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割と自己流で生きています

【体験中】総務の仕事ってほんとに雑用なの? いーや、出世コースなのかも

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激務部署の管理職から総務部に異動になった話


数年前、バリバリの”現場最前線”の管理職から ”総務部” へ異動になることが分かった時、「え、総務?」と思いました。そして「総務かあ・・・」と思い、「雑用かあ、やだなあ」とも思いました。

でも私は自分でもびっくりするほど世間を知らないので、総務部はおろか管理部というものをまるで知らず、ほとんど考えたこともありませんでした。正直言って「管理部」という言葉をちゃんと知ったのも異動してからでした。異動してから「あ、こういうところを管理部って言うんだ」って思いました(47歳にして)。

我ながら「よくこれで社会人だなんて言ってられるな」と思いますが、それまで担当していた業務とあまり縁がなく、彼らと接する機会もほとんどなくて、全然意識したことがなかったのだから仕方がない。

そんな私が総務に異動することが決まったその時に思ったこと、その後経験してみて思っていることを書いてみようと思います。



異動前後に本を読んでみた


まず、何も知らないのに雑用と決めつけるのも失礼かと思い、本を読もうと思いました。封筒の書き方すら自信が無いので、ビジネスマナーの本とか、秘書業務関連の本とか、ビジネス検定の資格本とかも買いました。

でもそういった実務系の本だけでなく、「総務とは」「管理部とは」のような総論を知りたいと思い、本を探し、いくつかの候補からこの本を選びました。



 

 


この本の内容を一言で言えば、総務は一般的に「何でも屋」「雑用係」といったイメージだけれども実はそうではないし、総務自身が、そういう風潮、固定観念は捨ててアグレッシブな  ”攻めの総務” になっていくべきだ、ということを説いた本でした。

本書の前半は物語形式になっていて、ある会社が小さいながらも開業し、会社がだんだん大きくなるにしたがって様々な部署ができて役割が分かれていく経緯が物語風に語られます。

最初は社長以下数名しかいないので部署としても営業と総務しかなく、人事や経理、IT部門などはまだありません。一人が何役も担っていますが(例えば経理は社長自身が行っていたり)、会社が大きくなれば問題も出てきて専門性が必要となってきます。経理もプロに任せた方がいいし、セキュリティ関連もIT部門を立ち上げた方がいいし、人事もしかり。

そのようにして徐々に分業が進んで行って、最後に残った仕事をやるのが総務なのだと。専門性のある仕事がどんどん出ていき、誰もやらないような仕事、専門性の低い仕事などが残るのだと。

しかし!  ( `ー´)ノ  総務は何でも屋ではないのだと。

総務の本来の役割は「資産を減らさないこと」である! 花形の営業部門は「稼いでくる」「資産を増やそうとする」部門であるために目立ち、総務は地味に陰に回りがちだが、実はそうではないのだ! と。

(小声で)現場最前線や花形部署から、ちょーっと下に見られるところもあるかもしれないけど、大事な部門なのだと!!

コスト削減などを推進し、コピー代がどうのとか、カラー印刷は控えましょうとか、コスト削減ばかりを言っているように思えるのは、その目的が「資産を減らさないこと」にあるからだ!! と。

電球を変えたり、備品を補充しているだけが総務ではないのだから、総務の人間自身が意識を変えて、攻めの総務になるべきだ!! と。そのつもりで積極的に動きましょう!

と書かれていました。



本の感想、特に総務部という部署について


構成がよいせいか、管理部門の成り立ちが頭にスッと入ってきて、それぞれの役割や存在意義が良く分かる本でした。私のような管理部シロウトの入門書として当たりだったです。

けれども、こと総務に関しては、作者が力説すればするほど、逆に「やはり総務は『何でも屋』『雑用係』なんだなあ」という印象を深めてしまいました・・・ (T_T)トホホ

総務の現実はやっぱり雑用係で、本人も周りもそう思っている人が多いからこそ「そうじゃないよ! そうじゃないんだよおおお!」と一生懸命言っているんじゃないのかなあ、と。

