ダアア
作者 エドモン・アロークール
出版社 潮文社
出版年 1914年
出版国 フランス
ジャンル 小説、空想科学、絶版 
 
 
これは当たり。とても興味深く、心に残る作品。こういう本は今まであまり読んだことがないように思う。

空想科学小説の一形態で、人類の進化がテーマ。手法は神のごとき作者が、ある原人夫婦の行動を観察し、彼らの感情や思考を想像するという描き方。原始の人類の進化を、ひとりの原人ダアアの体験としてぎゅっとまとめる、という描き方をとっている。

すでに絶版なので、詳しめにあらすじを書いておく。


****** あらすじ ******
原人ダアアは物心ついた時から単身で生き延びてきた。自分よりも大きく強い猛獣とも互角に戦って食料にし、自分に対して強いうぬぼれや自尊心を持っている。しかし孤独であった。言葉は持たず、愛も知らず、まだ知恵と呼べるほど脳は発達していない。

ある時、ひとりの女の原人と出会う。二人は共に生きることになり、「ダアア」「オック」と呼び合うようになる。なんとなく名前がついたのだ。

やがて彼女は子供を身ごもり出産するが、ダアアはそれがなにでどういうことなのか分からず、空腹のダアアはその子を食べようとしたりする。初めての子は失ってしまうが、次々と子供が生まれ、ダアアは別の種族の女とも交わるようになり、彼女は「タア」と呼ばれるようになる。

ダアアとオック、タアは三人で(+次々生まれる子供も)集団生活を営むようになり、ダアアは大家族を養っていることに満足する。

西へ西へとヨーロッパ大陸をひたすら歩き続けながら、家族は増えたり死んだりするが、ダアアは特に感慨にふけることもない。

旅の途中で彼らは棍棒を発明したり、子供を背負う革袋を発明したり、僅かずつではあるが進化の兆しのようなものが見えてくる。

やがて西のどんづまりにやってきて、彼らは初めて海を見、魚を食べる。燦々と降り注ぐ太陽を発見。タアは寿命が近づいており、弱った体を温めてくれる太陽に宗教心のような感情を持つ。すぐに雪が降り始め、彼らは初めての雪に驚く。氷河期が始まろうとしていたのだ。元の森へ戻ろうとする一行だが、タアは動けない。死期を悟るタア。その時オックがタアに対して憐憫とも愛情とも言える感情を現す。ダアアも今までにない感情を覚え、一生懸命過去を思い出し、思いだせるとそれが楽しい思い出ばかりで笑う。

一行はタアを置いて、元いた森へ旅立つ。タアはしゃがみ、両膝を両腕で抱えて彼らを見送る。タアはもう二度と人間を見ることはない。

やがてダアアは初めての地震と山火事にあい、火を発見する。そこでダアアは力尽き息絶え、ダアアを置いて更なる旅に出る子供たちにオックはついていかず、ダアアの亡骸のそばに身を横たえる。
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私はオックとタアの方に感情移入して読んだ。特にタアの最期、宗教心の発見と死の発見、それから死を受け入れていくくだりが感動的で印象に残った。時間をあけて再読したい。