だって、みんなが色々持って行ってしまったあとに残った、「これは僕の部署の仕事じゃない」とか、「これはうちも違います」と言って引き受けなかった仕事が残るんですよ(悲)(-_-;)マジデ

そしてそれが専門性が低い仕事なんですよ・・・・(哀)(ToT)マジデー


作者さんが「ちがうちがう」と言えば言うほど「やっぱり雑務なのでは」という印象が強まってしまいました。



この本を読む前の ”総務” のイメージ


私は自分が総務に異動になるまでずっと、総務というところは「会社の嫁」だと思っていました。「備品の管理とか、電球を取り換えるとか、コピーをとるとか、お茶を出すとか、茶碗を洗うとか、そういう仕事」だと思っていて、私には向いていないし、やりたくないと思ってました。

誰か個人の嫁になる気すらゼロの私なので、「私が嫁に向いているのなら、すでに嫁にいってるんだがなあ。私は嫁になるのがいやだから、嫁にもいかずに一人で働いて生きているのだがなあ」と思ったわけです。

だって大事な会議があるとなれば資料を用意したり、当日は設営をしたりして、でもその会議の主役ではないのですよ。準備と片付けだけ。

どちらかと言えば主役になりたい方の私。より正確に言えば、基本的にはあまり目立ちたい方ではないけど、やるのであれば出来るだけちゃんとやって、いずれ主役級にはなりたい、脇役は嫌だと思うタイプの私には合っていなさそう・・・

自分の人生なのに、脇役感の強い毎日、嫌だなあ。自分で決めて、自分でコントロールして、それで失敗しても自分のせい、っていうのがいいなあ。

そんな私が総務かあ。いやだなあ。いいように使われちゃうんだろうなあ。いやだなあ。


でも!! 本を読んで少し勇気づけられました。

そうか、アグレッシブ総務か。能動的な、攻めの総務。いいね。そういうスタンスなら面白いかも。

というわけで、辞令だから行かないわけにはいかないし、仕方なく、でもほんの少しの希望を持って総務に異動して、今に至ります(3年経ちました)。



総務に異動してみたら(実態)

実際に総務で働き始めての感想はいろいろあります。

異動するまで知らなかったけれど、よーく見ると総務にも種類があって、総務部総務課と、総務部庶務課と、総務部営繕課と・・・という具合に、同じ総務でも色々あるんですね。うちの総務に庶務課はないですが、庶務的業務はもちろんあります。

多少やりがいのある業務をみんなでシェアして、残る大して頭を使わなくていい業務もみんなでシェアしてるっていう感じかしら。「やりがいのある業務 2」 に対して「脳みそいらない系業務 8」っていう感じかなあ。・・・やりがいのある業務、1かも。


・・・本当に心が折れましたね。与えられた仕事がどれもこれもこう、、、なんていうか、、、少ないうえに凹む内容ばかりで・・・理不尽だし、効率悪いし、暇だし、毎日私は何をやっているんだと。なにしに出勤してるんだと。

それまでは失敗はできない職種だったし、全力120%でやらないとこなせない業務量だったので、急に20%でいい環境に行かされても、落差が激しすぎてどうしても理解できなかった。馴染めなかった。これが仕事かと。仕事ってこれでいいのかと。

毎日、今日一日なにしてたのか全然覚えていないんですよ。毎日私は8時間も何をしているんだろう。つらい。


仕事に対しての考え方を、変えなければならないと思いました。自分働き方改革です。自分による、自分のためだけの改革です。

でもそう簡単には切り替えができませんでした(3年かかった)。本当に苦しかった。正確に言えば今でもまだ切り替えられたとは言えません。

自分の中にある「仕事とは」という先入観を捨て去るのはこんなに苦しいことかと思いました。自分を変えるのってこんなに大変なのかと。

ほとんど ”脱皮” というか、”メタモルフォーゼ” というか、生みの苦しみです(生んだことないけど)。デビルマンの変身くらいの気持ちです。アメコミヒーローみたいなコスプレじゃなく、内側から変容していく感じ。別人になるぞ。メキメキと、バキバキと。

 

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©永井豪

 

 

総務って本当は出世コースかも


でも今年に入ってから徐々に気が楽になってきたんです。そしたら視点が少し変わってきました。

これ、出世コースなんじゃないかと(私は無関係ですけど)。

私の職場は病院なのですが、経営陣は全員が医者と管理部のTOPたちです。医者と管理部だけ。その他の部門は入っていません(ちなみに病院なので、院長は医者です。なので医者以外の最大出世は「管理部から経営陣に入ること」です)。

でも病院にも、看護部とか放射線部とか医事部とか薬剤部とか検査部とか、すごくたくさんの部署があります。

でも、そういう他の部門はみんな経営には食い込んでいないのです(医者は別です)。


最初は「あ、入ってないんだ」と思い、「なんで?」と思いました。そして管理部の偉い人達を見ていて、「なんでこんな玉虫色のモヤモヤしたオッサンたちが経営に食い込んでるんだろう、声は小さいし、さっぱりワカラン」と思っていました。


でも、少しずつ少しずつ、なんか分かるような気がしてきたんです(やっと)。

考えてみれば当たり前のことで、各部署の運営と病院の運営は、全く別物です。「視点が違うんだな」と、最近気が付いてきました(ようやく)。

特に総務部は「お金と人間」を掌握しているのが強いと思う。

全社員を知り尽くしていて、冠婚葬祭まで知り尽くしていて、家族構成から、誰が病気になっただの、誰の親が死んだだの、介護中で大変だの、誰がどの部署に所属しているとか異動したとか、それも「そういうデータを持っています」とかではなく、顔と名前とデータが一致している感じです。「生きた情報、肉体のある情報を持っている」っていう感じ。

会社にとって有益なVIPたちを握っているのも総務です。連絡をとり、来ればドアを開けてあげてお茶を出し、座る場所を決めて、挨拶に行き、ご機嫌も取って気持ちよくおかえりいただく。政治家とか、、、どこぞの教授とかあ、、、。

さらにお金の出し入れも意外と総務が掌握していたりする。許可するのは経理ではなく総務。そして総務はそれこそ鉛筆から会社の建物まで管理してるんですよ。消しゴムから会社の土地まで全部です。


業界の違いや、組織、会社の規模などによって各部門の力関係は色々でしょう。うちの総務はへなちょこ、とかいうことはあるかもしれません。でも総務部が出世コースであることは間違いないと思います。

だから自分の職場で経営に絡んでいるのは誰なのか、よーく見てみてくださいね。

そしていま総務に配属されているみなさんは「雑務ばかりだー」なんて落ち込まず、寛大な菩薩の心を持ち、広く広くそして遠くまで見通す神通力を身に着けて、溌剌とした野心と、健康的な野望を持って、ぐいぐい出世を目指してください。

経営者クラスと話をする機会も管理部は多いです。うまいことやってくださいね。



そして管理部とは無縁の、かつての私のようなあなた。総務ってつまんないくだらない仕事してるな、なんてちょっと馬鹿にしてる気持ちがあるとしたら、それは視点が違うだけです。目先の業績ではなく、大きなスパンで物事を考えて、会社や社員の行く道を思案しているのは管理部の人達です。

チェスを差しているのは管理部含む経営層なのですから、馬鹿にしてはいけません。

私の経験から言って、もしかするとそういう管理部以外の方ほど広い視野が必要かもしれません。体験することは簡単にはできないけど、本は知見を広げてくれます。



☟入門編




☟夢と野心を育てる




でもまあ、、、私はもう年齢的にも遅きに失した感が・・・でも3年我慢して見えてきたものもあるし、勉強になったとは思います。このままじっと定年まで耐えるか、別の道に進むか、うろうろと思案中。年取るとフットワークは重くなりますね。

でも若い人は別です。

大きな決断は慌てず急がず、でも遅すぎず、難しいですけど良いタイミングで動けるように。できるだけ冷静になれたときに決断してくださいね。